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荀子 巻第三非十二子篇第六 1 その6

今までの「その2」~「その4」で六説・十二子者をそしり、前回「その5」で「聖人の勢(他を制する力。威力。権力。)を得ざる仲尼(孔子)と子弓」を称賛しました。今回部分では聖人の勢を得た舜と禹を挙げています。

天下を一にし万物を(裁)し、人民を長養し天下を兼利し、通達の属は従い服さざること莫く、六説者も立ちどころにめ十二子者も遷り化するは、則ち聖人の勢を得たる者にして舜と禹とは是れなり。

(「荀子」岩波文庫 金谷治訳注)

兼利→益を共にして、広く分け合う意。
通達→③すみずみまで通じること。また、とどこおりなく通じること。
属→④なかま。たぐい。やから。同類。[類]族 ⑤したやく。部下。
息→④やめる。おわる。消える。
拙訳です。
『天下を一つにして万物を裁き、天下の利益を共にして広く分け合って人民を長く養い、辺境のすみずみまで通じた配下たちには服さないものはおらず、六説者はたちどころに邪説を説くことを止め十二子者も翻意・服させるのは、聖人の権利を得たる方として舜と禹がこれにあたる。』

今夫れ仁人ははた何をか務めんや。上は則ち舜・禹の制に法とり下は則ち仲尼・子弓の義に法とり、以て十二子の説をめんことを務むべし。くの如くんば則ち天下の害は除かれ仁人の事はおわり、聖王の跡も著われん。

(同)

制→④おきて。きまり。しくみ。
跡→②あとかた。物事が行われたあと。
拙訳です。
『今仁ある者は何に務めるべきか。上は舜・禹のきまり・掟を守り下は仲尼(孔子)・子弓の義にそって、これらにより十二子の説を終わらせることに務めよ。そうすれば天下の害は除かれ、仁ある者の仕事は終わり、聖王の功績も明らかになるであろう。』
十二子をそしるだけでなく、仁者の行うべき活動を示し、その成果も示して終わっています。
△△はダメだ、こうすべきだ、そうすればこうなる、という展開は今でも重要で、単なる批判者にとどまらず改革・改善者への例示にもなっていますね。

以上で「巻第三非十二子篇第六 1」読了です。
「その1」から本日の「その6」まで読み返してみたのですが、苦労しているなぁと苦笑してしまいます。でも、ちょっと楽しいです。このちょっとの楽しみのために、引き続き苦労していきます。

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