自分の人生は自分で決める幸せ!命があるから広がる様々なドラマ
臓器移植を受けて、命を繋いだ人とその家族の手記を読んでいて思うことなのですが、そこには様々なドラマがあるということです。
ドラマの登場人物は、移植手術を受けるレシピエントとその家族。臓器を提供するドナーとその家族。そして、その仲介をする、医療従事者や移植コーディネーターが中心となるのです。
ドラマでは、基本的にドナー側とレシピエント側が直接交わることはありません。
しかしそれは、オムニスドラマであり、お互いの思いが激しく交差します。
ドラマの軸は「生きたい」という共通のテーマ
生きることのできなかったドナー、生きる可能性をもらったレシピエント、レシピエントが生きることを願う家族と、生きたかったドナー、そしてドナーの思いがどこかで存在として生き続けることを願うドナーの家族。
さらに、その思いを実行に移す医師やコーディネータの思いも絡みあいます。
このドラマは、絶対に善意でなければなりません、テーマから外れた人物を登場させてはならないのです。
自分の人生を決めることのできる幸せ
移植手術を受けたあるレシピエントとその家族の話です
突然心臓の病で、自分の心臓では生きることができなくなった男性は、一旦人工心臓に頼りながら、心臓移植手術を受けなければならない状態になりました。
彼には、日本で働くイギリス人の婚約者がいました。
将来は彼女と海外での生活を考えていたのだそうですが、その夢は実現できそうにもないと悟り、彼女の夢を邪魔するわけにはいかないと、別れを決意し彼女に告げます。
しかし、彼女の答えは
「自分の人生を決めるのは私、あなたじゃない」
そう言って、人工心臓となった彼を介護し続け、移植の日を待ちます。
彼は、その言葉に勇気付けられ、生きる決意を新たにし、闘病生活に耐え前向きに生きていきます。
このことばの重さと覚悟、手記を読みながら震えました。
自分の命を自分の意思では決めることのできなくなった彼に対して、生き方は自分で決意できると示したのだと思うのです。
日本語を十分に理解できない彼女は、その孤独とも戦わなければならなかったのですが、彼を献身的に支えるのでした。
やがて、心臓移植のドナーが見つかり、手術は成功します。
二人は結婚をし、新たな命も授かりました。
何があっても、生きると決意した彼、その彼を支えると決意した彼女。本人の直接の意思でない場合もあるが、誰かの命を救うと決意していたドナー、そしてその意思への承諾をしたドナーの家族の決意。
それぞれが決意した人生は、どれも苦しみや悲しみを濃厚に抱えた物語。
それでも自分の人生を自分で決めることのできることの大切さは、どの手記を読んで感じるのです。
苦しい決意や、悲しい決意がない世界であるのが一番よいことは間違いないが、どんな場合でも物語を続ける可能性がある社会でありたい。
ドナーについて、考えてみる。出した結論はどうであれ、その決意を尊重します。感心を持つことが大切だと思う。
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