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「次男の切ない気持ちに同情する」
次男が四歳のある日の朝、主人と長男のふたり連れ立って山歩きに出かけた。市内近郊にある比較的登りやすい山で、市民は気軽に登れる人気の山で、一昔前、有名な文学者も立ち寄ったとされる茶屋もある。
長男は、三歳くらいから登山が趣味の主人に連れられ何度か登山を経験しており、三歳の頃こそ疲れておんぶを強要したらしいが、それから後はけっこう頑張って自力で登るので、いっしょに登られる仲間のおじさんたちからかわいがられていた。
しかし次男は、当然まだまだ長い時間歩くことは無理だ。以前参加したことのあるウォークラリーでも、街にでてショッピング街を歩くにしてもすぐにだっこやおんぶをせがむので、ましてやいっしょに山歩きなどもっと先の話。
でも主人と長男がふたりで出かけるのを見ると、置いていかれるのがいやで後追いをする。自分だけ取り残されると思うと不安でしかたがなかったのだろう。
そんな次男の気持ちは、私もよ~くわかるのだ。三人姉妹の末っ子で、子どもの頃いつも姉たちに置いてけぼりを食わされていたからだ。
姉ふたりは年が近くて、よくいっしょに遊びに出て行ったものだ。本当にそういう時って、残されたものはさみしくてさみしくてつまらない。
「私も連れて行って!」とせがんでも「あんたはダメ!」と、いとも無下に突き放されていた。
そんな経験者だからこそ次男がかわいそうにも思えたが、いざ連れて行ってすぐにおんぶをせがまれる主人の身になって考えると、「いっしょに連れて行ってあげて」とは言えないからまたつらいのだ。
主人は何度もぎっくり腰をやらかして、非常に腰が悪かったのだ。
次男の性格からして、ちゃんと自分で最後まで歩けるようになるのは小学生になってからだ。
それまではなんとか我慢させて、本格的な登山まではちょっとした山歩きを家族でやって慣らすしかないと思った。
早くたくましい男の子になって欲しいとしみじみ思っていた。
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