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自殺の映像を分析する"MoVIES"

この論文の紹介記事です。論文の著作権(CC BY 4.0)に則っています。
Construction and Validation of an Analytical Grid about Video Representations of Suicide (“MoVIES”)
Gauld C, Wathelet M, Medjkane F, Pauwels N, Bougerol T, Notredame CE.
Environmental Research and Public Health, 2019; 16: 2780. doi: 10.3390/ijerph16152780

 Movies and Video: Identification and Emotions in Reaction to Suicide (MoVIES:自殺に対する同一化と感情)は、自殺行動を描いた架空のシーンを定量的に特徴づけるための分析ツールです。
 視聴者が自分自身を、自殺行動をするキャラクターと同一化することは、視聴者の自殺行動を促進する要因の一つです。そのため、研究者や臨床医が架空の自殺シーンがある映像作品のリスク特性を量的に明らかにするため、このツールが開発されました。

 本文中にはMoVIESをサマライズした項目(Table1)が掲載されていましたので、これを和訳してみました(19, 28など翻訳の怪しい所があります)。
 項目内容はシビアなのでやはり専門家向けです。フルバージョンは著者にリクエストする必要があります。
 該当シーンについて各項目が真(1)か偽(0)かで評価し、合計点が高いほどリスクのある要素が映像に多いことになります。ただし、*印のみパパゲーノ効果という、メディアコンテンツのポジティブな効果について示した項目であるため、真(0)か偽(1)で得点化します。
 K(Cohen'K:カッパ係数)は、本尺度を使って該当のシーンを評価した際に、専門家同士でどれほど評価が一致したかを表しています。

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 日本では自殺関連の映像と視聴者に与える心理的影響に関する研究はまだ乏しいので、このような画期的ツールを活用することで今後の研究を前進させたいところです。

※大学時代の後輩で映像関係の活動をしている細井氏に翻訳や解釈を協力してもらいました。ありがとうございました。

※記事は項目を翻訳して紹介する主旨のため、今後翻訳をアップグレードしたり実際に研究に用いるツールとして作成しなおしたりする可能性があります。



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