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〈読書メモ〉抱く女/桐野夏生

〈あらすじ〉


女は男の従属物じゃない──。 1972年、東京、吉祥寺。ジャズ喫茶でアルバイトをする三浦直子は、傷つけられ、社会へ憤りながら、同時に新左翼とウーマンリブの現状にも疑問を抱いていた。閉塞感の中、不意に出会ったドラマー志望の男との恋にのめり込んでゆく……。泡のごとき友情。胸に深く刻んだ死。彷徨する魂の行方。まだ何者でもなかった頃のあなたに捧ぐ、永遠の青春小説。解説=村田沙耶香

〈感想〉

70年代が舞台の作品はいくつか読んだことはあったが、どれも男性が主人公だったとこの本を読んで気がついた。
これまで読んできたものは、たとえ学生運動や時代に否定的であっても「男」だったから許容された部分もあったのだろう。

しかし、その荒削りな時代の渦中で必死に生きる女がいたことを忘れてはいけない。
女としての価値、アイデンティティは「抱かれること」にしか見出す事は出来ないのだろうか。
たとえ普段は昔からの同級生やいとこのように中身のない話で盛り上がったり、ふと思い立って夜中にバイクに飛び乗り知らない街の知らない道路の真ん中で夜の淵を走り抜けていても、一瞬でも相手から欲情されないと女として認められないのか。というのが率直な感想だった。

時代的なものかと思ったが、 多様性が認められてきた現代においても姿形を変えて持ち越されている
女は抱かれる事で存在価値(意義)がどうのこうのってニュアンスを感じ取ったけど、逆に男性はどこで意義を表すんだろ。
年収とか地位?(役職?)
女にはわからない煽り合戦が水面下で行われているのかもしれない。
現代だと何に置換されるんでしょうね。
男女別に知りたいところ。


〈追記〉

今回から本の表紙画像は版元ドットコム様からお借りする事にしました。

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