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AIはパンドラの箱なのか? 世界の終わりとハードボイルドワンダーランド 

中学生の3人に1人が「教科書が読めない」と言われてて、「まさか」と思う人も多いだろうが、実際に教壇に立っている立場から言うと、残念ながらこれは「事実」みたいだ。
試験をやるとよくわかる。「‥‥‥なのはなぜか。理由を述べなさい」という問いに、「葉っぱ」とかいうナゾの答えがよくある。間違ってるのは全然かまわない(ホントはよくないけど)。理由を聞かれているのに、名詞で答えるというのは、要するに「何をきかれているのかわからない」のだ。つまり、日本語がわからない。
他にも、すさまじいまでの常識の欠如。「太平洋戦争が終わったのは何年ですか?」という問いに、「1638年」というのがあった。1600年代が江戸時代という感覚がないのだ。「1982年」というのもあった。ちょっとマシだけど、自分の親が何年生まれなのかも想像できないみたい。
問題は、もちろん子供だけではない。
最近話題の詐欺事件だけど、ニュースを見てたら笑ってしまうような事件が多い。「延滞料金を電子マネーで支払え」とか、詐欺に決まってんじゃん。ふつー、振り込みか、クレジット払いでしょ? どうしてわかんないかな? しかも「Microsoftの社員にコンビニでGoogle playカードを買うように言われた」とか何かのギャグ?
還付金詐欺にしても、「何の還付金?」とは思わないのかな? 金がもらえるんだったら何でもいいの? そんな了見だから騙されるんだよ。
「情報商材」とかもひどいしね。「確実に2倍に増えます」って、そんなのあるわけないじゃん。
あと、昨今急増してる美容やダイエットや発毛関係の怪しさ満載の広告にも、やっぱりひっかかる人がたくさんいるみたいだし。

ということで、悲しいかな、世の中の人々の知的水準は、惨憺たる状況であるみたいなのでした。これは日本に限らず、世界的にそうみたい。(実は日本人の知的水準は、世界的にはトップクラスだったりする)

そういうことを前提にして考えると、Qアノンとかの陰謀論やポピュリズムの広まりは納得できる。

で、本題なのだが、このような悲惨なまでの「情弱」(好きじゃない言葉だけれど)な状況の中で、ChatGPTみたいな対話型AIや、画像、映像自動生成AIなんかが登場して来て、「情報強者(?)」ですら身構えざるを得ない状況が急速に展開して行くと、どうなるだろうか?
ひと言で言って、もう「カオスな世界、未来」しか予想できない。
極めて高度なフェイクニュースやフェイク動画が氾濫し、何が事実で何がフェイクなのか、もうほとんど見分けが付かない大混乱に陥るのは必定だろう。
最近話題の、アメリカの情報流出事件は、そんな時代の嚆矢として記憶されるのかもしれない。
うーん、ふつうに生きて行くのさえ、かなりのスキルが必要になりそうだ。
当然、世界は、そんなのに全く対応できないだろうなあ。
うーん。なかなかというか、かなり相当猛烈に不安な未来予想図である。
思いがけなく早く訪れてしまったAI時代(私の想定よりは5~10年は早い)の中で、どれほどの人間がまともに生き残れるのだろうか?
村上さんじゃないけど「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」だ。

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