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「平安の世も乙女たちのアオハルがドキドキでいとをかし~『紫式部の娘。賢子はとまらない』~」【YA66】

『紫式部の娘。賢子はとまらない』 篠 綾子 著 (静山社)
                          2017.12.5読了
 
今回のこの本の出版社を見て、へえ~、“あの静山社”がこんな本も出しているんだ…と、少し感慨深い気持ちが湧いてしまいました。
(ハリポタで有名な静山社です。ハリポタを出すまでは、お堅い研究論文や哲学書などがほとんどだったと聞きます。その後、欧米のファンタジーものを中心に出版されていたと思うのですが、新規開拓でしょうか)
 

なんかおもしろそう…と思って手にしたのですが、平安時代の宮中におけるお話で、実在した人物なども登場し事実と架空の物語が混在しています。

私は日本史がニガテというかあまり詳しくないので、登場人物の相関図を何度もページをめくり見直しながら読みました。
 
それにこれはシリーズの第2弾。1作目はすでに出ていたんですね。
残念ながら第1巻目は読んでいませんが、読んでいなくても十分に楽しめました。
 
 
主人公・賢子は、紫式部の娘で、宮中で皇太后・彰子の元で仕えています。
明るく積極的で元気いっぱいの正義感溢れる性格なため、あまり考えもせず即行動に突っ走るのが難点です。
 
まだ15歳ながら、昔は結婚も出来た身。
宮仕えを担う彼女ら女房の教養もさることながら、身のこなしや状況に応じた機転など求められるものは多いのです。そういうことを踏まえると、やはり昔はおとなになるのが早かったんだなあ、と読みながら感心してしまいます。
 
 
光源氏ばりの見た目と行動の殿方に密かに恋をしたり、女子衆のイジメに直面したりなどのドタバタもあります。
 
しかしながら、あわや宮中暗殺に出くわしそうになったり、政争のド真ん中に身を投げざるを得なくなるなどの危険もありの、スリル満点だけれども雅なるお話に楽しみぐんと引き込まれました。
 
でも、賢子は青春真っ只中の乙女。
雅なる世界ならではの恋や友情が描かれていて、とても好感持てました。
昔の物語ながら、現代の若者にも通じる話題がとても共感できると思います。

普段本を読まないという子たちでも、歴史は案外好きとか、恋愛とかのエピソードだったらとっつきやすいかもと考える子たちには、手に取りやすい本なのかなと思います。
 
おまけに私のように日本史に疎い人でも、難なく読めて、かつ楽しめます。
(相関図は本当にとてもありがたかったです。あれがあるのとないとでは、物語への没入感は全く違ったものになるでしょう。昔の人々の関係性ってけっこう複雑ですよね…)


そもそも紫式部がどのような女性だったかなどの事実も存じ上げなかったし、娘がいたことなども恥ずかしながら今回初耳でしたので、いかに自分が何も知らない、いえ勉強不足だったかを改めて思い知らされた気がします。

苦手な分野でも、食わず嫌いにならないよう、少しずつ学ぶ姿勢が大事だということですね。
 

ちなみに、第1巻目はこちらです。↓

 

余談ですが、もう先週の月曜日のことだったのですけれども、記事を更新するのが遅くなり、以下のようなものをいただきましたので、ご報告です。
いや、数字的には恥ずかしいほどそんなに自慢できるものではないのですが、とりあえずお披露目です。
読んでくださった皆様のおかげです。
いつもありがとうございます。

『映画化決定』というYA小説を紹介しました。漫画を映画化するおはなしでした。

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