なぜボランティアに行くのか

東日本大震災と2018年西日本豪雨のボランティア経験の雑感。はじめは未曽有の災害を前に役に立ちたいと思ってましたが、途中から動機は変わっていきました。ボランティアというと聖人のするものというイメージがあるかと思いますが、実際は他の組織で短期間働く無償インターンに近いかと思います。


人の役に立つ
これは大前提で募集のないところには行かない。求められていないことや、ものは提供しない。ただ、現場に被災者自身がいない場合も多く、役に立ってる感を得られるとは限らないので、大前提ではあるけれど、必ずしも目的ではなくていいと思っています。

一次情報を得られる。
私自身が大正時代の関東大震災で津波被害のあった地域で育ったということもり、東日本大震災の時には他人事とは思えない、地元が津波に飲み込まれた時のために情報収集しておきたいという動機がありました。あの広範囲に及ぶ被害は報道では実感することができず、また、現地をこの目で見なければ具体的で効果的な復興方法は学べないと思いました。
また、報道ではひとくくりに被災者と呼ばれる人たちも実際には多様で、生活基盤が根こそぎ破壊されても財力や年齢で自力で元に戻れる人もいれば、軽微な被害でも元に戻ることができない人もいて、それはやはり報道では伝えることができないことだなと思います。

得意分野を活かせる
一次情報が集まってくると同時に、相談される機会が増え、現地のニーズに直接対応することもできるようになります。私の場合は、災害直後は自治体のボランティアセンターの募集に応じて参加被災者宅の泥出しに参加したものの、ネットで募集している現地の大学やNPOの仕事を受けるようになりました。最終的には現地の人のニーズを直接聞くようになり、首都圏の企業や技能を持つ友人とのマッチングを行いました。復興拠点のPC設置や操作指導、ホームページ作成、勤怠管理システムの構築など、多様なIT支援を行いました

チーム作り
災害ボランティアでは初対面の人とチームを作って作業をするわけですが、たいていの場合、驚くほどの生産性を発揮します。これは日常のチーム作りの参考になると思う。
・募集要項と実際の作業が一致してるため、モチベーションの高い人しかいない。
・目的が周知されている。
・能力を著しく超えた作業はないが、簡単にはできない。
・作業期日がはっきりしている。たいていの場合はその日の夕方。
・義務は課されない。自分のペースで参加できる。
仕事のチーム作りでこんな恵まれた状況はないでしょうが、留意すべきことが参考にはなるかと思います。

また、組織構造も多様で、自治体の社会福祉協議会の人が現場に同行し、家主と交渉してボランティアに指示を出すという方式もあれば、自治体の駐車場で住所が書かれた紙だけ渡されて、車を運転して自力で現地まで行き、その場でリーダーを決めて、家主と交渉して作業するという方式もあります。組織もヒエラルキー型から、マトリクス型まであり、それぞれを体験できるのもおもしろいです。

今時企業で働いていると、チームビルディング研修というものに参加する機会があり、それはそれで毎回楽しみなのですが、災害ボランティアではシミュレーションではなく実践的に体験できます。

観光では行かないところに行ける
当然ですが、日本の津々浦々に観光資源があるわけではなく、旅行先は意外と限られるものです。ただ、日本の地方は本当に美しいところばかりで、そういったところに地元の人とコミュニケーションをとりながら滞在することができるのも醍醐味の一つです。

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