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【Live Report #1】圧倒的な完成度にフロアが熱狂したファイナル-The 1975@大阪城ホール

大阪城ホールの前の広場に到着すると、明らかにそこだけ関西のお洒落上位15%の人たちを集めました、みたいな光景が広がっていた。たまに本当に1975年からタイムスリップしてきたんですか?と言わんばかりのファッションの人もいるから、ちょっとビビるよね。そんな人からしたら評価にも値しない風貌自分は肩をすぼめて入場口への階段を昇る。

「ベストライブ」のサマソニを超えられるのか…?

そんな音楽・カルチャーの感度の高い、特に洋楽ファン層から圧倒的支持を得ているイギリスはマンチェスターのバンド、The 1975
"Notes On A Conditional Form"のアルバムとしての完成度に完全にハマってしまった僕は、昨年のSUMMER SONICのヘッドライナーでまるでベストアルバムのツアーかのような最高のセットリストとパフォーマンスに、これを超えるライブを今後を見ることはあるのだろうかと思ってしまうくらいに、圧倒的に素晴らしいライブを「見てしまった。」

だから、いくらサマソニ後にリリースされた"Being Funny In A Foreign Language"を引っ提げたツアーとはいえ、どこまでそこを超えられるのか、と少しばか不安もあったりした。
とはいえ、今ツアーは全公演でセットリストが異なることもあり、事前に東京公演のセットリストを聴いたりなどして一定流れを想定しつつ、気分を高めてきて会場に入ったのだった。

意表を突くアップテンポナンバーでの幕開け

往年の名曲とまだあまり世に知られていないであろう曲たちがミックスされた1975らしいSEに徐々に気分が高まりながら、その音量が大きくなり、暗転する。

(これまでのセトリからして)Mattyが弾き語りを始めるのかと思ったら・・・
メンバー全員が登場し、明らかにバンドサウンドの楽曲が始まる予感。
そして鳴り出した"Looking For Somebody(To Love)"のイントロのサプライズにオーディエンスも湧き、ダンスビートに自然と踊りだす。
意表を突くアップテンポなスタートの勢いそのままに"Happiness""UGH"とダンサブルなリズム隊が光るバンドナンバーにフロアも加速度的に熱くなり、自分もご多分に漏れずノリがどんどん大きくなっていく。明らかに他公演と異なる流れだ。

"Oh Carline"で一瞬の箸休めをしたかと思えば、1975らしい空間系のエフェクトがよく効いた綺麗なAdamたちのギターサウンドとMattyの美声のコラボレーションが見事に美しい"Me & You Together Song""If You're Too Shy(Let Me Know)"とアップテンポなナンバーが続き、ますます観客の熱は高まっていく。MattyのアコギにAdamのエレキを重ねるイントロリフのアレンジの美しさに感動した"I'm Love With You"は観客のシンガロングの部分も多く、もう皆が勝手に踊りだしてしまう空気が自然にできていた。

際立つ中盤のバラードの世界観と美声、名曲ゾーンでフロアの熱気は最高潮へ

前半にアップテンポなナンバーを固めたことによって、熱気と高まるテンションから一転して、"Fallingforyou""About You""Robbers"と続く、中盤の壮大なバラード調の曲達の世界観とMattyの歌唱力により引き込まれたのではないかと思う。今日のMattyの歌声は今まで以上に美しく、力強く、そして繊細だった。音の環境が素晴らしい城ホールだからそれがクリアに耳に入り込んでくる。

"Somebody Else"で少しノリがついてきたかと思えば、"It's Not Living(If It's Not Wtih You)""Sincerity Is Scary""Paris""Chocolate"と代表曲を立て続けにプレイし、観客のテンションを最高潮に一気に引き上げていく。
"Paris"はアコースティックアプローチのアレンジがMattyの歌声の美しさを何倍にも引き立てていて、個人的には最もグッときた場面の1つだった。

再びエモーショナルなボーカルが作る渦に飲まれて4人のロックのフィナーレへ

止まらない拍手の中、"Love It If We Made It"から"Guys"を挟みつつ、"I Always Wanna Die(Sometimes)"へとボーカルとドラムが力強い曲が続き、会場がエモーショナルの渦へと再び飲まれていく。

"The Sound"であっという間にライブはラストスパートへ。テンポの上下に揺さぶられきた観客達の感情とノリが爆発するように、会場の熱気は高まり、横に揺れ、手が上がる。Mattyがジャンプを煽るとその張本人が驚くほどに観客が上下に揺れた。
間髪入れず"Sex""Give Yourself A Try"とアガるロックナンバー2曲を投下している間に、気づけばサポートメンバーはいなくなって4人だけが鳴らすロックンロールに。「僕らはUKロックバンドなんだ」と改めて叫び示すようなラストで、夢のような2時間弱のライブはあっという間に幕を閉じた。

日本のファンだから作り出す"Atpoaim"なショー

日本4公演を経てますます質を高められた1曲1曲の完成度を余すことなく見せ尽くしたジャパンツアーファイナルの大阪公演。
テイストの似た曲を固めた緩急のついたセットリストは、感情とテンションがジェットコースターのようにうごめくライブだった。

MCやファンサービスこそ少なかったが、今ツアーのテーマのようになっている"Atpoaim"(A Theatrical Performance Of An Intimate Moment)が表す通りの、バンドと音を真に楽しむ日本のファンが作り出す温かい空間の中で、1本のショーを見たかのような、ある意味1975らしい圧倒的な完成度のライブだったとも言えるだろう。
ライブ前の心配など全く忘れるほどの満足感と多幸感に満ちて家路についたのだった。ああ、また観たいな。
※本公演はスマホ等の一般的なカメラの撮影は禁止されなかったため、写真は作者が撮影したものを掲載しています。


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