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月面基地はなぜ作る必要があるのか?

月面基地が建設され、人が月に長期滞在できる時代が目の前まで来ている。

現在、NASAを中心に各国の宇宙機関が月面基地制作のための計画を進めており、アメリカは2028年までの完成を目指している。

確かに、月面基地は夢があると思うが、なぜそんなものを作る必要があるのか疑問に思う人もいるだろう。
今回の記事では、月面基地を建てる目的を考えてみたいと思う。

月の詳細な調査

まず、科学者を志す私としては、月の起源や進化についての詳細な調査ができるという理由を1番にあげたい。
これまで月の科学的な調査は、アポロのもたらした実測データと月のサンプル、周回衛星からのデータに限られていた。
これらのデータによって月に関する多くのことが理解されてきたが、より理解を深めるためには実際に現場に行き、その場での観測をすることが必要である。

そのような観点から月面基地は、調査の拠点基地内での実験などを実現できるため、月の起源や進化、および地球が形成した当時の環境復元に近づく科学的な成果が得られると期待されている。

人類の宇宙進出

私たちはいまだに地球以外の天体に居住することはできていない。
それだけでなく、月以外の天体には人間が到達したこともないのだ。アポロによって人類が初めて月面着陸したのが50年前ということを考えると、正直驚きである。

この遅れていた宇宙進出の最初のターゲットとなるのが、一度行ったことのある月になるのは当然であろう。
そして、この月でも持続的に人間が生活することができれば、人間の活動圏をさらに広げることができ、その中から地球上でも活用できる技術を得られる可能性がある。

火星有人探査への足掛かり

「人類の宇宙進出」のところで述べたような月面基地作成の技術が実証されれば、理論上は火星にも同様の基地を作ることができるようになる。
そのため、月面基地作成の技術は火星有人探査や火星基地にもつながっている。

また、NASAは火星有人探査の中継地点として、月を活用する考えを持っている。これは、地球上から直接火星を目指すより、重力のない月からロケットを飛ばす方が燃料を使わない分、効率よく火星まで飛行できるという発想からである。(実際は六ロケットの発射場を月に作るコストを考慮するとどっちが良いのかは微妙であるが...) 

このように今後の火星探査や火星基地制作の足がかりとしての月面基地という役割も持っている。

ポストISS

NASAはアポロ計画以降、有人ミッションを宇宙探査の大きな柱にしてきた。
その系譜は次のように引き継がれている。

アポロ計画

スペースシャトル

ISS(国際宇宙ステーション)

月有人探査および月面基地制作 ← NEW!!

これらのミッションの背景には、政治的な思惑もあり、現在の「月有人探査および月面基地制作」においてもそういった部分は存在する。(特にお金の面)

つまり、政治的な背景からこのミッションを継続したいという流れが既に出来上がっている。単にロマンだけでは動いていないのが宇宙開発なのである...


さて、このように月面基地を建設する目的や背景について考えてきたが、皆さんは月面基地の建設に対してどう思うだろうか?

私は科学的な実験や探査をより詳しく行えるので賛成であるが、中には国民の税金でそんなことをする必要はないという人もいるでしょう。もちろんそのような考え方が間違っていると主張する気はない。ある側面から見れば、そのかたの言い分も正しい。
だから、もっと宇宙探査の優位性や必要性をアピールしていかなければならない。
私はまだ学生という立場だが、将来宇宙探査を引っ張る職につくことを考えて、研究だけでなく、宇宙開発の必要性をしっかり考えていきたいと思う。


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