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ネバーランド

ハリボーって何種類かあるけれど、僕はコーラ味が好きだなあと思う。実家に帰るとお菓子の棚にあるので手に取って食べる。ハリボーは今現在も世界一の販売数らしい。僕はハリボーも好きだけど、男梅グミも好きだ。

今日もまた最近読んだ小説を紹介したいと思う。

恩田陸さんの「ネバーランド」。

あらすじは以下の通り。

舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。ひとけのない古い寮で、美国、寛司、光浩、統の4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の「告白」ゲームをきっかけに起こる事件。日を追うごとに深まる「謎」。やがて、それぞれが隠していた「秘密」が明らかになってゆく。驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフィティ。

ネバーランド/恩田陸/2003年05月/集英社文庫

僕が恩田陸さんの作品を読むのは2冊目。

初めて読んだのは中学生の頃、国語の先生に薦められて読んだ「夜のピクニック」。多部未華子さん主演で実写化された映画も観たが面白かった。

そして2作目に選んだのは「ネバーランド」。

僕が生まれる前にドラマ化されたらしい。

たまたま書店で見つけたので読んでみることにした。

青春小説は懐かしさがあり、読んでいて楽しい。

冬休み中に帰省せず寮に残った4人がクリスマスイブからの7日間を一緒に過ごす物語。登場人物4人を1人ずつ紹介する。菱川美国(ひしかわよしくに)は、両親が海外赴任中である。年子の妹は祖母と暮らしている。過去に誘拐された経験から女性恐怖症になった。篠原寛司(しのはらかんじ)は、1人っ子で両親が離婚調停中である。依田光浩(よだみつひろ)は、優等生で料理も作れる。両親が心中した過去をもつ。瀬戸統(せとおさむ)は、理系の天才である。父親は天文学者で、母親は幼い頃に亡くなっている。

全体としては4人それぞれが異なる背景をもった上で集まり、そして4人は過去と向き合いながら生きて行こうと決心する物語である。

1人1人が抱えている問題というか、過去の体験がかなり重いなと感じた。それぞれそうした過去を告白していくが、それによって関係は崩れることなく、より4人の関係性が深まっていくのが印象的だった。

寮生活をやったことがないので、僕自身は経験したことのない男同士の友情というか、4人の繋がりが少しずつ深まっていく感じが新鮮だった。こんな学生生活も面白いんだろうなあと思う。1人1人の性格が細かく描かれていてかつ個性豊かなメンバーなので、共感というよりは特別な世界に惹きこまれていく感じだった。

統の「たぶん、俺、懺悔したいんだと思う」というセリフから4人の告白が順番に始まるが、その統の告白が衝撃的すぎて驚いた。そしてその後の展開もミステリーとホラーが混ざったような描写が続く。ただずっと怖いかというとそうではない。美国、寛司、光浩とその後もそれぞれの過去の体験を打ち明けていくがストーリー自体は魅力的だと感じた。寛司や光浩の家庭環境を想像するだけで辛さ、苦労が伝わってくる。寛司の両親が寮に来て一緒に食事するシーンもあったが、親子関係ってやっぱり繋がり自体は深いんだなと改めて感じられるものだった。

タイトルが「ネバーランド」。

これはおそらくピーターパンに出てくる「永遠に子どものままで不老不死の世界」=「ネバーランド」から来ているのだと思う。そう、読者である僕自身はもう戻ることのできない時間であり場所であるのだけれど、だからこそこの青春という学生として過ごす時間が濃くて意味のあるものだったのだということを教えてくれる、そんな物語だった。

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