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荀子 巻第三非十二子篇第六 1 その2

昨日は、「荀子 巻第三非十二子篇第六 1 その1」として、冒頭部分を訳して『似非文化人がいる。』ことを把握し、そしられる似非文化人12人の確認をしました。
荀子は似非文化人12人を2人ずつのペアにして、6つのグループに分け、6つの非難文を挙げています。そのうちの5つのグループについては、締めの文章が同じです。先にその同じ締めの文章を紹介させていただきます。

然れども其のこれを持するにはことわけち、其のこれを言いては[条]理を成し、以て愚衆を欺惑するに足る、是れ〇〇と△△なり。(「荀子」岩波文庫 金谷治訳注)

故→⑥ゆえ。わけ。
理→①ことわり。物事のすじみち。
拙訳です。
『しかしその説には理由もあり、筋も通っているので、愚かな大衆を欺き惑わすには十分で、それは〇〇と△△である。』
荀子は5つのグループについて、故も理もあるのでだまされやすいとしています。
順番に見ていきます。它囂たごう魏牟ぎぼうからです。

情性をほしいままにして恣睢しきに安んじ禽獣のごとく行い、文に合い治に通ずるには足らず、(同)

情性→①人情と性質。性情。心。②感情の働き。
恣睢しき→勝手気ままにふるまうこと。
拙訳です。
『禽獣のように気分のままに勝手気ままな行動をし、文治には至らない、しかしその説には理由もあり、筋も通っているので、愚かな大衆を欺き惑わすには十分、それは它囂たごう魏牟ぎぼうである。』
続いて、陳仲と史鰌ししゅうです。

情性を忍び綦谿きけい(極深)利跂りき(離立)し、苟くも人に分異するを以て高しとし、大衆に合し大分を明かにするには足らず、(同)

綦谿きけい利跂りき→世を離れて独立することをいう。
分異→①わかれことなる。調べたら漢字ままの意味でした。
分→人倫上のけじめ。名分。大儀。
大分→①おおよそのきまり。大綱。②大きな定め。天の定めた大きな運命。
拙訳です。
『感情の動きをおさえて、世を離れて独立して、身分不相応にも人とは異なる点を自分の偉さとし、大衆に合わせて世の中を良くしていく大きな理を明かすには不足がある、しかしその説には理由もあり、筋も通っているので、愚かな大衆を欺き惑わすには十分、それは陳仲と史鰌ししゅうである。』

它囂たごう魏牟ぎぼうは気ままでダメであったのが、陳仲と史鰌ししゅうは気ままではないものの、人と異なることを自慢してしまい大衆とともに考えていくことができないと非難しています。

5グループのまずは2グループ、12人の内4人、残り3グループ8人については明日以降に見ていきます。

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