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【小説】僕らに届ける物語

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この物語によって誰かを笑顔にしたり、勇気付けたりする事が出来れば嬉しいです。【心温まるショートストーリー】
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歩いてきた道、歩いて行く道

歩いてきた道、歩いて行く道

シンガポールでの鉄道建設プロジェクトを進める俺は、
連休中に高校の同窓会があるため一時帰国していた。

『かんぱ〜い!!』「いやぁ、懐かしいな!お前ちょっと老けた?」

「それはお互い様だろー!」

高校時代の仲間と久しぶりに会い、それぞれの近況や、
思い出話に花が咲いた。
中でも1番盛り上がった話は“3年生の頃の担任の話”だった。

俺らのクラスを最後に受けもち、翌年に定年退職した
“じーちゃん

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第三話 バイエルから教わったこと

自分は小さい頃からピアノを弾いている。
小学校に入ると同時か、その少し後くらいだったかな?

親に「男の子で楽器弾けるとカッコいいよ〜」と言われたのを覚えている。
蓋を開けてみれば、ピアノを習いたいと言い出したのは1個上の姉だと言う事がわかったんだ。

とりあえず姉と同じピアノ教室に通い、先生に教えられるまま教科書にある「バイエル」を1から練習していった。

僕には才能がない。
寧ろ、そこまでやり

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第二話 母から教わった味

第二話 母から教わった味

【コレ以降の文章は、玉ねぎを切りながら読んでください。何かの役に立つかも知れない】

『星が降る夜』とはよく言ったもので、流れ星を初めて観た人は実際に星が落ちたと思い、大騒ぎしたとか。
コレは、科学が今よりも遥かに発展していなかった頃の話。貴方も、貴方の周りのご老人も聞いた事のない、江戸時代のある料理人の話。

『いいか、料理は上手い下手じゃない。思いやる気持ちが大事なんだ。あらゆる物、あらゆる人

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第一話 寺の不思議な鐘の音

第一話 寺の不思議な鐘の音

今年ももう終わりか…
案外、早く終わっちまったなぁ
う〜、寒っ、今年は雪が降ってるのか

年の瀬から、年明けにかけて
私は除夜の鐘を打っている。
毎年、毎年、この鐘の音を聞くと不思議と何かを思い出す。これも毎年恒例の楽しみの一つだ。

さて、今年も始めますかね。

…ゴォーン…ゴォーン …「お願いします!今回の原稿…目を通して頂くだけでも構いません!だから、チャンスを!私にチャンスを下さい!!」

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