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LGBT問題を銭湯の立場で考える

スーツを着た、なんの変哲もないサラリーマン風の紳士が脱衣場で服を脱ぎ始めると、赤のブラジャーと、明らかに女性用の赤いショーツを身にまとっていた。
 
時代が時代だと、お声かけして退店してもらっていたかもしれないですが、昨今は施設としては判断に悩むところです。

以前、私が勤めていた温浴施設で体験した出来事ですが、決して茶化すつもりはありません。

温浴事業を運営していた立場から、この問題を考察してみたいと思います。

LGBT法案と現場の温度差

先の国会で大揉めに揉めたLGBT法案では、

「すべての国民が安心して生活することができるようとなるよう、留意する」

という文言が付け加えられました。

施設はこれをどう受け留めるかということになります。

話題の中心となったのは「性自認」についてです。

自分の性を決めるのは自分自身であり、他人ではない。

こういった場合の公衆のトイレやお風呂の利用をどうするのかという問題です。

性的志向やジェンダーの問題と、そうではないお客様が求める安心感との間で、緊張が存在する状況は、良しとすることはできないというのが運営者としても立場になります。

公衆での行為が認められないのは偏見ではありません。


現段階では好奇の目で見られることを覚悟しているのなら、個人の志向でどのような下着を着用しようとそれは個人の自由でしょう。

温浴施設を運営していて最も警戒するのな公序良俗を冒す行為をされることです。これには男も女もなく、公共の場であることをわきまえない行為は断じて許すことはできません。

お風呂屋とハッテン場事情


ハッテン場とは、一般的に男性同性愛者、いわゆるケイの人たちの出会いの場所の意味です。

ネットの書き込みには、そこに銭湯を始め温浴施設についての書き込み情報を見つけることができます。

ネットの世界のことですから、内容の信憑性はわかりませんが、自店の書き込みがないかは、不定期に情報を見るようにしていました。

誰が、どこで、どう出会って恋愛に発展しようがそれは自由です。

しかし、自店で出会ったその場で発展(性行為)されては迷惑だからです。性別に関係なく浴場で欲情されてはこまります!
 
この手の話は業界内でよく耳にします、地域によっては代名詞的な施設もあり、風評によっては経営に影響するので注意が必要です。

私が運営に関わっていた施設は、ファミリー向けの明るい施設でしたので、目に見えた出来事は耳目にありませんでした。

しかし、20年近い運営の中で一度だけ清掃スタっフから、男湯の露天風呂の植樹の植え込みから、使用済みらしきコンドームを発見したと報告を受けたことがあります。(怒)

こういった行為は、施設にとっても迷惑なのはもちろんですが、偏見を助長することにもなるので、良識のある同性愛者にとっても迷惑な話だと思うのです。

トランスジェンダーの入浴


女性のフロントに入っていた女性スタッフが呟きます。
 
”今のお客様、女湯の方に向かっていかれました、ちょっと見てきます。”

温浴施設には、フロントで脱衣場の鍵をわたす施設と、そうでない施設があります。

フロントで脱衣場の鍵を渡す施設では時折、男性か女性か判断に悩むお客様がいて困ることがあります。

世の中にはおじさんのようなおばさんや、おばさんのようなおじさんが結構な割合で存在するのです。

そうでないタイプの施設では、チケットをフロントに渡すと、自身の判断で男湯か女湯の暖簾をくぐって貰います。

そのタイプの当店で男性らしきお客様が女子脱衣場に向かう通路に歩いて行ったのです。

ここからは聴いた話ですが、

感の良い女子のベテランスタッフは、そのお客様は男性だとすぐに確信したそうです。

”そちらは、女湯ですけどお間違いはないですか?”

場数を踏んだ、ベテランの女性スタッフは頼りになります。こんな問いかけを、躊躇なく、さりげなく、嫌味なく言ってのけるのですから頼もしい!!

 ”心は女だけど、ダメかしら?”

そのお客様も、いろんな意味でたいしたもんです!私なら、思わず怯んでいてことでしょう。

しかし、ベテランスタッフは毅然と女湯の入浴をお断りして、そのお客様を男性脱衣場へご案内しました、と報告してきました。

当店のルールで入浴するか、しないのかはお客さまの自由です。現場としてはこの判断以上の判断はできないのが現実です。

お客様が、トラスジェンターだったのか、男性の確信犯だったのかは分かりません。しかし、全ての国民の安心という観点から、公衆浴場では容認できないのです。

理解と慣習の狭間で節度を守る

前回の国会では、「性同一性」と「性自認」の言葉の定義について紛糾しました。前者は概念の問題、後者は医師の診断に紐付けられるこてで法的に肯定される可能性もあると考えられています。

そして、明確な答えは出せずに、「ジェンダーアイデンティティ」という言葉に一旦集約したようです。

当事者にとっては、重要な問題で決して言葉あそびで終わらせる問題ではないと思います。

「全ての国民」とはマイノリティも含めてのことです、声の大きだで決めることではないでしょが、個人的には、温浴施設は尊重すべきはは尊重しながらも、一定の秩序を守っていける場所でありたいと思っています。

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