ミヒャエル・エンデの『モモ』を初めて読んだ感想

こんにちは、児童発達指導員の宇宙スマイルです。
以前の記事でこの夏にやりたいことを『夏休みの宿題』と題して発表しました。

その中の1つに【ミヒャエル・エンデの『モモ』を読む】という宿題がありました。先日、僕はその『モモ』を読み終わったため、この記事で感想を綴ろうと思います。

作品紹介

ミヒャエル・エンデさんはドイツ出身で、『モモ』を書かれたのは1973年だそうです。

モモの舞台となるのは現代世界の円形劇場跡地。
そこにある日突然、8〜12歳ぐらいの奇妙な格好をした少女がその円形劇場跡に住みつきます。彼女がこの物語の主人公モモです。

モモの暮らしの中で、段々と変化が生まれてきます。
モモの周りにいた人たちが次第に「忙しく」なってしまったためです。その「忙しさ」は、時間貯蓄銀行から来たと言う灰色の男から、「時間を節約する契約」を交わしてしまったことが理由だったのです。

この話は、灰色の男たちから人々の時間を取り戻す少女の物語です。

宇宙スマイルの感想

さて、ここからは宇宙スマイルの感想パートです!
3つのパートに分けてご紹介します。
1つ目は「キャラクター」についてです。個人的に惹かれたキャラクターを1人紹介します。2つ目は物語の“テーマ”に触れようと思います。3つ目のパートでは「あとがき」を紹介します。最後の最後まで楽しめるこの本は、あとがきが素敵でした!

①魅力的なキャラクター

この物語には高齢の道路掃除夫“ベッポ”という人物が出ています。主人公の親友の1人です👨🏼‍🦳
僕の1番好きなキャラクターはこの「ベッポ」なんです!

彼の人間性や考え方に共感するポイントが多く、僕には魅力的に見えて仕方がなかったです!

彼の特徴は「よく考えて生きている」ことです。ベッポは人と会話をしている時もよく考えてから答えを出すため、相手の質問に対して1日後に答えを返すこともありました。

「流石に考えすぎじゃない?😅」

そう思う周りの人たちは、彼のことを変人扱いしていたのです。

主人公のモモはベッポの特徴を見抜いていたため、会話をしていてもちっとも違和感なく接することができていました。

僕はよく考えごとをしていたり、返答するのに時間を要してしまうことがあるため、ベッポに共感しちゃいました。

「わかる!わかるで!ベッポ!あんたはちっとも変人なんかやない!」僕の心の中の関西人がこう叫んでいました。

ベッポの思慮深い一面は道路掃除の仕事にも出てきます。
ほうきを持ち、一歩進んでは掃き、一息付く。また一歩進んでは掃き、一息付く。彼は仕事を丁寧に文字通り「一歩ずつ」進めていきました。
超丁寧な仕事人です。
時間はかかりますが、これが彼のスタイルです😎

そんなベッポさんがモモに話したことをご紹介します。

「なあ、モモ、」
〜(省略)〜
「とっても長い道路をうけもつことがあるんだ。おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、そう思ってしまう。」
〜〜
「そこでせかせかと働きだす。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげて見るんだが、いつ見てものこりの道路はちっともへっていない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息がきれて、動けなくなってしまう。道路はまだのこっているのにな。こういうやり方はいかんのだ。」
〜〜
「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけ考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」
〜〜
「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにぁだめなんだ。」
〜〜
「ひょっと気がついたときには、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶおわっとる。どうやってやりとげたかは、じぶんでもわからんし、息もきれてない。」
〜〜
「これがだいじなんだ。」

『モモ』より

これがベッポさんです👏
今に集中していくことの大切さ、そこから楽しみが生まれることを教えてくれます。
将来の事を考えて漠然とした不安に囚われるのではなく、一歩ずつ丁寧に進むこと、今日を生きることが大切であると感じました。ベッポさん、いや、ベッポ先生ありがとう!

②話のテーマ『時間』について

この物語のテーマである「時間」については、現代を生きる人々なら誰しもが考えることがあると思います。

やれコスパだタイパだと言う今の時代は、時間に対してとてもシビアな気がします。

物語中では時間貯蓄銀行の灰色の男が、人々から時間を銀行に預けるように促します。時間を節約して生活を送り、余った時間を銀行に預ければ、将来、利子をつけて返すと言われるのです。

人々は今までしていた無駄(とみなされた)時間を削り、せかせかと働き始めます。そのおかげで商売は上手くいきますが、心はどんどん貧しくなりました。

人はそれぞれに合った生き方(時間の過ごし方)があります。コスパやタイパを気にする現代は、①で紹介したベッポのようなゆっくりと生きる人々を急かしてしまう。そんな風にも思います。物語と現実がどこかリンクしているような?そんな気がします。

③「あとがき」に残すファンタジー

さて、長々と書いてきました感想文もラストスパートです!

『モモ』のあとがきには、とても素敵な「最後までファンタジーを届けてくれるなあ!」と思った文章が書かれていました。

なんと作者のミヒャエルさんは「この物語は私が考えたのではないのです」と仰るんです!「ほいだらあなたは何したの?!」と思っちゃいますね。

ミヒャエルさんが列車に乗っている際、ある旅人から「モモ」の話を聞いたそうです。
話し終えた旅人は、ミヒャエルさんにこう言ったそうです。

「私は今の話を過去に起こったことのように話しましたが、未来に起こることとして話してもよかったのですよ。私にとっては大した違いはありませんから」

どこか現実の世界とリンクするような物語で、灰色の男たちの存在も感じてしまう程せかせか生きてしまう世の中です。
灰色の男たちは既に来ているのか、若しくはこれから皆さんの前に現れるのか。最後までファンタジーを届けてくれるあとがきでした👏


最後まで読んでいただきありがとうございました♪
ミヒャエル・エンデの『モモ』を是非読んでみてください👋

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