0323暖かくして、しっかり寝るんだよ
私立の一貫校には魔がある。
よく言うのだが、ゴシップガールの世界は実在する。
私はゴシップガールがめちゃくちゃ好きなのだが、多分作品が好きというより懐かしくて心地よいのだと思う。
何なんだろうな、あの幼馴染の集団の妙な結束力というか。
私は割とそのループから脱したほうだとは思っているがやっぱり抜けきれないものがある。
本当に魔のようなぬかるみ。
一緒に育っているので出で立ちはもちろん、お互いの親、兄弟、恋人のことなど割と熟知している。
親がなんのビジネスをしているかや、お互いの親同士がなんなら取引をしていたり、自分を超えたドロドロの世界。
しかし一貫校だとそれ以外知らずにそれが普通だと思ってインキュベートされて育つ。
うちは親が現実的なタイプだったので染まりきりはしなかったが、やっぱり社会に出るまではわけのわからないことを私も言っていた。
パスポートの所有は義務だと思ってたからね。
大人になってパスポートを持ったことがない人に出会って衝撃だったし、素で「なんで…?どうやって生きてきたの…?」と聞いてしまった。
まあ、海外に用もないのにいらんわな…
ただ「海外に用がない」概念がそもそもないので本気で理解できないのである。
そういう、なんで…?がない相手はなんとも言えない心地よさがある。
感覚でしかない変な結束が大人になっても消えないの、何なんだろうな。
どこかソフトスポットがあって助けてと言われると助けたくなってしまう。
でも、最近比較対象がある。
金魚鉢で一緒に育ったすべての子供時代を一緒に過ごした相手と、大人になって出会って結構な年月を過ごした相手。
子供時代を一緒に過ごした相手とはそのまんま、子供でいられる。
せいぜい高校生で止まっているのだ。
相手によっては完全に幼児化することもある。
37のばばあで恥ずかしいが実際に幼児化することはある。
私は一番好きな人には大人になって出会った。
でもちょっと違う。
年齢的には成人していたがまだ学生で、ある意味一番いい時期だったと今は思う。
学べる伸びしろはあるけどもう大人。
ある意味一番飾らないでいられるかもしれない。
人間大人になってからの人生のほうが長いから、これが本当の自分なのかもしれない。
最近、事情があって高校生と話すことが多い。
高校生にやれと言われて始めたSNSを付き合ってなんとなくやっている。
SNSから垣間見る高校生の生活は清々しくて、新鮮で、君たちはこれからどんな人生経験をして、どんな素晴らしい瞬間と絶望を味わうのだろう。
このままもう無で生きていこうと思っていた私も40を手前に予想をしていなかった波乱万丈を過ごしている。
死ぬほど楽しい反面、久々に「傷付く」ということも経験してこたえたりもする。
でも悪くない。
君たちも大いにめちゃくちゃに生きたら楽しいぞと思う。
周りが馬鹿に見えて日々つまらなくて早く30代になりたいと思っていた女子高生の私よ、30代は楽しいよ。
大丈夫、人より時間はかかるけどちゃんと楽しく生きられる。
でも、つらいよ。
つらいけど、今の高校生の心地よさに逃げてはいけない。
多分それは幻みたいなものだから。
ただ、本当の幸せは、思ったより代償が大きく辛いみたい。
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