ひよこ豆は、おいしい! 〈後編〉
文・撮影/長尾謙一
まるごとひよこ豆ペースト
(素材のちから第41号より)
【レストラン】
「まるごとひよこ豆ペースト」は、プレーンだからアレンジしやすい。
タイソンズアンドカンパニー 総料理長
岩本 一伸 さん
このペーストには自然な豆感があってシンプルにおいしい
今回は「まるごとひよこ豆ペースト」で〝フムス〟をつくって、食べやすくブルスケッタにしてみました。
「まるごとひよこ豆ペースト」、玉ねぎ、ニンニクをソテーしたものを一緒に入れて、ごま、ごまペースト、クミン、ヨーグルト、オリーブオイル、レモン汁、塩をフードプロセッサーで回します。
全体の味がまったりしすぎるとちょっと飽きてしまいますから、レモン汁を入れることで味を締めます。上にグリル野菜とスモークパプリカ、カラマタオリーブをのせて仕上げました。
なめらかでスパイシーな〝フムス〟には、とても自然な豆感が出ています。「まるごとひよこ豆ペースト」のやさしい甘さがとてもいいし、余分な香りや味が入っていないのでお店で自由にアレンジできます。
次は〝ファラフェル〟をつくってみます。
「まるごとひよこ豆ペースト」、フレッシュのオニオン、パクチー(コリアンダーの葉)、イタリアンパセリ、それからスパイスとしてクミン、カルダモン、コリアンダーパウダーをフードプロセッサーで回します。
そこに少し中力粉と食感を加えるためにローストして砕いたピーナッツを入れて混ぜ丸く成形し、バゲットのクラムをまぶして揚げました。仕上げにレモン汁とガーリック、塩を加えてつくったヨーグルトソースをかけます。
とても香ばしくスパイシーで、ヨーグルトソースの酸味が重なると、ひよこ豆の旨みと甘さが現れます。
フムスもファラフェルもこれからの季節、ビールにはもってこいのメニューですね。
「まるごとひよこ豆ペースト」の〝あらごし感〟をいかすなら、フードプロセッサーを使わずにそのまま具材と混ぜて揚げるだけで、オリジナルの〝ファラフェル〟が手軽にできます。
その他、「まるごとひよこ豆ペースト」はソース的な使い方もできます。貝のジュースとオリーブオイルを加えて、グリルした白身魚などに添えてはどうでしょう。「まるごとひよこ豆ペースト」のプレーンな風味は応用範囲が広いと思います。しかも常温で扱えるのはとても助かりますね。
【カレー店】
冷たい料理だけでなく、加熱する料理にも使いやすい。
シェフ 佐藤 幸二 さん
加熱すればするほど香りが立ちコクと甘みが出てくる
フムスのような冷たい前菜に「まるごとひよこ豆ペースト」をそのまま使うのももちろんいいのですが、加熱したものを冷ませばもっともっと甘さが出てまろやかになります。
「まるごとひよこ豆ペースト」1袋分を鍋に入れて60gの水、小さじ1杯のワインビネガー、5gのカスリメティを入れてそのまま混ぜながら1分ほど炊いて、最後にガーリックパウダーを一つまみとオリーブオイルを入れます。とっても簡単です。水の代わりにお湯を加えてレンチンしても同じように仕上がります。
フムスってカレーに合いますね。カレーの味とフムスの味を行ったり来たりしながら食べるとおいしいです。カレーの付け合わせには、とてもいいと思います。
カレーは羊肉を使いました。800gの羊肉に対して水を1ℓ、玉ねぎ1個、カレー粉5g、あとガラムマサラ4g、クミン2g、ローストオニオン10g、あと生姜のスライスが20gとニンニクをつぶしたものを20g入れて、約2時間煮込んでいきます。
水が半分くらいまで減ったら「まるごとひよこ豆ペースト」を400g入れて混ぜます。これでとろみが若干つくので、それでおしまいです。
はじめのイメージだと、もっとドロッとしてきておいしくできないんじゃないかと思ったんですが、煮ていけば煮ていくほど香りが立って、コクと甘みが凄く出てきて、味が一つ増えるという感じです。スパイスがグッと立ち上がってきてとてもスパイシーです。「まるごとひよこ豆ペースト」はフレーバーリリースがとてもいいですね。
とろみはじゃがいもを入れた感じに似ていますが、じゃがいもほど重たくなくサラッとした仕上がりになって、ちょうどいいポタージュ風になってくれました。食べた感じもお米との絡みがちょうどよくて凄くおいしかったです。
煮込み料理などの仕上げに入れると、思いのほかドロドロにならずにコクと旨みが上がって、とても使いやすいと思います。
「まるごとひよこ豆ペースト」は冷たい料理だけでなく、加熱料理にもいいですね。
【ベーカリーカフェ】
使い方次第で、思いがけないポテンシャルを発揮する。
代表取締役社長 古崎 義丸 さん
スパイスとの相性のよさが際立つ
「まるごとひよこ豆ペースト」を使ったベーカリーカフェのメニューとして、パイとサンドイッチをつくってみました。
まずは〝ひよこ豆のパイ〟です。
トマトケチャップにチリパウダーを加えたところに、ひよこ豆、マローハットピース、レッドキドニービーンズの水煮を混ぜ合わせ、これと一緒に「まるごとひよこ豆ペースト」をそのままパイ生地で包んで焼きました。
サクッとしたパイとほくほくした3種の豆、そして「まるごとひよこ豆ペースト」のしっとりした食感のバランスがとてもおいしいですね。
チリパウダーを加えてトマトケチャップをサルサっぽくすることで「まるごとひよこ豆ペースト」のよさがグッと出てきた感じです。スパイスとの相性がとてもいいですね。
それから「まるごとひよこ豆ペースト」は、はちみつと砂糖、生クリーム、そしてシナモンを加えると、まるでモンブランのような味わいのペーストになります。ですから、これをパイに詰めて焼くのもおもしろいと思います。コストパフォーマンスのよいデセールとしても使えますね。
次はサンドイッチです。手前から〝タラモサンド〟、〝カレーサンド〟、〝コロッケサンド〟です。
〝タラモサンド〟は「まるごとひよこ豆ペースト」をじゃがいもの代わりに使って、明太子、オリーブオイル、レモン汁と合わせました。このペーストは辛みが加わると味がふくらんでくる感じで、辛みの強い明太子にしたのは正解でした。
〝カレーサンド〟は「まるごとひよこ豆ペースト」にカレーパウダーを混ぜたものと一緒に、キュウリとトマトをサンドしました。
〝コロッケサンド〟は炒めた鶏ひき肉と「まるごとひよこ豆ペースト」を3対7の割合で合わせてコロッケにしています。ウスターソースとトマトケチャップを合わせた自家製ソースをかけ、クミンパウダーをふってサンドしました。
普通の〝コロッケサンド〟に見えますが、スパイスの香り立ちがとてもよくておいしいです。とてもエスニック感が出て、ポテトのコロッケでは、これほどスパイシーさは出ないと思います。
今まで豆のペーストは使い慣れない食材でしたが、「まるごとひよこ豆ペースト」は味もプレーンで手間もかからないし、使い方によっては思いがけないポテンシャルを発揮してくれそうですね。
(2021年6月30日発行「素材のちから」第41号掲載記事)