傲慢と善良 20代後半に読みたかったよ
※ちょっとだけネタバレあり。
奈緒と藤ヶ谷太輔が主人公の映画「傲慢と善良」。テレビでの宣伝をみて気になった。
原作を読んでから、映画をみたほうが良さそうだな。
誰に言われたわけでもないが、なんとなくそんな気がして、図書館で予約したらすぐに借りれた。文庫版ではなく単行本にしたら思ったより分厚かった。
表紙の寂しそうな女性は失踪する主人公だろう。彼女は傲慢? 善良? それとも傲慢でも善良でもない人のだろうか?
正直、前半は話がなかなか進まず、うーん、これが100万部?と思いながら読み進めた。
そして、とある人物の言葉や態度に超もやもやした。自分も過去に触れた記憶がある "地方都市の古い価値観" 。理解はできるが共感はできない。善良で清廉潔白だと自認している、拠り所が少なく視野が狭い人。
そういう人は私の周りにも何人かいるし、私自身が近しい言動をしてしまったこともあるかもしれない。遠い世界で生きる人にケチをつけながら、そこそこ幸福でそこそこ満たされた人生を送っている「傲慢で善良」な人。ひりひりしたー。
中盤、イジワルな酔っ払いがイジワルな発言をしたあたりから一気に話が転がり始め、それ以降はまさにページをめくる手が止まらない状態。読了した時に「この小説、20代後半に読みたかったよ、、」と思った。
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そして、映画館へ。
豊満と減量というダジャレをつぶやきながら。
'24年の1月から3月にフジテレビ系でやっていた「春になったら」で毎週のように泣き笑いしていた私は奈緒さんのファンだ。そのドラマの "椎名瞳" とのギャップを感じながら、女優ってすごいなー、ビジョンがある人とない人ってこんなに違うかー、自己愛〜と思った。
劇中で気になったワードは「約束」と「鈍感」。アラサー(いわゆる適齢期)の私は大事な約束を果たせなかったし、肝心なところで鈍感で、傲慢だった。劇中のセリフや態度にぞわぞわした。それとピアノの調律が気になった。
あとは、スクリーンの真ん中を横切る蝶と、名演技のヤギさんに拍手。イジワルな酔っ払いも最高で最悪だった。
そうそう、この映画はハマり役が多かった。群馬のムカつく門限おばはん、結婚相談所の所長、真実がお見合いした男性、元ヤンでビジョンがあるママ、架の元カノ、、、こういう人いるよねー!とてもリアルでした。
映画館を出てから、Spotifyでなとりの「糸電話」を聴いた。糸電話の糸はとてもか細いが、ある程度離れることでお互いの声がクリアになる。近すぎても遠すぎてもダメ。そう、ピンと張った状態じゃないと、ピンとくる言葉は聞こえないし、相手の様子や表情もよく見えない。
映画の終盤、相手をぐっと押しのける主人公の姿をみて、私もこんな風に生きていきたいと思った。
たおやかな曲は軽快なピアノで終わる。大団円ではなく、まだまだ物語は続くよ、というような旋律で🎹