見出し画像

【新規事業への参入戦略①】有名なプロダクトはなぜ成功したのか?(Tesla/Spotify/Netflix/GoPro/Red Bull/Uber Eats)【「競争の戦略」を要約して考察Part1】

こんにちは。

ノーコードを使用してプロダクト開発をさせていただいている蒼士(@Soushi_nocode)と申します。

さて、ここからが本題です。


今回は、マイケル・E・ポーター氏の「競争の戦略」という競争戦略の古典的な著作に基づき、新規事業への参入戦略に焦点を当てた記事を執筆します。

この記事では、世界的に有名なサービスである

・Tesla(テスラ)
・Spotify(スポティファイ)
・Netflix(ネットフリックス)
・GoPro(ゴープロ)
・Red Bull(レッドブル)
・Uber Eats(ウーバーイーツ)

が、新規参入に成功した要因とその競争戦略の内容に触れながら、本書の内容を紹介します。


アメリカの有名企業の社長室には必ずと言っていいほどこの本が並んでおり、また、欧米の一流のビジネススクールでは必ずこの本がカリキュラムに入っているとも言われています。


当記事では、本書の「新規事業への参入戦略」にフォーカスして、Part1として

・新事業への参入の方法
・新規参入の基本コンセプト

を紹介します。


続きのPart2では
・2種類の参入障壁の検討

Part3では
・参入先業界の選定方法
について紹介する予定です。


では、早速いきたいと思います。


☑️新事業への参入の方法

新事業への参入には

①自社内で新たに事業を起こすことによるもの
②吸収合併によるもの

の2つがあります。

①の「自社内で新たに事業を起こすことによるもの」とは、自社内で新たに生産設備や流通チャネル、また、営業チームなどを作って新規事業を始めることです。

②の「吸収合併によるもの」とは、自社が他社を買収することで、新たな事業分野に参入することです。

今回のシリーズでは、①の「自社内で新たに事業を起こすことによるもの」に焦点を当てて本書の内容を紹介します。


☑️新規参入の基本コンセプト

新規参入のアプローチは、他社よりも低いコストで参入障壁を打破するということが基本になります。

以下がその具体的なアプローチになります。


①製品コストの引き下げ

新規参入をする業界の既存企業よりも、低コストの生産方法を探すということです。

具体的には下記のような方法が考えられます。

※本書では下記の4つの事項のみが記載されており、それぞれの説明の部分については筆者の解釈になります。


⑴ 全く新しい生産技術の導入

この方法により参入を成功させた事例としては、Tesla(テスラ)のケースが挙げられます。

提供元:Tesla, Inc.

自動車業界の参入障壁は非常に高いとされていましたが、Teslaは、従来の自動車製造方法とは異なる新しい開発技術を採用することで、巨額の固定費を抑えて新規参入を果たしました。

具体的には、TeslaはICT業界の知見を自動車開発に取り入れ、コンピュータでのシミュレーションを積極的に活用し、億単位の試作車でのコストを劇的に削減しました。

これは、Teslaを世界的な企業に押し上げる一因となりました。


⑵ 規模の経済性を享受する

この方法により、新規参入を成功させることは現実的ではないと感じるかもしれませんが、一応、製品コストを下げるという意味では考えられます。

規模の経済性とは、生産量を増やすことで単位あたりのコストを下げ、利益率を向上させることです。

ただし、これを実現するには初期投資のコストが莫大になってしまうことから、新規参入時に規模の経済性を活かすことは難しいと考えられます。


⑶ より近代的な設備を備え、先進技術力を導入する

これは前述の⑴と似ています。

最新の技術や設備を導入することで、低コストで新規参入を実現するということであり、特にAI技術の発展が著しい現代において、そのような先進技術力を導入することで、低コストでの新規参入を実現するということです。


⑷ 低コストで生産できる既存事業の設備を共同使用する

このアプローチは、例えば、アプリの受託開発を行っている企業が、自社のエンジニアを活用してプログラミングの教育事業に参入するケースが考えられます。

具体的には、自社のエンジニアのプログラミングのスキルを教育事業にも活用することで、外部の講師を雇うコストを抑えることができ、同時に、自社内でのエンジニアの活用により、効率的なスケジュール管理やコミュニケーションが可能になり、市場で競争力を獲得することができるということです。

(実際にそのような企業が多いので、同じことをして圧倒的な競争力を獲得できるとは限りませんが、このように、既存事業のリソースやスキルを新規事業分野に活用することでコストを抑えて参入し、成功を収める道があるということです。)


②低価格販売によるシェアの獲得

低価格で参入し、短期的な利益を犠牲にして既存業者のシェアを奪い取るということです。

この方法により参入を成功させた事例として、Spotify(スポティファイ)の事例が考えられます。

提供元:Spotify

2010年の当時、デジタル音楽市場の大半はアップルのiPodが占めており、買いきりモデルと定額制が主流でした。
しかし、Spotifyは「完全無料で音楽を聴けること(※無料では広告付き、シャッフル再生、オンデマンド再生不可など制限あり)」という特徴を提供し、これがシェア拡大の一因となりました。

また、音楽は基本的には外出先で聴かれることが多いというデータから、PCでは無料で有料プランを体験できる(広告なし、曲順どおりの再生可、オンデマンド再生可)など、有料課金への導線設計も優れていました。


③広い意味での、よりすぐれた製品の発売

製品差別化障壁を打破できるような製品面またはサービス面でのイノベーションを作り出すということです。

言葉で言うのは簡単ですが、実際には困難なことです。

ここでは成功事例としてNetflix(ネットフリックス)の例を紹介します。

提供元:Netflix

Netflixは、当時のアメリカでは一般的だったビデオレンタル店に対抗して、「月額を支払えば返却の必要なくビデオを楽しめる」というサブスクリプションサービスを提供することで、市場に破壊的なイノベーションをもたらしました。

ちなみに、このNetflixのアイディアは、創業者であるリード・ヘイスティングス氏が自らビデオをレンタルしていた時に、返却を延滞してしまって新品以上に高い延滞料金を払うことになった経験をし、その不満を感じていた時にスポーツジムの定額制から生み出されたという話が残っています。

このようなアイディアのひらめきを生み出すために役立つのが、アナロジー思考であり、具体⇔抽象を往復する思考になります。
具体的な事例から抽象的なアイデアを生み出し、逆に抽象的な概念を具体的な事例に適用することで、革新的なアプローチが生まれる可能性があります。


④市場における新しいセグメントの発見

特殊なニーズを満たすことができるような、新しい市場セグメントないし市場の穴を見つけ出すということです。

この方法により参入を成功させた事例として、GoPro(ゴープロ)の事例が考えられます。

提供元:GoPro, Inc.

GoProは、スマートフォンが普及し、ビデオカメラへのニーズが減少していた時代にもかかわらず、スポーツ愛好家やアウトドア愛好家などに必要とされる特殊な状況下での使用に特化したアクションカメラという新市場を創出し、市場で確固たるポジションを築きました。

この独自のセグメントでの成功が、彼らの新規参入戦略の成功の一因でした。


⑤新しいマーケティング手法の導入

製品を販売するための新しいマーケティング手法を見つけ出し、それによって製品差別化障壁や既存業者が利用している流通業者の力に打ち勝つということです。

こちらの成功事例としては、Red Bull(レッドブル)の事例が考えられます。

提供元:Red Bull

Red Bullは、エナジードリンク市場で成功を収めた企業ですが、その成功の一因は伝統的なスポーツマーケティングから一歩踏み出したことにあります。

通常、スポーツマーケティングでは有名スポーツ選手の知名度や人気を活用して自社の宣伝をしますが、Red Bullは異なるアプローチを取りました。

彼らはマウンテンバイクやサーフィンなどのマニアックなスポーツのスポンサーになることで、「Red Bull="先駆者"」というイメージを確立し、新しいもの好きの若者からの支持を集めて成長を遂げました。


⑥他の事業の流通網を利用する

他の事業の確立された流通網をよりどころとして、参入戦略を立てるということです。

この方法により参入を成功させた事例としては、Uber Eats(ウーバーイーツ)の事例が考えられます。

提供元:Uber Eats

Uber(Uber Eatsの運営会社)は元々、ライドシェアサービスとしてドライバーと自動車を利用したい人を結びつけるプラットフォームを提供していました。

その成功を受け、Uberは既存の流通網、つまり、多数の運転手から成るネットワークを活用し、フードデリバリー市場という新たな領域に参入し、それを効率的な食事の配達手段として位置づけました。

この参入戦略により、Uber Eatsは急速に成長し、フードデリバリー市場で確固たる地位を築きました。


☑️まとめ

今回は、競争戦略の古典である「競争の戦略」の新規事業参入の方法と新規参入の基本コンセプトを具体的な事例を交えて紹介してみました。


売れているプロダクトの初期参入時の戦略を紐解くと、本書で述べられている内容に行き着くということは興味深いですね。


次回はPart2ということで
・2種類の参入障壁の検討

を紹介する予定です。


当記事の内容は、本書の1節の中のほんの一部なので、もしご興味を感じられましたら、是非一度、手にとって読んでいただければと思います。
(辞書並に分厚いです笑)


もしこの記事を見て少しでも「いいな」「役に立ったな」などと感じていただけましたら、「スキ」、「フォロー」をして頂けると嬉しいです!

また下記、SNSでの活動も行っているため、よければチェックしていただければ幸いです。


Twitterはこちらから


YouTubeはこちらから


最後までご覧いただき、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?