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荀子 巻第五儒王制篇第九 15 その1

序官。宰爵は賓客・祭祀・饗食・犠牲の牢のこと(謀)をつかさど(主)り、司徒は百宗(族)・城郭・立器のことつかさどり、司馬は師旅・甲兵・乗白(伯)のことつかさどる。

(「荀子」岩波文庫 金谷治訳注)

自分が分かっていない言葉の意味を調べます。
宰爵→料理をつかさどる官名。一説に、諸侯をつかさどる。
饗食→大牢を供えて会食すること。大牢は、牛・羊・豚の三種の御馳走。
犠牲→人や動物を生きたまま神に供えること。また、その供え物。
牢→③いけにえ。また、ごちそう。
百宗→多くの一族の人。百族。百族→多くの人民。百姓。
立器→調べたのですが熟語としては無いようです。金谷先生は「器具」とされています。
師旅→《古代中国の軍制で、500人を旅、5旅を師としたところから》軍隊。また、戦争。
甲兵→①武器。②武装した兵士。
乗白→昔の軍事のための税制の一。一でんから兵車一乗と兵卒をだす。
拙訳です。
『官の序列。宰爵は大切な客(諸侯)・神や祖先の祭り・大牢を供えた会食・神にささげるいけにえをつかさどり、司徒は百族・城郭・器具をつかさどり、司馬は戦争・武器・軍事税制をつかさどる。』

今回は「官の序列」ということで、どんな官職があるかまたその業務内容がどんなものであるかが説明されています。
最初に挙げられているのが「宰爵」ですが、「宰爵」と言われてもピンときません。それでも最初に挙げられているのですから、重要な仕事を担当していたと思われます。料理人ということですが、神職に近い業務も担ったのではないかと推測します。大昔は今よりずっと神様を信じていましたから、祭祀やそれに関わる犠牲の管理などは非常に重要な仕事だったはずです。神にささげた後のいけにえの肉を料理し諸侯に振る舞い誓いを固めていたのでしょうか。想像が膨らみます。
司徒は民生を管轄していたようです。各部族を融和し百姓を守るために城郭を管理し、詳しく分からなかったのですが「立器」器具・道具の開発も促進して市民生活の向上に役立てていたのかもしれません。
司馬は軍事担当ですね。軍事に関しては「白乗」として兵の徴集にまで関与していたことが分かります。
「司馬」のように太古から今につながる官、「宰爵」のように今はもうない官、諸々現在と比較しながら読んでいくと、昔の人の生活が想像できて面白いですね。

まだまだたくさんの官が出てくるようですが、続きは次回にします。


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