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6年ぶりのアルバイト ピッキング編

僕の人生の残り時間は、少なくなってきている。

会社で過ごしていても月日の流れは早かったが、自宅警備員となった今はもっと早い。

僕はおじさんになってきている。もうすぐ手遅れになる。

この発言は、何かを為すには一定の時間がかかると感じているからに由来する。

かといって、人生を急ぎすぎるのも良くない。

一休さんが「あわてない あわてない 一休み 一休み」と言っていたのが、妙に思い出される。

今回はアルバイトをしてみようと思い立った話である。

要は、初めてのスキマバイトである。

僕が最後にアルバイトをしたのは、大学院を卒業する手前の2018年3月だったと記憶しているので、約6年ぶりとなる。

アルバイトの経験は、学部生の時は塾講師で、院生になってからはスーパーで働いていた。

当時は全く思いもしなかったが、今となってはもっと色々な仕事を経験しておけばよかったなと思い、今回応募するに至った。

ちなみに僕は、見た目の印象からメガネ屋、書店、カフェにいそうだとよく言われる。

応募の仕方は、そんな当時と状況がガラッと変わってしまい、今はアプリを使えば簡単に仕事ができる時代となったようである。

早速、今回はシェアフルというアプリを通じて応募してみることにした。

日付ごとにアプリ内でアルバイトの募集がかけられており、自宅の近所で探せたりもする。また、即決定や即払いなどの条件もあり、ここからも人手不足な様子も伺える。

職種は都市部に近いほど色々あるのだと推測されるが、僕の近くではコンビニ、ピッキング、デリバリーがほとんどだった。

コンビニは経験者が求められているようで、デリバリーはしてみたいが、バイクに乗ったことがないので、必然的にピッキングが残ることになった。

適当に空いている日時で応募すると、早速採用決定の通知が届き、アプリから色々お知らせが来た。

アプリの良いところは、48時間前の就業確認や出発前の確認など、随時プッシュしてくれるので、よっぽどのことがない限り忘れることはなさそうな点である。

就業日当日になり、事前の確認を済ませ、お気に入りの Surly Cross Check を走らせ現場に向かう。

15分ほど漕ぐと巨大な物流センターに到着し、玄関で受付をする。

この日は、同志たち10名が集まっており、お互い顔を見るだけで会話もなく、事務所に連れて行かれる。

このとき、昔、単発で引越しのアルバイトもしたことがあったのを思い出したが、今と比べてコンプライアンスも弱かったせいか、結構威圧的な態度で指導された記憶がある。

そんな回想が脳裏をよぎり、今回も嫌な雰囲気なのかなとぼんやり思っていたが、予想に反して優しい人が多かった。

中でも俗に言う関西のおばちゃんが結構働いていて、「これはこうするんやで」とか「よろしく〜」とか初対面でも気軽な感じだった。

今回は、食品業者向けの食品が保管された倉庫だったので、倉庫の隅々に一時的に散らばった食品たちを集めるのが仕事になる。

まずは、集めるべき客先とそこに発送する商品のラベルを取る。この商品ラベルに倉庫のどこに商品があるか住所的なコードが書かれているので、それに従い回収していく。

商品を回収するとラベルを貼り付け、荷台に載せるのだが、載せ方も注意が必要でバーコードが読み取れるようにしないといけない。

そう、ここは Amazon ではないのである。ピッキングとバーコードの読み取りを人がすべてやっている。

今やこれだけ DX(デジタル・トランスフォーメーション) と言われて久しいので、ちょっとは機械が導入されているのかと思っていたが、恐ろしいくらい人力だった。

とはいえ、せっかく働くので何か改善点や今後のヒントを探そうという心意気だったのだが、これと言って特に発見もなく、倉庫内をいかに効率的に動くかというゲームくらいにしか捉えられなかった。

今回の就業時間は4時間で、この間回収作業を永遠に続ける。途中20分間の休憩も貰えたが、倉庫内はクーラーもなく扇風機が回っているだけでとても暑い。あちこち歩き回るので、足はパンパンになるし、汗もかく。

無職には良い運動だったが、結構しんどかった。

ちなみに、今回の時給は1064円である。最低賃金である。4時間働いても、4256円にしかならない。僕は正直、筋が悪いバイトだなと思った。

そもそも、時給とは何なのか。

1時間いくら頑張っても、頑張らなくても、1064円貰えてしまう。それだったら、ピックアップした商品数に応じて、賃金が支払われる方がこちらもヤル気になると思われる。

逆に、雇う立場から考えれば、1時間で同じ1064円を支払うのなら、1時間こき使いまくった方が理に適うという考えに容易に陥りやすい。

つまり、この自給性という賃金体制は、我々が労働者である限り雇用主の道具になりかねない構造を孕んでいる。

そのように考えると、自給制度が導入されている正社員でも評価方法が重要になってくるが、これまた業務上様々なファクターが混在するため、誰もが納得いく評価システムの構築はなかなか難しい。

難しいのであれば、労働者から不満が出る可能性がある。そして、退職者も出る可能性がある。

ともすれば、経営者は儲かった分は株主だけではなく、労働者の基本給にしっかり還元することが理想ではないか。

と口では理想論を簡単に言えるが、そもそも利益を労働者に回せる分稼ぐのが難しいというのが現状なのだろうか。

少し経営者なのかオーナーなのか、雇う側になってみたい気持ちが芽生え始めている。

ビジネスマンとして成功したいという願望は皆目ないが、店長として小さなお店を運営するのは、少し興味がある。

それは、僕が相手の表情の変化を見逃さない能力に長けているという自負から来る、ちょっとした自信があるからかもしれない。

店長のアルバイトとかあるんですかね〜

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