Under25(+3くらいまでおけ)に捧ぐ、税務業界におけるキャリアと年収を上げる方法論について

はじめに


 非独立組のキャリアについてはあまり情報が無く、ネット上では税務業界に対して悲観的な意見も数多く見受けられるので、「独立こそが至高」との意見がマジョリティになるのは分からなくはないですが、逆風に負けず、非独立組の視点から税務業界でのキャリアパスを考えていこうと思います。
 非独立組とは書きましたが、独立は常にオプションとして存在しているし、いつそれを行使するかは各個人の自由に委ねられている訳ですから、行使時の時価が最大になるようなプランも同時に検討していきましょう。

 法人メイン、非独立組で有資格(院免含む。キャリアスタートでは無く指標到達時点。)、1,000万円というのを一つの指標として、その実現方法を検討すると共に、年収基準だけではなく、経験値の面からも最適なキャリアを探っていきます。

キャリアスタート 


 新卒採用は業界全体で言えば一般的とまでは言えないので、Under25を新卒も含めたグループとして整理します。社会人経験はあったとしても一社、税務未経験の人が殆どかと思います。

 まずは最初の一社目で躓かないようにするためにどうするか。キャリアを確実なものにするという視点から、以下の3つのポイントを挙げたいと思います。
①     社内研修が充実している
②     中堅規模以上、業界内知名度が高い総合系
③     経験値が稼げる(ブラック)

①    社内研修が充実している


 はっきり言って、基本的に研修には期待しない方がいいです。Big4も含めて。どんなに研修が充実していようとOJTが中心なのは業務の性質上仕方ない部分も大きいし、自主的なインプットを怠れば当然成長しません。ただ、就職初期の段階で研修があるか無いかで各個人が抱く満足感/不満感の度合いは大きく変わってきます。実務では、座学で学ばないことの連続ですから「知らない/教えてほしい」という気持ちを常に抱えているのは大きなストレスになります。であれば、社内研修が充実しているところを選んだ方が無難です。そう考えると大手一択になります。

②     中堅規模以上、業界内知名度が高い総合系


 キャリアを一社で完結する必要は一切ないので、自身のリセールバリューにまで当初から目を向けましょう。当たり前ですが、経験年数が同じであれば知名度が高い法人の方が評価されます。学歴と同じです。気になる法人をピックアップしてTierに分類してピラミッドを作ってみるのもいいかもしれませんね。蛇足ですが、コンサル業界ではBig4はTier2~3ですが、税務ではBig4はTop Tierになります。そういう意味でキャリアのお得感は半端ないです。こんなにTop Tierへのアクセシビリティ高い業界ないですよ。
 それを踏まえて②で狙うのは中堅以上の総合系で中小から上場企業までクライアントがいる事務所、当然Big4も選択肢に入ります。ただ、スタッフレベルの経験の幅という意味では中小中堅法人の方が充実しているかと思います。クライアントとの距離、コミュニケーションの質も変わってくると思いますし、将来独立するにしても有利です。
 年収基準でいくと中堅~ドメ大手で350~450万、Big4で500~700万くらいですかね。

③     経験値が稼げる(ブラック)


 最悪なのは組織にフィットする働き方は完璧なのに外では全然通用しないやつですね。そこを勘違いして仕事ができる気でいるとキャリアは断絶します。そういう意味では個人事業主から上場企業まで幅広いクライアントを担当できるような中小ブティック、中堅法人で激務系の方がこの点についてはおススメです。最短距離で実力をつけようと思えば一時的に負荷がかかるのはしょうがないことです。精神と時の部屋みたいな事務所を探してほしいですが、結局会計事務所ガチャ回して出たところ勝負なので、有名法人いくのが安牌かと思います。どうせどこもブラックだし。

3年目以降


次にキャリアプランについて考えていきましょう。

 基本的に最初の3年間はベースとなる知識を習得する期間、次の3~5年で+αの専門性を身に着け、他者との差別化を狙う期間かと考えています。希少性を高めさえすれれば、それを評価してくれるところへ行けばいいだけです。それができれば1,000万円達成はすぐです。業界経験者ならわかるかと思いますが、本当に専門性の高い税理士なんて殆どいないですからね。

 特に中小会計事務所勤務では、年間を通じての業務が固定化し、どうしてもルーティンワークになりがちです。しかし、税理士が活躍できるフィールドは、本来はそこに留まりません。自分だけの武器を手に入れましょう。

 一社目でBig4に入った場合、そのまま居続けるのが一番早く1,000万円に到達できると思います。5~7年くらいですかね。そこまで残るのは大変かもしれないですが、その頃にはトップシニア~マネージャーになっているかと思いますので、転職先も外資、上場企業など選択肢は広がっていると思います。外資系金融機関とか超大手企業への転職(1,500万超~)の道も開けます。
また、Big4の場合、スタッフとシニア以上では仕事の内容、幅は大きく変わってきます。3年以内に辞めてしまった場合、申告業務のみでアドバイザリーを経験せずに辞めてしまうこともあり得ます。それだと、辞めた後はブランド以上のバリューは出せないかと思いますので、最低でも5年は働くことをお勧めします。

 次に、Big4以外の大手税理士法人に入社した場合ですが、ぶっちゃけ大手でも管理職以外は給料安いところ多いです。有名な大手税理士法人でも、何年働いても全然上がらない、職務内容と給与が全然見合わない、というような内容をよく聞きます。ただ3年以上、できれば5年働けば転職し放題、選び放題なので、経験積んだら迷わず転職して給料上げましょう。手っ取り早く年収上げたいならBig4がファーストチョイスです。Big4以外では専門性の高い税理士法人へ行くことをお勧めいたします。国際税務、M&A/組織再編、連結納税(今後はグループ通算)だけにとどまらず、SPC、税務コンサルティング、特殊会計専門法人なども選択肢に含めて考えてみてください。専門性を身に着けてしまえば1,000万円到達はすぐかと思いますし、独立も容易になるかと思います。
 事業会社も年収上がるのであれば行くのは全然ありですが、その場合、転職後のアップサイドの余力はそれほどないと思います。純粋な経理であれば700万くらいがMaxっていうのが現実的なところかと思います。もちろん、その会社のサラリーテーブルにもよりますし、経験や学歴などの付随的な要素もありますので一概に言うことはできませんが。

 中小法人を選択した場合ですが、これは、完全に経験値によります。その事務所で何を経験してきたかを言語化し、アピールできるようにしましょう。四半期、外形、税効果。この辺りの経験は是が非でも欲しいです。小規模でもいいので、連結納税、組織再編、国際税務をやっていると差がつくと思います。これらの仕事は無いところには100年働いても無いです。成長できる環境を求めているのであれば、早めに転職した方がいいと思います。逆に、小規模ブティックで優良顧客を抱えているようなところであれば、仕事の内容もそれなりに充実しているでしょうし、管理職以上は1,000万円超えているところも珍しくありません。ただし、人材流動性が低く、かつ、規模の拡大が見込めないような事務所の場合、管理職のポジションが簡単には空かないという問題点があります。
 経験を十分に積んでいるのであれば上記のようにBig4、専門性をより追及するというルートが確実かと思います。もちろん、その法人で管理職以上を目指すこともありかと思います。

Q&A

 そもそも入れるの?って疑問があるかもしれませんが社会人で3科目以上持っていて普通にコミュニケーション取れればUnder25で入れない法人は基本的には無いと考えています(ここでは面接の出来不出来は考慮してないです。人生に空白や瑕疵があっても、それについて合理的に説明できてパートナーを納得させることができればBig4入社も可能だと考えています。)。ちなみに新卒採用は学歴のバーはあります。科目数でバーが変動するイメージです。4~5科目持ちなら落とす法人無いのでは?(むしろ中堅法人の方が新卒枠は狭いですよ。人数考えれば分かると思いますが。)
他に落ちるあるとすれば地理的要因であったり、希望のポジションの空きが無かったり、純粋に運が悪い、って感じですかね。ただ、確実に5年~10年前よりはどこも入りやすくなっているのは事実です。ちなみに英語はやっておいた方が無難ですが、コストリターン考えるとそこまでコスパ良くはないので、ドメに限定するのも悪くないと思います。

 短期離職についてもよく聞かれますが、業界の特性的にはあまり問題にはならないのは事実です。ただし、それは会計税務業界内に限った話なので、将来的に一般事業会社に転職したいのであれば、慎重になる必要があると思います。短期離職を繰り返していれば、一歩税務村の外に出た途端に一気に評価が下がる覚悟はしておいてください。複数の候補者がいれば、履歴書を並べた時に経歴が綺麗な人が上位にくるのは自明です。
 ぶっちゃけ、どこにいってもブラックさはそれほど変わらないので、自分で選んだ環境に文句言わずに仕事を続けて、さっさと実力つけちゃった方がいいと思います。独立っていうオプションは常にある訳だし。

 Big4から中小への転職についてもよく聞かれるので回答します。実態として、給料が下がるのを嫌ってこのルートを辿る人は非常に少ないです。独立する人はそのまま独立していきます。もちろん、中小事務所に転職する人がまったくいない訳では無いのも事実です。その場合、スタッフレベル~シニアに成りたてくらいが多いことも言い添えておきます。もちろんそれ以外にもヘドハンで一本釣りされているパターンなど色々とあるので、一概には言えません。

つかれたからまとめ

 最後になりますが、Under25であれば、私個人としては大手をおすすめします。かといって、中小会計事務所からキャリアスタートすることについて、まったく否定するつもりはありません。ただ、ガチャ要素が強すぎるので、再現性が高い方法論の中に組み込むのは難しいと思うだけです。
本当はUnder30にしたかったんですが、それだと経験のふり幅が広すぎて溢れる人が多くなっちゃうので。

ということで、質問があればDMください。女子大生だけに返信したいと思います。

それでは。

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