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「男女雇用機会均等法」がもたらした、その後の「沈まぬ太陽」

3月8日の世界女性デーに放映されたN H Kドキュメント「抵抗の“種”メキシコのキューとで過激なアーティスト」では、メキシコでの抑圧された女性の現状に対する怒りと悲しみ、抗いを、イラストで表現し続ける女性の活動を綴っていた。

メキシコでは、毎日11人の女性が殺害されている。

性的暴行、拉致、人身売買などが日常的に横行している。警察の腐敗も激しく、捜査に対して賄賂を要求されたり、警官による脅しや暴行もあるという。

信用できない警察や、政治に対して、被害者の多くは、訴える子で犯人の報復を受ける可能性がある。
結果、告訴しなかったり、告訴してもそれを取り下げてしまうので、事件の実態や、十数はわからないのだそうだ。

女性が女性であることに恐怖を覚えながら生きて行かなければならない国。そんな世界で、女性らしい可愛いイラストを描くことなどできない。これからもイラストを描くことによって、抵抗を続けてゆくと語る女性の物語だった。

平和な国日本に暮らして


メキシコ国内での、昨年の殺人事件は26,098人。女性だけではない、男女合わせて毎日75人が殺されている計算になる。

6年ほど前に、ある商社からメキシコシティにスーパー銭湯を出せないかと相談を持ちかけられたことがあった。

対象とするのは、在留邦人だという。日本の国土の5倍の国で、人口は我が国と同じ1億2千万人、そこでの在留日本人は約1万人しかいない。

邦人相手だけでは商売にはならない。富裕層を相手に高級リゾートを作るなら考えようもあるが、先方がイメージしているような銭湯は、治安を考えると、とてもじゃないがリスクが高すぎる。

ちょっと調べただけでも、日本との治安との違いを思い知らされた。

”堅牢な建物の玄関に、マシンガンを持った警備員を立たせても安心できませんよ”と回答をした。

のれん1枚隔てた向こう側で、無防備にも裸で集う、番台に座る女性一人で、切り盛りできる。そんな商売ができる銭湯は、秩序の保たれたこの国であるから可能であって、いかに我が国が平和であるのかを、この時ばかりはつくづく思い知った。

男女平等の架け橋の世代

ぼくが社会人となった1985年に、我が国では男女雇用機会均等法が施行された。

それまでの社会では女性の一般職はすくなく、給与も男女で違いがあった。女性は、結婚したら会社を辞めて、専業主婦となり、子供を作るもの。そういった古い考えが改められた年である。

今年の4月から日本航空は女性の社長が内定している。鳥取美津子氏は現在59歳、ぼくと同年だ。

1885年に、C A(ギャビンアテンダント)として採用されたそうである。日本航空では、ままだC Aをスチュワーデスと呼称していた。

日本航空といえば、1996年から連載が開始された「沈まぬ太陽」が有名だ。フィクションの建前だが、その実情は日本航空内で繰り広げられる、男社会での権力争い、男の嫉妬や妬み、を赤裸々に描いた問題作だった。女性社長が誕生する素地など、微塵も感じられない。この小説からすると隔世の感である。

女性は家を守るもの、といった古い世代の諸先輩の下で、社会を歩んできた我々が、還暦を迎え、例年の年となった訳だ。

女性の社会進出が進み、女性のリーダーが増えたとはいえ、現在のプライム上場会社1,863社野中で、女性のトップはまだ、僅か16名で1%にも満たない。

国民の代表とも言える政治家の世界でも、衆議院議員の女性割合は10%、参議院議員でも25%である。まだまだ平等とは言い難い。

還暦を迎えるぼくらの課題

今年、芸能界で一番の話題は、エンタメ界の帝王による女性上納問題だろう。真意の程は定かではないが、帝王の年齢は僕らと同年代だ。

先日は、市会議員の懇親会で、過激な女性ダンサーを招いたことが、不適切と話題になっている。懇親会の幹事を務めた議員が、離党届を出したそうだが、この議員の年齢は僕ら世代より1回り下である。

尻馬に乗って、なんでも、かんでも、糾弾するつもりはないが、やはりそこには時代にマッチできていない、男のエゴがあるのは確かではないか。

架け橋である時代を担ったものとして、僕らの世代は、まだそういったエゴを内包していることだけは意識しておく必要はあるようだ!

本当の意味で平等な世界を創り、彼の国のお手本となるよう努力をしたい。ぼくらは、架け橋の世代として、それを見届ける義務がある。

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