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「あの主人公が悪人ですのミステリー~『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』~」

『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』 青柳 碧人  著  ( ‎ 双葉社 )
 
シンデレラ、眠れる森の美女、ヘンゼルとグレーテル、マッチ売りの少女、赤ずきんちゃん・・・
 
これらはいずれも、誰もが幼い日に読んでもらったり自分で読んだりした有名な童話だ。
お姫様のきたるべき幸せにドキドキしたり、不幸のどん底にあった主人公がどんでん返しで幸せをつかむ話に留飲を下げたりと、王道の昔話には安心感があったものだ。
 
それを真っ向から打ち破り、既存の童話をミステリー仕立てにして、いい子だったはずの主人公たちが平然と殺人を起こしてしまうというこの展開に、脳がなかなか追いつかない。
あのヒロイン、ヒーローがすっごく悪い奴なのって…斬新。
 
 
赤ずきんが旅の途中でなぜか殺人事件に出くわしてしまうが、機転の利く彼女はつぎつぎと難題を解決してしまう。
もっとも犯人たちの仕掛けが甘いということもあるが、完全犯罪にはなりえずに、あえなく捕まってしまうのだ。
 
その赤ずきんもついには最後ある犯人の餌食になってしまいそうになるのだが、それまでの事件解決に出てきた伏線であったり、登場人物が威力を発揮したりでどうにか命拾いする。
 
知っている物語の安定感と、ミステリー仕立ての意外性、謎解きの楽しさなどとおもしろさてんこ盛りであった。


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