土と仲良くなろう 土壌診断
<土と仲良くなろう 土壌診断>
日本の土は約17種類に分類されるが、自給や家庭菜園レベルならそこまで細かく分類する必要はない。最低でも3種類に分類できるようになれば十分だ。その3つとは粘土質、砂質、壌土質である。この3つに分類できれば、あとはそれぞれのメリットを生かし、デメリットへの対策を講ずれば自然農はたやすくなる。
言葉と写真だけで説明するのは難しいから、早速自分の畑の土を取りにいって、直に触れてみよう。
親指と人差し指を使って、土の肌触りを確かめながら、できるだけ細いコヨリを作ろうとしてみてほしい。
このとき、ネチネチして粘り気があり、細いコヨリができた場合、その土質は粘土質である。色は赤っぽい。粘土質のデメリットは過湿になりやすく、どんな野菜もカビ菌系の病気になりやすいことだ。そのため、過湿対策は1年中必要だと考えたい。こまめに草刈りをして通気性を良くすること、ツル系の植物は地面を這わせるよりも支柱を使ってネット栽培にしよう。季節によって通路への緑肥や中打ちも行いたい。
粘土質の最大のメリットはその保肥力の高さゆえに団粒構造の土ができると多くの野菜で収量の多さを見込める。そのためポテンシャルは高い。しかし焦って堆肥を大量投入するとすぐに腐敗するので、緑肥をベースに土作りを行いたい。
次にザラザラしていて、なかなかコヨリができない土がある。まるで砂場で遊んだ頃を思い出すかもしれない。そう、この土質は砂質である。色は黄色や白に近い。砂質のメリットはその排水性の良さだ。そのため、野菜が病気になるリスクが低い。しかし、真夏に水切れが起こしやすく、保肥力が低いため団粒構造の土を維持するのが難しい。
畝をあまり大きくしすぎないことや草マルチを厚くするなどして水切れを防ぐ。また養分が必要な野菜に対しては自家製堆肥を作って、元肥や追肥として積極的に使う方がオススメだ。
最後の土質は壌土質である。これは太いコヨリができる。一般的に色は黒っぽい。農家さんの多くは山の土と呼ぶ。広葉樹林の落ち葉の下にこういった土質の土がよくある。昔の農家さんはこの土を求めて山を開墾してきた歴史があるほど、野菜作りには適している。
この土質の特徴は粘土質と砂質のちょうど間。つまり万能である。そのため、あまり対策をしなくても大抵の野菜を育てることができるし、団粒構造の土も作りやすい。畝の高さや大きさなど基本を守って栽培を心がけたい。
さて、土を触って土質を確認できたら、次に匂いを嗅いでもらいたい。一体どんな匂いがするだろうか???ここで雨が降っているときの森林の匂いがすれば何も問題ない。健康的な土の証拠である。無臭も合格ラインだ。
ここでツーンとしたような刺激臭や不快な匂いがした場合、何かしら未熟な堆肥が残っている可能性が高い。つまり腐敗が起きている。この状態で何かを栽培しようとすると肥料焼けやツルボケ、カビ系の病気にさらされやすくなる。もし不快な匂いがする場合、今まで何を使用してきたのかをしっかり確認しよう。未熟な堆肥が残っているようなら一度しっかり全体を耕して完熟を進めたい。匂いがなくなるくらいまで落ち着いてから栽培を始めたい。ときにビニールマルチや防草シートが土の中に残っていて腐敗臭の原因となることがある。その場合は丁寧にすべて取り除く必要がある。
さぁ、次は思い切って味見をしてみよう。一体どんな味だするだろうか???もしかして土の味見をすることに抵抗があるかもしれない。「土から野菜ができるのに、お前は土も食べられないのか?」と私の師匠の一人が話したとき「やっぱり自然農をする人は変人ばかりだな」と私は正直思った。しかし、実はワインのソムリエさんは現地の畑の土を味見する。なんとワインに原産地の土の風味が出るのだという。その話を聞いてから、あの師匠のことを信用するようになったことをここで告白しておく。
江戸時代の農書にも土の味について記述が残っているものもある。そこにはシンプルに「良い土は甘い」とだけ記されている。実際に団粒構造の土はかすかに甘味を感じるし、口の中に入れても嫌な感じがしない。しかし過去に肥料や農薬が多く散布されていた畑の土は苦みや酸味を感じる。この場合も必ず今まで使用してきた農薬や肥料を確認する必要がある。もしかしたらph値が大きく傾いている可能性もあるので酸度計で確認しよう。もし中性から大きく離れ、5以下なら籾殻くん炭を前面に、9以上ならピートモスなどをすき込んで調整することもオススメしたい。ただしこの投入の割合は非常に難しいので、緑肥を栽培して自然の力を利用して中性に戻す方が安心だ。
師匠はさらに「食べたら美味しい土を作りなさい」と話した。さすがに講座では土を食べなさいとは教えないが、口の中に入れることに抵抗のない土づくりを心がけたい。
さらにペットボトルを使って、汚染度を調べてみよう。変な味や不快感がある場合や過去に肥料や農薬が使用されている場合、汚染されている可能性がある。
もし、濁りが強く淀んでいる場合は籾殻薫炭などを畑全体に施肥することで浄化することができる。ただし、気をつけてほしいのは大量に施肥すればアルカリ性によってしまいやすくなるので、基本的には緑肥や微生物、昆虫たちの力で徐々に浄化されていくのに任せよう。人間の計算であれこれするよりも、生物多様性が持つ調整能力に任せた方が確実である。
~今後のスケジュール~
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