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複業を成功させる5か条 #複業の教科書

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前回、第14回はコチラからどうぞ。

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第6章:複業を成功させる五カ条

複業がうまくいっている人に共通する考え方とは?

 本業を続けながら、自分の可能性を広げるキャリアサーチができる複業はいいことづくめ。自分も何か始めてみたい!とウズウズしてきた人もいるのではないでしょうか?

 でも、ちょっと待ってください。複業には見過ごしてはならない落とし穴があるのもまた事実。

 ということで、実際に複業を始めようとする人に僕が必ず伝えている心得を紹介したいと思います。

 これは、僕が累計500人以上の複業を支援してきた中で気づいた、「複業がうまくいっている人の共通要素」から抽出したものです。その心得とはズバリ、この五カ条に集約されます。

一 先義後利
目先の儲けに走らず、貯信せよ

「複業」ならぬ「副業」のイメージから、第一目的を「副収入」と考えて始める人が本当に多いのですが、すでに何度も繰り返したように、僕は絶対にすすめません。

 複業の一番の目的は自分が本来やりたかった夢や目標に少しでも近づくためのキャリアパス開拓。

 あるいは、自分の市場価値を高め、「欲しがられる人」になるためのスキルアップの手段。

 目標がそこまで明確でなくとも、「本業では得られない人との出会いや世界の広がり」など、自分の立つステージを発展させていくためのものだと考えてください。

 となると、必ずしも最初から「稼げる」とは限りません。むしろ、最初は稼げないケースが多いです。

 自分が目指したいキャリアビジョン、ライフビジョンを達成するための手段として複業をとらえて、「お金は後からついてくる」と考えましょう。

 このマインドセットについては、第2章で詳しく書いた通りです。

お金よりも、まずは信頼を稼ぐ

 ただ、いくら「お金が目的ではない」と言っても、目に見える〝利〟がないと、正直、モチベーションが続かないかも……。

 そんなモヤモヤも、とても理解できます。

 大丈夫。お金ではありませんが、確実に貯まっていくものがあります。それは「信頼」です。

 自分ができることを通じて、社外に活動を広げ、世の中に価値を提供していく。

 このシンプルな行動を繰り返していくと、やがて貯金ならぬ〝貯信〟が確実に増えていきます。

 信頼をコツコツ貯めていくことで、いざ本格的に複業で勝負をかけよう!という時に、応援・支援が集まりやすくなります。

 これはとても大きな財産です。

 また、「貯信が増えること」は、「あなたの仕事の金銭的価値が増えること」にもつながります。

 信頼を高めることで、いつの間にか仕事の単価が上がり、結果として、「収入が増える」という実益も得られるはずです。

二 本業専念
本業で成果を出すことにこだわれ

 複業の醍醐味は、本業だけでは成し得ない自己実現にチャレンジできること。

 だからこそ注意をしなければならないのは「本業をおろそかにしない」という姿勢です。

 すでに何度も述べましたが、日本の企業文化はまだまだ「二兎を追うもの、一兎も得ず」の価値観で動いています。

「複業なんか始めたら、本業に専念できなくなっちゃうんじゃないの?」と上司が心配するわけです。

 もちろん、僕からすると、「そもそも〝専念〟とは、何をもって?」という点から反論したいところです。

 ただ現実としては、とにかく複業をやっているというだけで、ネガティブな印象を持たれるリスクはまだまだ高いと覚悟はしておいてください。

 理想的なのは、「複業をやればやるほど本業に活きる」という状態をつくってしまうこと。

「複業を始めてから、あいつ、いい感じだよな」と上司や同僚に思わせることができたら、最高です。

 上司には「週末にこんなインプットがありました!」と積極的に複業の成果をシェアしましょう。

 本業に活きるリソースを社外から効率よく調達できることは、会社としても大歓迎なはず。

 逆に、複業をやることで本業がおろそかになるのは本末転倒。

 複業をエンジョイし過ぎるあまりに、本業で手を抜くことがないように、気持ちを引き締めていきましょう。

 むしろ、本業の成果に徹底的にこだわって、相乗効果を狙うべきです。

 本業と複業が並行線を描く「パラレルキャリア」というよりは、互いにプラスの影響を与え合いながら双方が発展していく「スパイラルキャリア」をイメージしてください。

三 公明正大
〝伏業〟にするな。周囲に共有せよ

 副収入が第一目的の「副業」の場合は、会社に隠れてコソコソと行う「伏業状態になっている人が少なくありません。

 しかし、この「伏業」はおすすめしません。

 なぜなら、長続きしないうえに、周囲の信頼を失うリスクがあり、自分自身の精神衛生上もよろしくないからです。

 上司の立場になって考えてみてください。

 ある部下の不審な行動に気づき、「こいつ、黙って何かやってるな……」という疑いを少しでも抱いた瞬間から、疑心暗鬼の感情が生まれ、「監視」「管理」の行動へつながっていく。

 さらに、隠されるほどに「暴いてやる!」という否定の感情が生まれ、関係性が悪化します。

 上司の応援が得られないことで複業そのものの継続が難しくなるだけでなく、本業にも悪影響が出るでしょう。

 だから、はじめから隠そうなどと思わずに、「複業はオープンに!」がこれからの常識です。

 副業禁止の場合を除き、上司に包み隠さず、始める前のあやふやな段階から〝相談〟して共有することをおすすめします。

上司には報告の前に「相談」をする

 まず報告ではなく、〝相談〟という点もポイントです。

 上司へのコミュニケーションの鉄則として、よく「ホウ・レン・ソウ=報告・連絡・相談」といわれますが、この3つの中で最重要なのは最後の「ソウ」。

 最初にやるべきことは「相談」です。「報告」や「連絡」はあくまで結果や途中経過の共有でしかなく、上司の意見や提案が反映されにくくなります。

 しかし、「相談」は上司の意見を積極的に聞きに行くコミュニケーション。 上司としても「お、頼られているな」と嬉しくなります。

 上司が一言でもアドバイスをしてくれた瞬間に、あなたの〝応援団〟になってくれたも同然です。どんどん味方になってもらいましょう。

 複業を公明正大に行うことのメリットがもう一つ。オープンにすることで、成長につながるフィードバックを得られることです。

「これから、こういう理由で、こんな複業にチャレンジしてみます」と周りに開示することで、周りも堂々と応援できるようになりますし、「だったら、いい人を紹介できるよ」と有益な情報が集まりやすくなります。

 厳しい指摘もあるかもしれませんが、それも含めて、成長に欠かせない学びです。

 周囲に隠す伏業と、オープンな複業とでは、まったく同じことを始めたとしても、成長スピードが大きく変わってきます。

四 自己管理
睡眠時間を削ってはいけない

 本業にあって、複業にないもの……と言えば??

 一番意識するべきは「上司やマネージャーがいない」という違いです。
 つまり、働き過ぎや仕事の偏りを調整する役目の人。複業において、「今月はちょっと残業が多いから、ほどほどにしなさい」「ちょっと顔が疲れているよ。大丈夫か?」と注意してくれる上司はいません。

 自分を律するのは、あなた自身です。

 くれぐれも複業に没頭し過ぎて、オーバーワークにならないように気をつけましょう。

 オーバーワークの結果、犠牲になりやすいものの筆頭が睡眠時間です。本業も複業もしっかり成果を出すには、きちんと休息をとることが大切。

「自分がパフォーマンスを維持するために最低限必要な睡眠時間」を算出し、その時間を確保できるペースでできる複業プランを練るように、心がけてください。

 もちろん、睡眠だけでなく、仕事から一切離れて、友達と会ってリフレッシュできるような時間も必要です。

複業は達成可能な「ベイビーステップ」から始める

 もう一つ、〝複業の犠牲あるある〟として浮かぶのが、家族との時間です。

 僕が理事を務めているファザーリング・ジャパンのメンバーのほとんどは複業として関わっていますが、「父親支援の活動を頑張り過ぎて、自分の家庭の子育て時間が減っちゃったら意味がないよね」と冗談交じりに話しています。

 自己管理はオーバーワーク予防から!

 そのためにもぜひ取り入れてほしいのが、「複業はベイビーステップで始める」という考え方です。

 ベイビーステップ、言い換えると、赤ちゃんの歩みのように小さな目標設定で一歩一歩進んでいく。

 自分で自分のハードルを上げない、のが得策です。

 労務管理をする上司がいないということは、「よくできた!」と合格印を押してくれる上司もいないということ。自分で自分を褒めながら達成感を得るしかないわけです。

 だからこそ、継続のためにも毎日達成感を得ることが重要となります。つまり、合格ラインは「絶対に達成可能なレベル」にまで下げるのが鉄則です。

 例えば、「週に1回ブログを更新する」とか「1日1回ツイートする」といった、あなた自身が「これなら今日からできる!」と確信できるレベルまで下げてください。

 無理なくベイビーステップで歩み始めて、少し慣れて余裕が出てきたら、ほんのちょっとだけ歩幅を広げる。その繰り返しで、いつの間にかものすごく長い距離を進んでいた自分に気づく日が来るはずです。

五 他者配慮
家族や上司、同僚への感謝とリスペクトを忘れるな

 最後に、絶対に忘れてはいけない大切なことを。

 複業は自分の力だけでできるものでは決してありません。
 職場の理解、そして家族の理解がなければ成り立たないものです。
 この当たり前の事実を忘れずに、感謝とリスペクトをこまめに伝えていきましょう。

 長らく日本の働き方を縛っていたモデル就業規則が改定され、これからは「副業解禁」が労働者の権利になっていく流れが間違いなく、追い風は確実に吹いています。
 
 しかし、だからといって「複業は労働者の権利なんだから、自由にできて当然」という態度を示すと、周囲の応援は得られません。
 
 優秀なワーキングマザーに、周囲への感謝と気配りを欠かさない女性が多いように、複業家も〝おかげさまで精神〟を忘れてはいけません。
 日々感謝を伝えることで、周囲からの協力や応援が集まるようになり、より複業を続けやすい環境づくりにつながっていきます。

 どんな形でもいいので、「あなたのおかげで複業ができています」という感謝のメッセージをこまめに送ること。

 さらに複業で得られた成果で〝お裾分け〟できるものがあれば、積極的に周りに還元していくこと。

 複業が軌道に乗ってきた時にこそ、強く意識したいと僕も胸に刻んでいます。

 この章で紹介した5つの標語、

一 先義後利 目先の儲けに走らず、貯信せよ
二 本業専念 本業で成果を出すことにこだわれ
三 公明正大 〝伏業〟になるな。周囲に共有せよ
四 自己管理 睡眠時間を削ってはいけない
五 他者配慮 家族や上司、同僚への感謝とリスペクトを忘れるな

は、複業をする時に絶対に忘れてはいけない大切なこと。

 ぜひ、トイレの壁に貼ってでも、毎日思い出してください!

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