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「東京の地下鉄で赤っ恥!」

長男は赤ちゃんの時からすごく人懐こい性格で、主人の方のじいちゃん、ばあちゃんもすごくかわいがってくれ、8ヶ月過ぎ位からすでに一人でじいちゃんの家に泊まれるほどだった。

それからちょくちょくじいちゃんの家に泊まることが多くなり、私も一人になれる時間ができ、すごく助かった。

そんな長男が2歳6ヶ月のころ、家族で東京へ行ける機会ができた。主人の勤続年数に応じてのお祝いとして、会社から旅行券をいただいたのだ。

もちろんチケットは一人分なので私の分のチケットを調達し、この時は主人もまだ行ったことがなかったということで、ディズニーランドのパックツアーを申し込んだ。

さあ、田舎からやってきたよ、東京へ!

ディズニーランドはやっぱりすごく楽しかったし、長男もその時の写真を見ると小学生になっても「ミッキーのアイスをいっぱい食べたもんね。」と、ぼんやりだと思うが覚えていたようだ。

ディズニーランドは1日パスポートだったので、2泊3日の残りは私の行きたい所をまわってショッピングとなった。二人をいっぱい付き合わせてしまった。

そしてやはり活躍したのが地下鉄など電車である。自由が丘へ買い物に行きたいので、いくつか乗り継いでけっこう長男を引っ張りまわしてしまった。
それで、ちょっとお疲れ気味の長男は少々眠気がさしてきて、地下鉄に乗った時少しテンションが高くなってきた。なんだかまずい予感がする。

乗客でかなり込み合った電車の中で、突然長男が

「月があ~、わびし~い~、ろじ~う~ら~のお~♪」と大きな声で歌いだすではないか。

昭和の大御所歌手の「チャンチキおけさ」という歌を、二歳半の男の子が歌ってるのを見たら、みなさんどう思われるだろうか?

近くにいらした乗客の方たちは、にっこり笑っておられて、私たちはもう恥ずかしくて恥ずかしくて、必死に「し~っ!!」と長男をだまらせようとしたのだが、当の本人は涼しい顔で歌い続けた。

なぜこんな歌を歌えるのかというと、よく泊まりに行くじいちゃんの家は田舎にあり、移動販売の車がよく回って来るのだが、その車がこの「チャンチキおけさ」を大音量で流しながらやってくるのである。

泊まりに行っていた時に長男は、この曲が聞こえるとばあちゃんを連れて、いろいろ買ってもらおうと移動販売の車まで走って行っていたそうなのだ。

何か買ってもらえる車とこの曲は、絶対に忘れられないものだったらしい。

おかげで東京まで来て私たちは変な恥さらしをしてしまったわけである。長男を預かってもらい自由気ままなお気楽主婦をやっていたつけが、こんな形であらわれようとは夢にも思わなかった。

しかしこれも今となっては楽しい思い出である。その時はかなり冷や汗をかき苦笑いの夫婦だったが、その長男ももう「チャンチキおけさ」は覚えていないとのことだ。ちょっぴりもったいないな…。

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