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相続対策のタイミングとは?

「相続」と向き合う仕事をしていると、残念ながら「相続対策」をしてから暫く経過した後に実際に相続が発生した、というケースがあります。

入院することになったから万が一のために。
末期ガンが判明したから妻や子供のために。
親が認知症でもう危ないと言われたから今のうちに。

本人やご家族が現在の病状を一番よく理解しており、その本人を目の前にして相続の話をするのは、相続の専門家とは言っても、なかなか話にくいものです。

そもそも、相続対策といっても、よく言われるような「争族対策、節税対策、納税資金対策」の3つ以外にも、財産管理、介護、墓守、事業承継等、多岐にわたるため、そもそも一体いつから始めればよいか、と思われる方も多いかもしれません。

私は以下の3つのポイントを踏まえ相続対策をはじめるタイミングを検討することをおススメしています。

① 健康状態のステージ

多くの方は、元気なうちに相続対策を実行しません。なぜなら、緊急性はないし、今しなくても困らないからです。
しかし、元気なうちしかできない事はたくさんあります。

節税対策なら、生前贈与、アパート建築やマンション購入、養子縁組 等
納税資金対策なら、保険の加入、土地の売却 等
争族対策なら、遺言書作成、家族信託 等

これらの行為は、認知症が発症してからでは殆ど実行できません。

また、対策には本人確認や本人による署名が必要なものも多くあります。

認知症でないにしても、体に何らかの不自由が生じた、例えば、字が書けない、足が動かない、入院が長引く可能性がある、等が発生した場合には、相続対策がスムーズに行えない可能性もあります。

緊急性はない、けれども、大切な事はやはり動けるときに行動に移すことがベターだと思います。

② 法律改正の動向

12月中旬になると、来年の税制改正がどうなるか、がわかる「税制改正大綱」が発表されます。
税制改正大綱とは、各省庁からの税制改正の要望を受けて、与党税制調査会が翌年度以降の税制改正の方向性をまとめたもの。
この税制改正大綱を受けて、翌年の税制改正が行われる訳です。

そして、その税制改正大綱を見れば次のようなことも確認できます。

時限立法で延長されず終わってしまうもの
税制特典を得られるのが特定の期間に限定されているもの
新たなに創設されるもの

例えば、オーナー株式を後継者に引き継ぐ際の贈与税・相続税の納税猶予制度である事業承継税制(特例措置)は、その適用を受けるためには令和9年末までに代表権とオーナー株式を後継者に引き継がなければなりません。つまり、現行税制では時限立法であるため、それ以降は原則適用できません。

ここでは、あくまで相続税の観点からお話ししましたが、民法などのその他の相続に関連する法律の改正によっては、相続対策のタイミングを早める必要もあります。

③ 想いを伝えるべきと感じたとき

以前、とある相談者の方が会社の事業承継と相続の相談でお見えになりました。

その方はまだ50代。お子様もまだ学生です。
一般的には、「相続対策にしては早すぎる」「学生の子供に言ってもまだ分からない」と思うかもしれません。

ただ、その相談者の方は、以前から子供に会社は誰に継いでほしいか、兄弟姉妹が助け合うことがどうして大切か、どうして自分がそう考えているか、をしっかり伝えたいと思っていたそうです。

子供が若かろうが、小さかろうが、しっかり親の想いを子供に伝え続けることは、相続対策の基本だと思います。

そう思えば、相続対策に早い、はないのかもしれませんね。

それではよい一日をお過ごしください♬

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