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「罪を犯した若者の再生への道は、壮大で他も巻き込む癒しの旅だった~『風をつむぐ少年』~」【YA⑫】

『風をつむぐ少年』 ポール・フライシュマン 作 片岡 しのぶ 訳 (あすなろ書房)
                           2005.9.2読了
十七歳のブレントは父親の転勤でアメリカのあちこちをまわりシカゴにやってきました。
いまどきの若者らしく、見かけのかっこよさや女の子や友人にどう思われるかが一番重要だと思っています。
 
ある日ブレントは、友人のパーティで思わぬ赤っ恥をかき、侮辱された気持ちでその場を飛び出します。
一瞬にして心に大きな傷を負ってしまった彼は、酔った勢いで車を運転し自殺しようとしました。
しかし逆に彼は、事故を起こして一人の少女を死なせてしまったのです。
 
その後、謝罪のために少女の家族を訪ねたときに、少女の母親から彼に課せられた償いの方法を伝えられました。
アメリカの4隅、ワシントン州・カリフォルニア州・フロリダ州・メイン州に、少女の顔をした風で動く人形を作って少女の名前を書き、1つずつを立てていくというものでした。
 
そしてブレントは解放されたように全土を回るバスの旅に出るのです。
彼が各地で作って立てた風で動く人形は、見知らぬ誰かの心にほのかな灯りをともし始めました。
また、この旅でブレントの心にも変化が現れ、償いの旅が癒しの旅となったのでした。


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