見出し画像

「ノアとチキュウの遊び方」演出・脚本 : 金澤萌恵さんインタビュー

_____今回のキャストについてですが、演技未経験者をメインにすると決めていたということでしょうか?

「本当の自分を生きる演劇プロジェクト」という趣旨で優佳ちゃんが集めた結果、演劇を専門にやっていない人たちだったかな。演劇をやってる方々は私がお誘いして出演してもらっています。


_____稽古期間は約半年ですが、舞台の稽古期間としては長いのでしょうか?

だいぶ長いですね。だいたい2ヶ月くらいで、長くても4ヶ月ほどなので。
今回は4月から3ヶ月くらいは台本に入らず演技・ダンス・歌の基礎練をやっていたのね。
7月にキャスティングオーディションがあってから台本の稽古を始めたんだよね。

最初に講師を集めてミーティングをしたときに「初心者だからこれくらいだろう」と思って指導をしていくとプロジェクトの趣旨から外れてしまう話はしたんだよね。
今回が一生に一度の舞台になる人もいるかもしれないし、最後でなくてもこのメンバーでできるのは最後。
だから、私たちが最初から目標地点を下げてしまうと皆の可能性を摘んでしまう。

お客様に良いものを見せるのも大事だけど、それ以上に参加者が「本気で取り組んだ自分ってすごいんだ!」と終わったあとに体感してほしくて。

妥当な振り付けや曲数を減らして公演時間を短くしたり、いくらでもやり方はあったと思う。
書いたときに歌だけで18曲、アンサンブルの出演時間も長い。
メインとアンサンブルの差があまりないし、むしろアンサンブルが覚える量は多い。


ほとんどのキャストが私より年上の方々が多いんだけど、頭でわかっていても身体がついていかない大変さはミュージカルをやっていた経験からよくわかるのね。
他の人が踊りをすぐ覚えられても、私はその日の稽古では全然できなくて。
歌も出来なくて劣等生だったんだよね。
泣きながらやっと次の稽古でできるようになってたので、できなくて辛い、悔しいって気持ちはわかる。

「大人になって仕事でもないのに、なんで惨めな思いをしなきゃいけないんだろう」と思う瞬間ってあったと思う。年下の演出部や私から言われていい気分はしないだろうけど、皆さんは素直に聞いてくれる。最初からプロフェッショナルとして扱ってるから、一人の人間として不可能はないと私たちが信じていなかったら参加者にも伝わってしまう。

台本を講師の方々に見せたときに、すごく難しいと意見もあった。でも、みんなからインスピレーションをもらってるから「出来ないかもしれない」と下げることはできなかった。
出来そうになくてもやる。講師たちにお願いして稽古を進めていきました。


_____演技経験がない参加者に対して、なぜ信じることができたでしょうか?

両親や祖父母の影響が大きいかな。一度もやりたいことを否定されたことがなかったんだよね。
「萌恵がしたいならしたらいい。でも、自分で決めたことの責任は自分で取るんだよ」と小さい頃から教えてもらったのね。
初めてだから、子供だからと否定されたことがありがたいことになかったんですよね。

だから、信じたようにその人はなる
教える立場になっても、人は信じたようにしか育たないと思っていて。
今何ができるか、じゃなくてその人が本当はどうしたいのか、その人が持っている可能性の種を信じるかが大事。


自分が大好きな人たちから出来ないと言われたことはないから、自分が関わる人たちも信じたい。


可能性は信じたように育つんだよね。



今、苦しんでいたとしてもその後がどうなるかは誰にもわからないから決めつけない。自分の可能性の先に行く。

振り返ったときに青春だったらいいな。
自分以上に自分を信じてくれる人たちがいてこその青春。

演劇を教える以上に、この場所が失敗してもいいし自分以上に自分の可能性を信じてくれる場所を作るのが私の重要な役割かな。

年齢や職業、今まで自分がどんな人生を送ってきたかは関係なく、今を認め合える場所が増えてほしいと思って演技指導をさせていただいています。

あの場所は安全で、あの仲間が最高だったと思って終えると作品が結果的によくなると信じています。


(聞いてるだけで涙が出てきた・・・!)


私が29歳のときに日光の山奥に籠ったことがあって。そのときに両親から父と祖父母と血が繋がっていないことが発覚して。
びっくりしたんだけど人間ってすごいなと思って。血が繋がっていない私をこんなに可愛がられるんだなぁって。
人間の汚い感情や事件もあるけど、人間って捨てたものじゃないよねと改めて感じたんだよね。
絶望と愛を教えてくれるのも人間だったら、世界は全て幸せではないと分かった上で作品を作るなら人を信じてみたい。

劇中でも「信じてみる」と何回か出てくるんだよね。苦しみや絶望の中でも手を差し伸べてくれる人間もいると信じたい。
人を信じると教えてくれた家族からの愛情は直接的に物語に出てこないけど影響が大きいね。


_____演技経験がない方に指導するのは以前からされていたのでしょうか?

優佳ちゃんのコミュニティでもやってたし、演技経験がない方で2人芝居の演技指導をさせてもらったときに、初めてとは思えないくらいのクオリティだったんですよね。私の言ったことをスポンジみたいに吸収してくれて、表現を心から楽しんでくれているのが伝わってきたんです。

今回の現場では基礎稽古を台本に入る前にずっとやっていました。舞台に立つ私たちの本当の感情で伝える、心と体と感性の繋がりをノンバーバルコミュニケーションを通じて真実のやりとりを目指す共通言語を作る所からはじめました。

演技は動きを全てつけてしまった方がやりやすいのかもしれないけど、ちゃんと人がここにいる芝居を目指したらプロジェクトの趣旨に合っているかなと思っていて。抽象度の高いところから始めたので、最初は意味がわからなかったんじゃないかな。
お世話になっていた演出家が大切にしていた「自分が傷つく覚悟と相手を傷つける勇気を持って目の前の相手と向き合うこと」を、私も今回の現場で大切にしています。
どんなキャラクターをやるとしても、結局はそこに生きる人間達のドラマだと思うので。

_____ノンバーバルコミュニケーションは萌恵さんオリジナルと聞いたのですが、原点は何だったのでしょう?

もともと心理学用語なんだよね。言葉がに頼りすぎていて、本当に伝えたいことが伝わってないことが現代に起きているのではないかと考えていた時期があって。
言葉を封印したら、五感が研ぎ澄まされるのではないかと思って始めたんですよね。今は欲求や愛など色んな角度からも行っています。
自分の身体は楽器。現代では外に出せる音色の種類が限られてしまっているけど、どの音色もチューニングすることが健康上も良いから演劇をやっていない人も受けにきてくれています。

言葉がいらないから、ゆくゆくは世界中の人たちとやってみたい。
本当に心の病気に演劇的な行為がどこまで役に立つのか、にも興味がある。
人間探求に演劇が一番合っていましたね。

人の心と身体がちゃんと繋がって自分の望む人生を送るのが大事だから、心と身体のメンテナンスができるようになったらいいなと思っています。
その手段を広めていける人になれたらいいな、と。
今回のプロジェクトはピッタリでしたね。

研究材料が増えた!(笑)


_____(笑)確かに! 0から人が変わっていく過程が見えますよね。

そうそう。演劇的な行為が人の心にどう影響を与えていくのか観察してます。

作品を見てもらうのがゴールではなく、演劇体験を通して今後の人生にどう影響を与えていくのか?
壮大なプロジェクトの始まりですね。
全ての人は表現者だと思ってるのね。私は金澤萌恵の人生の演出・脚本・主演をやっている。

(とても素敵な言葉! 私も、私の人生の主演・・・。)

今作をあえてファンタジーにしたのは、宗教も国籍も超えて演劇経験、年齢も関係なく100年、200年先まで残していきたくて書いたのね。




演劇を使って人生を豊かにしていける



興味を持ってもらえるフックになるんじゃないかなと。

(私も演劇で人生を変えてもらった一人です!!)

もっと主宰をしてくれる人が増えたらいいなとも思っていて。キャパが小さくてもこのプロジェクトが世界中に広がるといいな。
表現を通して世界中に仲間を作りたいし、本当の自分を生きる人たちがどんどん増えていったらいいなって野望がある。

来年のことはまだ決めていないんだけど(笑)

旅をしながら講演会やWSを行なっていきたい気持ちもあって。今年駆け抜けた後に考えようかな〜って(笑)



_____思ってることは叶う、と演劇を通じて教えてもらってる最中です。萌恵さんのWSも参加してみたいです!

楽しみですね〜。ぜひぜひ!
これから集中稽古に入るし、またみんなの成長を見てください!


_____楽しみにしています!衣装を着たらまた違って見えますよね。ありがとうございました!!





🌍公式サイト


🎫チケット


🎥youtube


📝金澤萌恵 公式ブログ





















サポートしていただたら光栄です。いただいたサポートは、これからの記事探しの費用として使わせていただきます! 一緒に、文字の旅へ出かけませんか?