
宇宙を「夢があっていいね」とか「ロマンのある話だね」で片づけてしまっていいのかなぁ?
宇宙を使った教育活動は全国各地の教育機関や団体が行っていて、各々が思い描く目標を実現しようとしています。
わが町からロケットを打ち上げたい。わが校の生徒に人工衛星を作らせたい。わが子を宇宙飛行士にしたい。地球外生命体を発見したい。そのために必要な知識を身につけさせ、経験を積ませたい。じつに夢のある話です。
一方で、現実離れした遠い世界の話。自分には関係ない領域だし、面白そうだけど役に立たないよね、と多くの人がそう考えているのではないでしょうか。
ここで少しだけ見方を変えてみましょう。
いま生きているこの場所は「宇宙の一部」
理科で習うかもしれませんが、これは事実です。そして日々降りかかってくる自然現象も、宇宙の中ではごく当たり前の出来事だということも。
数十年に一度の大洪水。数百年に一度の地震。数万年に一度の○○など。地球の歴史を紐解けば、似たような出来事が幾度となく繰り返されています。
また人類が、地球上では頂点に立つ生命体であり、でも宇宙ではとても珍しい存在かもしれないこと。そして自らの手で自然の営みを狂わすかもしれないことも、わかり始めました。
宇宙の見方を変えるチャンス
科学の発展で、いろいろな知識を身につけ、次々と新しい技術を生み出し、私たちは作り出された便利さの中で生活をしています。
でも、いまのような生活が、そんなに長続きしないかもしれないことにも、気づき始めました。だから「持続可能な開発目標(SDGs)」が必要だと叫ばれているのです。
こんな見方をしてみましょう。
国際宇宙ステーションから見える地球は?青くて美しい。国境が見えません。それだけ? ーそこに自分がいるという感覚を持てますか?
太陽系を飛び出した探査機ボイジャーから見た地球。ゴマ粒よりも小さく見えます。ーでも周りを見渡しても、そこにしか自分の居場所がなさそうという現実に気づきますか?
写真:The Pale Blue Dot© NASA
宇宙教育で大切にしている「宇宙の視座」は、いまの生活を、ちょっと違った角度から見てみることです。すると「遠い世界であったはずの宇宙」をもっと真剣に考えるようになります。そして、地球や人類の持続可能性にも対峙するきっかけが生まれます。
悲観から希望へ
日々報道される地球上の出来事は、とても悲観的に聞こえます。もちろん、地球の歴史からすると、ごく当たり前の現象が起こっているだけとも捉えられますが、人類が手に入れたテクノロジーが原因の一つであることも間違いはなさそうです。
でもそんな力があるのなら、もっと人類がハッピーになれる方向に舵を切る事ができるのではないか。そんな可能性を、現実味を持って学ぶことも、宇宙教育の目的かもしれません。
地球を守るため、人類を救うために宇宙へ飛び出していく人たちを描いたアニメ物語は、もう「夢」や「ロマン」だけの世界ではないのかも。
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