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vol.13 コロナ禍の経営危機を振り返り。そして、感謝の会。/京西陣菓匠 宗禅を強くした、コロナ禍のV字回復を振り返る。

こんにちは。京西陣菓匠 宗禅の店主、山本宗禅です。

今回も『京西陣菓匠 宗禅を強くした、コロナ禍のV字回復を振り返る。』コロナ禍の経営困難を京西陣菓匠 宗禅を含むグループ3社が、いかにして乗り越えてきたかを振り返っていきます。

同じような悩みを抱えていたり、経営困難に立たされた経営者の方のお役に立てたら。お付き合いいただけると幸いです。

前回のまでの流れはこちらです▼


2023年6月時点での振り返りと数値の経緯

パンデミック以前の弊社は、私がつくりたい商品を開発し続け、商品数も1,000近くありました。
そのため、販売数が多い(利益が取れる)商品の箱詰めや袋詰めなどの製造加工を他社に委託し、自社工場では効率の悪い商品ばかりを製造する状況となっていたのです。

しかし新型コロナウイルスによるパンデミックの倒産危機により商品を厳選し、売上の悪い商品、弊社でなくてもつくれる商品、利益の出ない商品は思い切って販売中止としました。

売れる商品、宗禅らしい商品、私たちが持つ技術が生かされる商品に集中したのです。この結果、商品点数は3分の1以下に減りました。

この結果、商品数が減ったことで在庫数量も減り、またほとんどの商品を自社工場での生産に切り替えることができるようになり、利益率も驚くほどに上がるようになりました。

また、卸売先の店舗数もパンデミック前は長寿堂恵佳が120店舗、京西陣菓匠 宗禅が104店舗でしたが、長寿堂恵佳が174店舗、京西陣菓匠 宗禅が470店舗と増加しています。

京西陣菓匠 宗禅は、JP京都駅の直営店舗だけではなく、みんなで売り歩き、必死に獲得した卸販売店舗の増加数がV字回復のために大きく起因していることが分かります。

長寿堂恵佳は製造に集中し、宗禅は販売することに集中する。そしてトライズネットは販売した商品を自社配送できるようにする。という選択と集中の戦略が功を奏したのです。

【ここでの学び】
どの商品で?どの売り場で?どのようにして勝つか? 小規模な企業では、選択と集中の戦略が必要です。

以前のグループ3社のようすは、こちらでご覧いただけます。

コロナ禍3年間のグループ総売上・営業利益

  • 2019年度グループ総売上 7億800万円、営業利益 -1億2,600万円

  • 2020年度グループ総売上 5億1,000万円、営業利益 −1億3,300万

  • 2021年度グループ総売上 8億5,300万円、営業利益 -1,300万円

そして、2022年度グループ総売上:約15億円、営業利益:約8千万円。

私たちはパンデミックの危機、そして、連鎖倒産危機を乗り超えたのです。
営業利益もマイナスからプラスとなり、驚異的な伸びとなりました!

コロナ禍以前、総売上が10億円あった時でも、営業利益の最高額はグループ3社で1,500万円ほどでしたから、売上だけでなく、収益面においてもかなり向上したことがわかります。


コロナ禍以前の私はワンマン経営で、働き手の顔は暗く、他の人には関心を寄せることなくバラバラの組織でした。パンデミックの危機をともに乗り越え、みんなが明るく笑顔でお互いに助け合い、自信に満ち溢れた強い組織へと変革したのです。

心理的安全性のある組織へと変革できたことが、V字回復できた大きな要因です。

困難をひとつひとつ乗り越えるたび「コロナのおかげで強くなっている」と言い聞かせることで、なんとか踏ん張ってこれました。

2023年7月9日 コロナを乗り越えた感謝の会

私たちは働き手や協力会社の方々にお声がけし、150人ほどで集い『コロナを乗り越えた感謝の会』を盛大に開催しました。

3年間パンデミックの経営危機と戦っていた私はいつも、「この危機を乗り越えたら、必ず家族や働き手たちと盛大なパーティーを開催しよう!」と夢を見続けていました。

この夢を実現することは、踏ん張り続ける必要に迫られた私の「自分に負けない大きな原動力」でもあったのです。

「ようやくコロナを乗り越えられた!」

久々に登場した長寿堂恵佳の看板商品『たこべえ』の着ぐるみや働き手たちの笑顔、そして楽しむ姿を見たとき。私は涙が止まりませんでした。

私自身おおいに踏ん張り、たくさんの涙を流しながら頑張ってきましたが、この危機を乗り越えられたのは、多くの方々にお力添えいただいた結果です。

お客様のことをしっかりと考え、取引先に喜んでいただけるように最大限務める。また、働き手のひとり一人を尊重する。全ては人との繋がりです。

そして、この頃になって、幼いころより祖母から聞かされていた『(困っている)人を救けたら、必ず自分が救かる(よくなる)ことに繋がる。“情けは人の為ならず”』という言葉を、実感をもって理解できるようになりました。

こういった金言は、耳にするだけでは素通りしてしまうけれど、実際の経験を通して理解すると、なんとよく表現した言葉だと驚きます。


奮闘記はこれで最後となりますが、次の記事にて京西陣菓匠 宗禅を含むグループ3社が、V字回復できた要因であろう事柄を整理しておきます。


全てが私の体験談であり、長い文章になってしまったこと申し訳ありません。会社の数だけ個性があり、再現性のあるトピックとは言い難いかもしれません。

それでも、ほんの僅かでも今苦しんでおられる誰かのプラスとなり、未来の喜びに繋がることを心から願っています。

今は苦しくても、光がさす方へ歩み続け、ともに笑いましょう。
多くの方々と笑い合えますように。


京西陣菓匠 宗禅
店主 山本宗禅

ここまで読み進めてくださった皆様、有難うございました。

手段や思考方法に特化するため、今回のシリーズでは端折ることにした「宗禅がクラファンでをするときにした工夫」や「売り場の種類を増やした際にしたこと」などについては、今後、別記事として少しずつ書き進めて参ります。


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