見出し画像

花の匂い

いつの間にか始まっていた出会いは、いつの間にか終わった。
音もなく、花びらが落ちるように。
僕らが「知り合い」もしくは、その関係性以上だった時間は花が枯れるよりも短かった。

画像1

1年後、この季節に咲く花が枯れる頃には、きっとあなたは僕の声や話し方、僕の顔も覚えていない。
昔かいだ花がどんな匂いだったかを思い出せないように、僕らがお互いを目の前にする機会があったとしても、きっとあなたは僕のことを初めて会う人と思うだろう。

画像2


綺麗に咲くはずの花の種を渡されても、枯れる日が来るのが怖くて、芽を踏みつけてしまうのはなんでなんだろう。
好きな人から嫌われるのは慣れているけれど、毎回痛いのはなんでだろう。
あと何度「これでよかった」と自分に言い聞かせなければいけないんだろう。

画像3

あなたと同じ幸せを僕の目を通して見たかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?