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ステロイドパルス入院九日目 ~栄養相談、退院したら何食べる?

8月31日。
8月の終わり、学生の夏休みの終わり、病院で過ごす最後の一日です。

昨夜は珍しく「眠れない」と感じる時間がありました。
久々に手首に出現した残留針と、
あとやはり入院が終わり社会生活が再開することへの緊張があるのかと。
ステロイドの影響で眠れなかった という感覚はあまりありませんでした。
眠れないなァと感じたしばらく後には寝てしまってた感じでしたのでw
今日はあまり色々考えず デザートの皿をなめつくす感じで入院生活を楽しみたいと思います。

6時半、検診。体温36.3℃、血圧78-129、血糖109、体重48.6kg。

今日は水曜日なので、骨粗鬆症を予防するアレンドロン酸錠を食前に飲みます。
コップ1杯の水で飲みくだして、
粘膜への貼り付き防止のため ベッドの上だけど30分間は横になりたい気分に逆らいます。

無事 30分を乗り切って朝食。

低蛋白ご飯130g、なめこの味噌汁、卵豆腐、人参シリシリ、ふりかけ、カロリーミックス
(589kcal、たんぱく質10.6g、脂質10.8g、塩分2.05g)
卵豆腐が出ると旅館のご飯気分になるのって不思議。

9時半、先生来訪。
この入院中 数値的にはどう推移したのか聞いてみました。
曰く、最初のステロイド点滴でeGFR値がガクンと下がったんだけど 今は元の数値に戻ってる。
(ちゅん。的元の数値は40くらいですが)
尿蛋白はまだ出てるけど、
もともとIgA腎症の尿蛋白量はネフローゼの人などに比べると多くないので、
10日くらいの入院で劇的に減ることはあまりない。
現状維持ってことですね。
なんとなく張り合いがありません。

先生と入れ替わりに点滴スタート。
あまりによく寝て 気付いたら点滴液がポタポタ滴る部分の下まで減ってしまってた。
そうそう、先生は否定してたけど、
やっぱりステロイド点滴中 舌の奥の方に苦味を感じるんだよね。

11時前、旦那来訪。
これより二人して退院後の食生活について指導を受ける栄養相談に赴きます。
だいたい家庭で食事を作る奥様とかが同席して話を聞くことが多い と聞いていたので、旦那を召喚しました。
ちゅん。家では旦那が食事担当なのです。

「栄養相談室」とプレートが出ている小部屋の前で 先に話を聞いている人の終了をしばし待ちます。
やはり中年のご夫婦が出てこられました。
奥さんが今後の食事についての注意を聞いてたんでしょうね。
部屋に入り、栄養士さんとご挨拶。そして
「ウチは旦那が食事担当なんで連れてきました。ちなみにこの人 糖尿病でインスリン注射打ってます」
栄養士さん的には中々のレアケース夫婦だったんではないかと自負しております。

まずは今までの食生活について聞かれます。
朝食はどんなものを食べているか、昼食は、夕食の傾向は、好きな物は、オヤツの習慣は、今食べている腎不全食についてどう思うか云々…。
その上で 退院後の制限すべき要素について説明がなされます。

ちゅん。が今後守るべきルールは
一日たんぱく質30〜35g、塩分6g以内
いまいちピンとこない分量を塩の小袋と魚の切り身の模型、ご飯の食品サンプルなどを並べて説明してくれます。
一日のたんぱく質30gということは 1食あたりの割り当ては約10g。
この割り当て、ご飯お茶碗1杯(180g)と卵1個(50g)で終了です。(たんぱく質:ご飯4.5g+卵6.2g)
ご飯に合わせるなら 豆腐も4分の1丁まで、ウィンナーは2本まで、マグロの刺身は3切れまで。
6枚切り食パン1枚(たんぱく質4.7g)に合わせて 牛乳コップ1杯で終わり!
キビシーーーッヽ(TдT)ノ

肉や魚、乳製品にたんぱく質が含まれていることは理解できるのですが、
問題は主食であるところのご飯やパン、麺類に想像以上のたんぱく質が含まれている点なんですね。
その対策として 今病院で食べている透き通った白さの低蛋白ご飯や低蛋白パン、低蛋白パスタやうどんなどが存在するわけです。
低蛋白パン(たんぱく質0.37g)にすることで 目玉焼きと牛乳の朝食はようやく実現することになります。

さて真面目にこのたんぱく質量を守っていると、
腎臓はたんぱく質を漉し取る量が減ってラクできますが、一日の摂取カロリーが圧倒的に足りなくなってしまいます。
ご飯1杯は約300kcal、卵1個は約75kcal。
成人女性に必要な摂取カロリーは一日ざっくり1600kcal。
この不足分カロリーを糖と脂質で補わなくてはいけないのです。トクホの真逆です。
まずは調理法で糖と脂質をプラス。
ゆで卵より油で焼く目玉焼き、さらに砂糖と牛乳少しを混ぜるスクランブルエッグにすることで摂取カロリーを上げることができます。
(77kcal→132kcal→202kcal)

同様に魚も塩焼きよりはバターや小麦粉を使うムニエルに、
さらに片栗粉やみりんを投入して 揚げ魚のあんかけにすれば カロリーは約3倍に。
もちろん肉魚だけではビタミンやミネラル、食物繊維が不足するので、野菜は多めに摂ること。
その際も ドレッシングはノンオイルではなくこってり系をしっかり掛けること。
ほとんどが油のマヨネーズは最強だそうです。
その他にも ジャムや蜂蜜、ゼリー、甘味飲料などで糖質を補給することも推奨。

嗚呼、かつてスポーツジムでダイエットインストラクターをしていたこともあるこの私が間食を勧められています
「高タンパク・低カロリー」を肝に銘じ続けていた人間が
「低タンパク・高カロリー」な食生活にしろと言われているのです。
まさにコペルニクス的転換。今までマヨネーズは敵だったのに。

とはいえ 糖尿病患者が家にいる ということは、
すでに病における食事の重要性が叩き込まれているということで。
制限しないと今後どんどん腎臓の網目が壊れていくとなっちゃあ 素直に「低タンパク・高カロリー」生活に切り替えましょう。

退院したら早速ちゅん。専用マヨネーズの購入だ。
どーしても肉食に傾いた時専用に低蛋白ご飯のレトルトも買っておこう。
塩分制限に関しては 元々塩辛いモノ好きな嗜好を見直して、
調味料系を全て減塩モノに変えることで対応できそうです。
減塩はどんなコンディションの人にも当てはまる健康法なので 対応商品も多くて助かります。

腎臓病でもう一つ制限される項目、カリウムに関しては 今のところ制限ナシでOKとのこと。
良かった、カリウムまで禁じられたら 芋類やフルーツが軒並みNGになって
それこそ何食べればイイのか途方に暮れるところでした。
アルコールに関しては 主治医の先生に相談してほしい とのこと。

図解やイラストいっぱいで分かりやすい手作りプリントと低蛋白食品のカタログ、
あと ご好意で減塩だしの素一箱をいただいて約1時間の説明終了。
さっそく明日の昼から始まる食生活に各々思いを巡らせつつ旦那と別れます。


腎臓病食のお手本拝見、昼食タイム。

低蛋白ご飯130g、えびフライ、菜の花の炒め物、ほうれん草の和え物。
(485kcal、たんぱく質11.9g、脂質16.4g、塩分1.88g)

えーと、低蛋白ご飯だからエビは2匹OKなんだな、炒めることで菜の花のカロリーアップ図ってるんだな と復習に余念がありません。

低蛋白食品のカタログめくりながら
しかし甘い物オススメされる病気ってのもこれは中々悪くないかもしれぬと思いかけたところに
このメニューが飛び込んできて正気に戻りました。

ザ・プリントースト


これって一部のゲテモノ食いの皆さんのみに許された日陰メニューだと思ってた…ッ。

談話室で読みかけのジャンプの残りを読破。
これでこの入院で思い残したことが一つ減りました。

手首に負担がかからないメニューで筋トレ。
この部屋での運動もこれが最後か。
バスマットを小さすぎる敷物として活用してたけど、
次の入院ではやっぱり安いヨガマット持ち込もうかなァ。

17時、そういや10日も入ってるのに今回はないんだなーと思ってた矢先に 内科長の大名行列。
あーいやいやどうもノリさんー具合はどうですかー、あ、明日退院ですねー数値はどうなんだっけーと
ホントわざわざ私と大勢の他の先生たちの前でやんなくてイイんじゃない?というやりとりが約2分。

前回の腎生検の時、
この大名行列の直後に謎の頭痛に見舞われたおかげで(内科長に罪はないのですが)忌避感を抱いてしまってるちゅん。です。
去り際に 次回扁桃腺摘出だから うがいはマメにやっといてね、
というのが唯一耳新しいアドバイスだったかと。

17時半、あの団体 この病室にも来たでしょー と看護師さんと話しながら検診。
血圧89-126、体温36.6℃、血糖130。


最後の晩餐(腎不全食)。

低蛋白ご飯130g、豚肉マヨネーズソース、野菜カレースープ煮、インゲンの胡麻和え。
(461kcal、たんぱく質11.5g、脂質14.6g、塩分1.61g)

オカズについてちょっと説明を。
海藻と春雨の上に茹でた豚肉が乗っていて、
それをマヨネーズソースとネギとわしゃわしゃに混ぜて頂く一品。
なんというか退院後の食生活に無限の広がりを感じてしまいました。

「大名行列来る。頭痛が起きないように真言でも唱えとくか」
なんてツイートしたバチが当たったかどうか知らないけど、
19時45分 地震!
筋トレ後の筋肉の震えかと思いきや 静かにベッドに座ってるおかげで分かる揺れの方向。
壁もミシッと音を立てて 思わず息がつまりました。
ヒィィィ外出先での地震なんてシャレにならないほど怖いぞぉぉぉ。
TV点けて情報を確認します。
とはいえ出来ることはありません。

20時50分、「揺れましたねー」と話しながら検診。
血糖156。
明日は点滴してから退院になるので、朝飯前の点滴開始になるそうです。はーい。

隣の部屋に新しくお爺さんが入ったようなのですが、
なかなか指示に従ってくれないようで看護師さんを手こずらせている模様。
「○○してくださいねー」にいちいち反抗の一言が返ってくるようじゃタイヘンだなァ。

病室での最後の夜だというのに 地震や騒がしい隣人などで落ち着かない状況になってしまいました。
まぁ居心地良すぎて真剣に退院ブルーにならずに済んで良かったかもしれません。
おそらくステロイドの影響ではなく 地震の不安で動悸を高めながら、この日はこれでおしまい。

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