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そっくりなオトン

私は父親にそっくりだ。

どこがそっくりなのかと聞かれると、容姿にはじまり小さな癖や好きな食べ物まで、打ち合わせもしていないのにすっかり一緒である。

まず容姿。
4人兄弟の長女に生まれ、私以外の兄弟(みんな弟)は178〜179cmと日本の平均身長を上回っている。

それに対して、私は調子が良い時で154cm、時々153cm。
背が高い方に分類されたことは、これまで一度もない。

私の父は160cm前半と男性にしては小柄である。
(そして本当の身長を教えてくれない)
一方で母は164cmと女性の中では高身長に分類される人で、おまけに痩せていて手足が長く、私が幼い頃には「水槽ちゃんのお母さんモデルみたいだねえ」と言われていた。
そんな母もしっかり中年太りしてきているが…。

弟たちは母の容姿をしっかり受け継ぎ、薄い顔にスラリと痩せ型の高身長男子である。

唯一父の容姿を受け継いだ私はというと、背が低くて太りやすく、顔もどちらかというと濃い感じに仕上がっている。
よく離島に行くと「あら!〇〇さん家の娘さん!」と人違いされる。
おそらく離島のテンプレートを詰め込んだ濃い顔なのだと思う。

そんなこんなで、スラリとした体躯の人がもてはやされる現代で父に似てゴロンとした体型に育った私は、そのことに文句を垂れ、よく叱られた。

食の好みが似ていることも、その原因の一つだと思う。

ひとり暮らしをはじめてギョッとしたのは、父の日課である
「朝早起きして甘いコーヒーを飲みながら作業をする」ことを、
誰に言われるでもなく自分が習慣化していたことだ。

コーヒーを準備する流れまで、まるで同じだった。

淹れる手間を省くために、ブラックのアイスコーヒーをボトルでまとめ買いして、牛乳で割り、砂糖を入れ(私はノンカロリーシュガーを使っているのでそこだけは違った)、少し肌寒くなるとレンジで温める。

DNAの確かな働きを感じる、怖い。


まだまだある。疲れ切った仕事帰り、無性にスイーツが食べたくなり、近所のローソンに寄った。
私はローソンのうちカフェシリーズが大好きだ。

その中でも、生クリームにこだわった「もっちりロール」が大好きで、買ってきてはチビチビ食べてみたり、1日で一気喰いしてみたり。新人の頃からやっている自分へのご褒美だ。

しかし、ある日実家の冷蔵庫を覗いた時、びっくりした。

あるではないか「もっちりロール」が。

怖くなった。おんなじもの食べてるのか。母や弟はスイーツが得意ではないので、絶対に父だ。
数多あるコンビニスイーツの中から、わざわざこれを選び取ってしまう、DNA怖い。


なぜだか性格も似ている。

自分のキャパシティを理解せずに仕事を詰め込みすぎるところ。
仕事にせよ趣味にせよやり込みすぎてしまうところ。
今絶対に言うたらあかんやろって事を言ってしまうところ。


・・・お父さん嫌いなの?笑

嫌いじゃないです。

むしろ、自分の嫌いだなと思っているところが、親ゆずりだと分かってから少し愛おしくなった。
自分を自分たらしめたルーツがあって、良いところも悪いところも受け継がれている。
英語ではコーナーストーンと表現したりするようですが、家を建てる時の土台のような、電車が帰っていくホームのような、そんな感覚です。

そう思えるのも、社会人になって、働く父の姿に自分を重ねたりするようになってから。あの時の父はこんな思いだったのかなあ、と。

少しでも分かるようになってきて嬉しいかもしれない、と物思いに耽る日曜の朝です。


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