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創造設計舎 取締役副社長 浜野祥一さん 

今回は、受け入れ企業担当者でもある浜野さんのインタビュー記事です。
施設設計という、あまり馴染みのない設計分野ならではの魅力や、中小企業で働くとは。十勝地方で生活することの良さなどをお話しいただけました!

Q,浜野さんよろしくお願いします!まずは設計の魅力を教えてください。

施設設計は用途が多種多様です。
幼稚園や小学校は自分が通ってきているからイメージは湧きますが、実際に自分が触れてきていない施設や用途を設計することもあります。

帯広市ばんえい競馬場の馬小屋の設計を請け負うことになり、他の馬小屋
だったり過去の事例を調べたりしてプランを出しましたが、施主さんから
「馬の気持ち考えたことありますか?」と言われたことがありました。

専門性の高い施設であればあるほど、その分野のプロフェッショナルを相手に設計することになります。馬の世話をするプロだったり、保育のプロで
ある保育士さんだったり。だからこちらも一般的な設計スキルだけじゃなくて、設計する分野の勉強もしないと設計ができません。

道の駅なんかも事例をたくさん見て、自分の経験値を上げていますが、
やはりそれをやった分だけ質に転化されると思います。始めのうちは大変
だな。と思っていましたが、物件を重ねてくると手掛けたことのない分野の設計だとまた新しい知識が増えるな。と楽しくなってきます。

そんな日々勉強なところ、頭が働く限り歳を重ねるごとに経験値が増して、より良い設計提案をしていけるところが施設設計の魅力の一つだと思います。

創造設計舎さんが手がけたばんえい競馬
ふれあい動物園での様子

また、BtoCの住宅設計とかと比べて、施設設計はBtoBでの打ち合わせが多いのですが、その施設を利用する人が格段に多くなることも魅力の一つだと
思います。

道の駅を使う人はここを創造設計舎が作ったなんて考えることはないので、その人たちから「ありがとう」なんて言われることは少ないけど、実際は
たくさんの人に使われていて、自分たちも足を運んでは利用者の反応を
見て、今後の設計に生かしていることも多いです。

自分がデザインに力を入れたところを見た人が「わぁ。」って立ち止まって声を上げてくれると単純に嬉しいし、逆に公共施設とかでデザインを良くしようとする気持ちが強すぎて各サインをシンプルにしすぎると、一般の人からトイレが分かりづらいとかクレームが出てしまう。

大きくトイレを示す張り紙のようなものが作られていると、もっとサイン
計画しっかりやっておけばよかったな。と反省することもありますが、
色んな人から評価されるのは魅力だと思います。

創造設計舎さんが手がけた道の駅音更
(2022/4/15移転リニューアルオープン!)

Q,十勝の魅力って何ですか?

実家は十勝の広尾町で広尾高校から札幌の専門学校に進学しました。
広尾から札幌に行ったっていうのもありますが、札幌は魚が止まると
死んでしまうみたいな。
家に休みの日に何もしないでいると、その間にも周りがせわしなく動いていて置いていかれてしまうみたいなところがあったり、道を歩くときも人を
避けて歩かないといけない息苦しさがありました。

当時の彼女(今の奥さん)が、帯広で就職していたから、よく帯広には
行っていたけど、人の密度が自分には丁度あっている感じがしました。
息苦しくもないし、お祭りの時とかはどこにいたんだろ?
ってくらい人も集まってくる。ものも買おうと思ったら大体揃うし、
たまに札幌や東京に行って買い物するのも楽しみになりますしね。

Q,特に帯広がちょうどいい?

はい。場所的にもいろいろ見てきましたが、実際に住んでいるというのもあるかもしれませんが。
北見とか網走とかに比べても札幌に近いし、東京に行こうと思ったら空港があるから行けますし。

東京よりも札幌の方が用事のあることが多いと思いますが、
札幌まで3時間というのはあまり苦じゃないですね。
特に道民にとってはそこまで遠く感じないと思います。(笑)
あとは、この何もない風景というのは東京ではもう作り出せないものだから。そこにも価値があると思います。これから作っていけるので。

帯広市役所から見た帯広市街

自分も帯広に住んだ頃は「十勝って何も無い」って思っていましたが、
住めば住むほど十勝の魅力に気づいていく感じがします。
後藤 健市さんという方が講演で話されていましたが、
「十勝って何も無い」じゃなくて、「十勝って 余計なものは 何も無い」って考えを変えるだけで可能性が無限大に広がっていく。っていう話をしていて、本当にそうだなって思いました。

街中なのに少し遠くを見たら山並みがキレイに見えるし。
大自然を独り占めできるっていうのも大きな魅力だと思います。

Q,働くってどういうこと?という問いに対して、「人生を何倍も楽しめる
コツ」とお答えいただいておりました。他にも「仕事にやりがいを持っている人は、遊びでも仕事でも楽しめる」とお答えいただいていましたが、
なぜですか?

仕事も業務でしかないとか、マイナスに考えてしまうと対価の給与という
部分しか見えなくなってしまいます。
やれと言われたからやるというように。逆に仕事のやりがいを感じて、
お金が後に来ている人は、いろんなところに目がいくし、何でも面白そう。と見ている視点があり、自分が今まで面白くないと思っていることにも、
常に面白いのかもというアンテナを張っている感じがします。

今の仕事でも辛い時はありますが、その中で仕事の良さを感じ取ることが
でき、そこから得られるものもあると思います。
ただ業務をこなすだけじゃなく、常にアンテナを張る。
設計をやってると多種多様な人と出会って勉強することがあります。
大人になるとわからないことがあればあるほど面白いと感じています。

Q,興味はないと言えども、自分の仕事に繋がっているから面白いと感じる?

繋がってないこともありますが、総合的に勉強したことで
見えてくるものがあると思います。いろんな知識が蓄えられた状態で
もう一回聞くと面白く感じる。など。そこだけ聞いてもよくわかりませんが。改めていろんな知識を蓄えた上でもう一度聞くと、面白くなります。

学問としてだと、一つのものを深く探究していますが、世の中のものって
大体分野横断的になってると思っています。特にこの業界にいるから、
受け身じゃなく自分で調べるとより面白く感じますよね。

浜野さんのインタビュー風景

Q,その広範囲な所も施設設計ならではですよね。

住宅は住むというところに特化していますが、保育園では保育士さんや
子どもたちの目線があります。ですが、その目線は今まで経験してきたことに基づいてのものだけになりますので、そこに新たな価値を創造する。
ただ本読めるスペースがあったらいいよね。から相手の想像力を汲み取ってクリエイティブに創っていくということが必要になってきます。

Q,確かにその分野についてやるにしても、プロフェッショナルの人に対して付加価値を提供できるような見識が必要ですね。

住宅に比べて、施設は振れ幅があると思います。
見識とか、経験値とか、設計に対する思いとかでどんどん
こだわることができますね。

Q,都会の公共物はこの施設専門って感じで、分野で分業しているんですか?

そうですね。
幼稚園専門の設計をしているところとかがあります。
都会に比べると設計事務所自体の割合も少なく、専門でやっているようなところは無いので、多種多様なものを受けないといけません。
その結果、いろんな仕事にチャレンジすることができます。

札幌などの規模が大きい設計事務所とかと比べると、
すぐに経験値を積むのには良いところだと思います。

Q,クリエイティブさが身につきそうですよね。いろいろなものに手を出すからこそいろんな価値観経験ができて今までにないものが作れる。専門性が
高いとその幅が狭くなりそう。そういう意味では、今の創造設計舎さんの立ち位置で言うとそこが魅力だなと思いますね。細かいルールがないからこそ、とらわれずにいろんな挑戦ができる。創造設計舎って名前がすごくあってる気がします。

クリエイティブな創造って文字が入っているのは気に入っています。
社名を決める際に、「創造設計」というのはすでに決まっていて、
今の社長が、創造設計という完全に組織設計にならずに、アトリエ的な部分も持たせた胃ということ「舎」を付け加えたと聞いています。

Q,すごいしっくりきますね。

ですが、私が入社して10年くらいまでは、組織系な感じでした。
新しいことをどんどんやるというよりは、確実な建物を作るというところが多かったと思います。

遊び心がないと言うと言葉が悪いかもしれませんが、そのような建物が
多かったです。それまでは、それが当たり前だと思ってやっていました。

ある時、新入社員と現場を見に行った時。
今までは現場を見せていなかったので、どうだ!すごいだろ!みたいな
雰囲気で見せたのですが、その子からは「確かにすごいけど、もう少し
アクセントのある色も欲しかったですね」というような話をされて改めて
考え直す機会になりました。

その時に色々な建築があるし、もっと遊び心があってもいいのではないかと思い出すことができるくらいのインパクトがありましたね。
内観はいつもオーソドックスな物件が多かったので、
そこからいろいろ経験値とかを踏んでいきました。

Q,それは会社としても受け入れてもらえたんですか?

そうですね。結局奇抜なものとか挑戦しようとすると弊害が出てきます。
卒なく言われたことをやるというのは、一番生業的・業務的には
正しいのかもしれないけど、面白いことをしていった方がいいかなと思っています。

音更の道の駅のキッズコーナーも、
そういうスペースを作るということだけしか要望には記載が
ありませんでした。

よくスーパーとかにあるような、クッションとかを置いて終わりといった
ような。ですが、そこにどれだけ魅力をつけるかと考えたときに、
かなりたくさん調べていろんなところ行って。

こういうの面白いからこういうのやりましょうみたいな。
そのような提案をすることができるのが楽しいです。
元々発注者の人が持っていた案とコラボレートしながら、
想像を広げて行くというのが面白いと感じています。

Q,卒なくこなすということだけだと、創造設計舎じゃなくてもよくなりますもんね。

独自性が出ないとそうなりますね。
うちはデザインという付加価値をつけるという独自性と、
世の中的には同じものを作っていても回りますが、そうではなく
お客さんの想像を超えた創造をというところの付加価値をつけたいと
思っています。

十勝×建築デザインの魅力は中小企業が多いこと。
人数が少ないことの利点があります。例えば仕事の待遇とかでも十勝でも
規模が大きくなると、しっかりとした人事などとだんだん決められてきます。そんな会社で社長に会えるのはなかなかなく、何かやりたいと思ってもお伺いを立てるのが難しくなります。

いろんな人を通してのお願いはその人の想いが乗ってきません。

そういう意味では、良くも悪くもいきなり新人が社長に声をかけることができる。それを聞いた社長がいいと思ったことは、
「じゃあやってこうか」となるフットワークの軽さ。
そういうところは働いたことのない学生たちには見えないと思います。

給与とかも、大手だったらこのくらい出します!とはっきりしていますが、うちは能力給だからどんどん上がっていきます。
そこで比べることができます。自分次第でいかようにもやりやすい環境を
作ることができるというのが中小企業の魅力だと思っています。

中小企業は給与でいうと一人一人の差が激しい。
平均で見たらそんなに気にはなりませんが。そう言ったところを見ることができない思います。「誰でも社長になれる」ということ。
独立しても良しだし。その辺を学生には伝えていきたいと社長も
言っていました。

大手とか、公務員は背負うものがあり、全部決められています。
変える難しさがありますが、中小企業にはそれがない。
大手のインターンとかだと、今回みたいにご飯とか飲みになんていけませんよね (笑)。

梶野さんに話を聞いていただいたロフトクラブでは
食事や美味しいお酒もご馳走になりました。

Q,これからの働き方とかにも、柔軟にというのが進んでいるので
時代にあった働き方になりそうですね。

そうですね。
突き詰めると矛盾が生じることは結構あります。そこらへんを臨機応変にでき、固まりきっていない。仕組み化されちゃうと動けない。創造性とか柔軟にという職業だから、よりその方があっているのではないかと思います。

ですが、中小企業でもそれを受け入れる体制みたいなのが上司の方にないといけないとも思います。
言いやすい環境であること、そしてそれを受け入れる体制。そういう部分は他の企業にもないところだったりするのかもしれません。

Q,本日はありがとうございました!

社員さんとの集合写真

今回お話を聞いた創造設計舎さんについての各種情報です!
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