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映画『東京物語』の感想。孝行したいと思った時に親はもう…

【白黒映画を20本観よう】

今年(2022年)から
この企画をスタートさせました。

というわけで今回は
今年になってから一発目に観た映画
小津安二郎監督『東京物語』を
ご紹介しようと思います。

■概要

『東京物語』
公開:1953年(日本)
監督・脚本:小津安二郎
キャスト:笠智衆、東山千栄子、原節子、山村聡、三宅邦子 など

この話のヒロインである
原節子演じる「紀子」は
小津安二郎の他の作品
晩春』『麦秋』にも登場するため
この3つを合わせて「紀子三部作」とも
呼ぶそうです。

この映画、
日本だけでなく世界的にみても
すごく評価の高い映画らしいです。

例えば2012年
イギリス映画協会が行った世界の映画監督358人による
Directors’ Top 100 Films」という投票が行われたのですが
その投票のトップ3

第3位が『市民ケーン

第2位『2001年宇宙の旅


そして第1位が…


東京物語(Tokyo story)』
 だったのです!(驚)

(出典:https://www2.bfi.org.uk/films-tv-people/sightandsoundpoll2012/directors)

名だたる名作が並ぶ中
1位をとってしまうほどの作品
一体どんな作品なのでしょうか。

■あらすじ

尾道に暮らす老夫婦の平山周吉と、その妻とみは、東京で暮らす家族に会うため20年ぶりに上京する。

医者になった長男の幸一や、美容院を営む長女志げ夫婦のところへとお邪魔していくのですが、仕事や日常生活の忙しさを理由にあまり父母の相手をしてくれません。

熱海温泉へふたりを招待したりするも、どこか冷たくたらい廻されているかのよう。そんな中唯一、周吉ととみに優しくしていたのは次男の未亡人 紀子だけ。

旅行を“満喫“したふたりは尾道に帰ろうとするのですが…

■人物・キャスト

個人的に気になった俳優さんは
平山周吉を演じた笠智衆さん。

出典:https://acting.jp/tokyo-story/

優しさの中にどこか貫禄もあるような
あの役の感じだったので
おいくつなのか調べてみたところ
なんと当時48歳!すご!
この作品以外にも
『若人の夢』『晩春』などの
小津作品にも出演し
「日本の父親像」を確立した人物としての
評価を得ていくこととなります。

今回は、おばあちゃんと一緒に
車の中で鑑賞したのですが
おばあちゃんにとっては
出演している俳優・女優さんたちが
懐かしい面子揃いだったようで。

例えば主演の原節子さん。
昔からあの様な上品な役回りだったそうで、
「懐かしい〜若くて綺麗ね〜」
との声が漏れていました。

あと、美容院営む長女 金子志げ役で出ていた杉村春子が
出てた時にも大喜び。
昔からあのような役回りが多かったそうで
大好きな女優さんだったそうです。

■見どころ

出典:https://eiga.com/movie/38069/


①カメラワーク

この映画の見どころというよりも
小津安二郎作品の魅力
それは、カメラワークにあります。
もっと細かくいうと
彼は画面の中の“調和“にこだわりました。

例えば、彼はスタジオ内での
小物の配置、室内の装飾、カメラのアングルなど
全て自分で決め、そこにキャスト陣を
配置したそうです。

美しいバランスを取るために
常に左右対称になるように
キャスト陣の座る位置も
小津監督が自由に決めていました。

西洋では家具などがあるため
ある程度座る位置は固定されていますが
和室は家具がないため
座る位置を固定する必要がありません。
この利点をうまく活かしたことは
日本の映画だからできた技なのかも。

加えて、カメラの位置は
このような完璧な配置を崩さないため
通常のアングルよりも低い位置で撮る
「ロー・ポジション」が多用されています。
通称:「小津調」と呼ばれる技法です。

これらのこだわりによって
どこのカットを切り取っても絵になる。
映画なのにまるで写真集を見ているかのような
そんな気分になります。

この美しさが海外でも評価され
ニューヨーク近代美術館に
当映画のフィルムが所蔵されているそう。

②エンドロールがオープニングに来る?!

個人的にびっくりしたことでもあり
おそらく50年代邦画全体に言える特徴かもしれませんが
制作会社や、役者、脚本、スタッフなどは
今ではエンドロールで表示されるのが普通ですが
この映画ではなんと
オープニングですべて表示されます。

じゃあ、最後はどうなるかというと…



「終」


の1文字だけ。笑
この時点でもうオモロい。
味しかないです。

■まとめ

この映画のテーマはずばり「家族

家族という共同体が歳とともに
バラバラになっていく切なさというのは
時代も国も超えて通ずる部分があると思います。

ネット上の評価などをみても
「見る年齢によって捉え方が変わる」
との声が多く

私自身、もっと年を重ねてから
もう一度観てみたいと
そう思えた映画でした!

個人的には
おばあちゃんのとみが
遊んでいる孫の後をついていくシーンと

おでん屋さんで飲んでる
3人の親父たちのシーンに
グッときてました!
(あのおでん屋で一杯引っ掛けたい…)


間違いなく良作。
まだ観たことのない方、ぜひ観てください。
できれば、家族とではなく
一人きりで。

きっと、観終わった後には
「あー。親孝行したいな」と
思っているはずです。

以上、とむそーやでした!

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