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糖質制限でエネルギー消費がアップ?最新の研究から見る健康的なダイエット法

周囲に糖質制限してる人とても多いので、自分も気になって調べた論文です。「Effects of a low carbohydrate diet on energy expenditure during weight loss maintenance: randomized trial」というタイトルのこの論文は、Cara B Ebbeling氏らによって行われた研究で、炭水化物の摂取量がエネルギー消費にどのように影響するかを検討しています。

論文の内容

この研究は、アメリカで行われたもので、18歳から65歳までのBMIが25以上の成人164名を対象としています。BMI25以上というのは、一般的には肥満とされる範囲です。研究の期間は、2014年から2017年までの約3年間にわたります。

まず初めに、参加者全員が一定のダイエットを行い、体重を12%減らすところからスタートしました。その後、参加者はランダムに3つのグループに分けられ、それぞれが高糖質ダイエット(糖質が全エネルギーの60%を占める)、中糖質ダイエット(40%)、低糖質ダイエット(20%)を20週間続けました。このとき、全てのダイエットでたんぱく質の摂取量は一定に保たれ、エネルギー摂取量は体重が2kg以内に保つように調整されました。

この研究の主な目的は、糖質の摂取量がエネルギー消費(つまり、我々が日々の生活でどれだけカロリーを消費するか)にどのように影響するかを調べること。

結果は驚くべきものでした。糖質の摂取量を10%減らすごとに、1日のエネルギー消費量が平均で約52kcal増加することが判明しました!
これは、例えばご飯を少し控えるだけで日々のエネルギー消費が増え、長期的に見ればダイエット効果につながるということを意味しています。

更に、低糖質ダイエット群では、エネルギー消費量が高糖質ダイエット群に比べて1日あたり209kcalも多かったのです。これは、散歩を約1時間強行う程度のエネルギー消費量に相当します。さらに、インスリンの分泌が多い人(つまり、糖質を摂取すると血糖値が急上昇しやすい人)では、低糖質ダイエットと高糖質ダイエットとの間でエネルギー消費量の差が308~478kcalと、さらに大きかったのです。

また、この研究では、食後の飢餓感を誘発するホルモンであるグレリンの分泌が低炭水化物ダイエット群で有意に低下し、飢餓感を抑制するホルモンであるレプチンも低炭水化物ダイエット群で有意に低下しました。これは、炭水化物を制限することで、食後の満腹感が長続きし、間食を減らす効果がある可能性を示しています。

この研究の結果から、糖質を制限することでエネルギー消費が増え、ダイエットや肥満治療の成功率を向上させる可能性があることが分かりました。

しかし、この結果は全ての人に当てはまるわけではなく、個々の体質やインスリン分泌の状態により影響の度合いは異なることも述べられています。

筆者の感想

この論文を読んで私が一番興味深く感じたのは、もちろん糖質の摂取量がエネルギー消費に影響を与えるという点です。特に糖質の摂取量を減らすことでエネルギー消費が増加するという結果は、ダイエットや健康維持において非常に重要な情報だと思います。日本の食生活では、ごはんやパン、麺など炭水化物を主体とした食事が一般的ですが、これらを適度に制限することで、エネルギー消費が上がり、体重管理がしやすくなる可能性があるというわけです。もともと一般的な日本の食事は糖質をとりすぎとよく言われているので、特に日本人には有用な情報かもしれません。

また、この研究では、糖質を制限することで食後のインスリンの分泌量が減少し、エネルギー消費が増加するという「糖質-インスリンモデル」が提唱されています。これは、糖質摂取後の高いインスリン分泌が脂肪の蓄積を促進し、エネルギー消費を抑制するという考え方で、これにより食事制限が難しい肥満の新しい治療の可能性も出てきました。

私自身もこの論文を読んで、糖質の摂取量を意識しています。具体的には、ごはんやパン、麺などの糖質を主体とした食事の量を減らし、代わりにたんぱく質や野菜を多く摂るように心掛けています。その結果、食後の満腹感が長続きし、間食の量が自然と減ったことを実感しています。

エネルギー消費については、仕事や家事で忙しい日々を送る中で、エネルギー消費を増やすためには、食事だけでなく、適度な運動も重要である考えていました。私の場合、ジムに行く時間がない日でも、階段を使う、歩きながら電話をするなど、日常生活の中で無理なく運動を取り入れることを心掛けています。

ただし、この研究が示すように、個々の体質や生活習慣により、糖質の摂取量がエネルギー消費に及ぼす影響は異なります。そのため、一概に全ての人が炭水化物を制限すればエネルギー消費が上がるとは言えません。自分自身の体質や生活習慣を理解し、適切な食事バランスを模索することが重要だと感じています。

この研究結果を踏まえて、今後は自分自身のエネルギー消費の変化をより具体的に把握するために、活動量計やスマートウォッチを活用してみようと考えています。これらのデバイスを使用することで、自分の日常生活でどの程度のエネルギーを消費しているのか、食事内容がエネルギー消費にどのように影響を与えているのかを視覚的に確認することができます。

健康的な体を維持するためには、適切な食事と運動が必要ですが、その中でもどのような食事が自分に合っているのか、どのような運動をどの程度行うべきなのかは、個々の体質や生活習慣により異なります。このような研究結果を参考にしながら、自分自身に最適な健康維持の方法を見つけていきましょう。


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