映画『東京物語』の感想。孝行したいと思った時に親はもう…
今年(2022年)から
この企画をスタートさせました。
というわけで今回は
今年になってから一発目に観た映画
小津安二郎監督『東京物語』を
ご紹介しようと思います。
■概要
この話のヒロインである
原節子演じる「紀子」は
小津安二郎の他の作品
『晩春』『麦秋』にも登場するため
この3つを合わせて「紀子三部作」とも
呼ぶそうです。
この映画、
日本だけでなく世界的にみても
すごく評価の高い映画らしいです。
例えば2012年
イギリス映画協会が行った世界の映画監督358人による
「Directors’ Top 100 Films」という投票が行われたのですが
その投票のトップ3
第3位が『市民ケーン』
第2位『2001年宇宙の旅』
そして第1位が…
『東京物語(Tokyo story)』
だったのです!(驚)
名だたる名作が並ぶ中
1位をとってしまうほどの作品
一体どんな作品なのでしょうか。
■あらすじ
■人物・キャスト
個人的に気になった俳優さんは
平山周吉を演じた笠智衆さん。
優しさの中にどこか貫禄もあるような
あの役の感じだったので
おいくつなのか調べてみたところ
なんと当時48歳!すご!
この作品以外にも
『若人の夢』『晩春』などの
小津作品にも出演し
「日本の父親像」を確立した人物としての
評価を得ていくこととなります。
今回は、おばあちゃんと一緒に
車の中で鑑賞したのですが
おばあちゃんにとっては
出演している俳優・女優さんたちが
懐かしい面子揃いだったようで。
例えば主演の原節子さん。
昔からあの様な上品な役回りだったそうで、
「懐かしい〜若くて綺麗ね〜」
との声が漏れていました。
あと、美容院営む長女 金子志げ役で出ていた杉村春子が
出てた時にも大喜び。
昔からあのような役回りが多かったそうで
大好きな女優さんだったそうです。
■見どころ
①カメラワーク
この映画の見どころというよりも
小津安二郎作品の魅力
それは、カメラワークにあります。
もっと細かくいうと
彼は画面の中の“調和“にこだわりました。
例えば、彼はスタジオ内での
小物の配置、室内の装飾、カメラのアングルなど
全て自分で決め、そこにキャスト陣を
配置したそうです。
美しいバランスを取るために
常に左右対称になるように
キャスト陣の座る位置も
小津監督が自由に決めていました。
西洋では家具などがあるため
ある程度座る位置は固定されていますが
和室は家具がないため
座る位置を固定する必要がありません。
この利点をうまく活かしたことは
日本の映画だからできた技なのかも。
加えて、カメラの位置は
このような完璧な配置を崩さないため
通常のアングルよりも低い位置で撮る
「ロー・ポジション」が多用されています。
通称:「小津調」と呼ばれる技法です。
これらのこだわりによって
どこのカットを切り取っても絵になる。
映画なのにまるで写真集を見ているかのような
そんな気分になります。
この美しさが海外でも評価され
ニューヨーク近代美術館に
当映画のフィルムが所蔵されているそう。
②エンドロールがオープニングに来る?!
個人的にびっくりしたことでもあり
おそらく50年代邦画全体に言える特徴かもしれませんが
制作会社や、役者、脚本、スタッフなどは
今ではエンドロールで表示されるのが普通ですが
この映画ではなんと
オープニングですべて表示されます。
じゃあ、最後はどうなるかというと…
「終」
の1文字だけ。笑
この時点でもうオモロい。
味しかないです。
■まとめ
この映画のテーマはずばり「家族」
家族という共同体が歳とともに
バラバラになっていく切なさというのは
時代も国も超えて通ずる部分があると思います。
ネット上の評価などをみても
「見る年齢によって捉え方が変わる」
との声が多く
私自身、もっと年を重ねてから
もう一度観てみたいと
そう思えた映画でした!
個人的には
おばあちゃんのとみが
遊んでいる孫の後をついていくシーンと
おでん屋さんで飲んでる
3人の親父たちのシーンに
グッときてました!
(あのおでん屋で一杯引っ掛けたい…)
間違いなく良作。
まだ観たことのない方、ぜひ観てください。
できれば、家族とではなく
一人きりで。
きっと、観終わった後には
「あー。親孝行したいな」と
思っているはずです。
以上、とむそーやでした!
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