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星座解説第4回 こと座編

どうもyoutubeチャンネル「宇宙冒険隊」のHommaです!

今回はこと座の天体について解説していきたいと思います。

こと座の探し方

こと座は夏の代表的な星座です。

夏の天の川に横たわるはくちょう座の十字形を見つけたら、鳥の尾にあたる1等星デネブから右翼の方へ視線を伸ばしてみましょう。青白い1等星ベガを簡単に見つけることができると思います。

こと座の探し方

ベガに平行四辺形をくっつけた小さな星座がこと座です。

こと座α星「ベガ」

最も明るい星がこと座のベガです。七夕伝説では織姫星として有名ですね。夏の星空では最も明るく、全天では5番目に明るい星となっています。

こと座

一等星より明るい0等星という明るさをもち、唯一の第一次標準星という重要な星です。全天の星の明るさはベガの明るさを基準にして決められています。

ベガは後の北極星としても知られています。地球は自転軸を中心にして1日1回自転していますが、太陽や月の引力の影響でこの自転軸がふらつくコマのように2万5800年の周期で首振り運動をしています。

これを歳差運動というのですが、この歳差運動によってベガは1万2000年後に北極星として真北に輝くことがわかっています。

ちなみに紀元前2500年前のクフ王のピラミッドが建設された頃にはりゅう座α星のツバルが北極星でした。

また、ベガには周囲に太陽系に似た半径850天文単位の小天体の円盤があり、太陽系と同様の惑星が複数あるかもしれないと考えられています。


こと座ε星 ダブルダブルスター

ベガのすぐそばに一見何の変哲もない星「こと座ε星」があります。しかし、この星は「ダブルダブルスター」というあだ名をもち、夜空に望遠鏡を向ける人々から広く親しまれてきました。

望遠鏡で覗いてみると、その理由が分かります。

まず、双眼鏡で拡大してみると、二つの星に分かれて見えます。このように肉眼だと一つの星に見えるが、実際は複数の星が重なっている天体を重星と言います。

続いて望遠鏡を使ってさらに拡大すると、先ほどの二つの星それぞれがさらに分かれて、二つの星が重なった重星であることが分かります。つまり、こと座ε星は実際には4つの星を含んでいます。二つの星からなる重星を二重星(ダブルスター)と呼ぶので、それがさらに二重になっているこの構造から、「ダブルダブルスター」と呼ばれています。

ダブルダブルスター

リングの形をした惑星状星雲「M57」

次に紹介する天体は、星雲の中でも非常に有名なM57です。惑星状星雲としては、こぎつね座にある亜鈴状星雲(M27)に次いで二番目に発見されました。

M57はドーナッツの形をしており、リング星雲環状星雲とも呼ばれます。双眼鏡でも簡単に見つけることができます。平行四辺形のベガから最も遠い辺の中ほどにあります。

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このリング星雲は太陽くらいの重さの星が一生の終わりに外層部のガスを吹き出して形成した惑星状星雲で、中心には白色矮星(厳密には白色矮星になる前の段階)が見えます。

内側と外側の色の違いの理由は?

望遠鏡で覗くとリングの内と外で異なった色をしているのが分かります。

なぜこのような鮮やかな色をしているのでしょうか?

それはガスに含まれている原子に由来します。

太陽光をプリズムを通してみると赤から紫までの光に分けることができます。これを波長に沿って並べたものを光のスペクトルと言います。一方で、気体原子の発光に得られる光はプリズムを通しても色が変わらず単色の明るい光の線(輝線)が見られます。

太陽のように様々な波長の光を含んでいるものを連続スペクトル、単色光からなるスペクトルを輝線スペクトルと言います。

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原子は核を電子が取り巻いている構造をしていますが、一番外側の電子が、エネルギーを受け取ると高エネルギー状態へと励起します。そして、元の低エネルギー状態に遷移する時に、光のエネルギーとして放射します。

このエネルギーは決まっているので、原子ごとに決まった一定波長の線スペクトルが観測できます。そのため、元素分析に応用することができます。


広告などで用いられるネオンサインを見たことがあるでしょうか?

ネオン・ナトリウムランプ

あれは真空にしたガラス管に少量のネオンを入れ、放電させた時に発する赤色の光を利用しています。高速道路のトンネルなどで用いられるナトリウムランプもこれを利用しています。


惑星状星雲についても同様です。中心の星が紫外線を放出し、赤色巨星だった頃に周囲へ放出したガスに吸収されると、そのエネルギーによってガスが光を放ちます。

M57の場合、中央付近にある濃い青色はヘリウム、その周りにある明るい緑色は酸素、青色や緑色を取り囲む明るい赤色の部分は窒素の存在を示しています。M57のような惑星状星雲は、このように様々な物質が異なる色で輝くため非常に美しい姿を見せてくれます。


こと座の天体についての解説は以上になります。

こと座もはくちょう座と同様、今が見頃の星座なので、ぜひ今回紹介した天体を双眼鏡や望遠鏡を使って覗いてみてくださいね!

次回はへび座へびつかい座を一気に紹介!知れば知るほど奥深い様々な星雲についてさらに詳しく解説します。

画像クレジット:
・Stellarium(https://stellarium.org/ja/)
・国立天文台
・NASA/STScI/ESA





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