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SaaSベンチャー×エンタープライズ事業で高成長を続ける営業組織の今

こんにちは!西野(@Soushi Nishino)です。

テックタッチ株式会社で営業組織の責任者をしています。

<自己紹介>
TIS、SAP Japan、Slack Japan、セールスフォース・ジャパンにて、エンタープライズ企業向けSaaSツールの販売責任者として従事。テックタッチが目指す「すべてのユーザーが、システムを使いこなせる世界」を多くの企業様と共に広げて、テックタッチ自身も名だたるグローバルカンパニーと肩を並べるサービス、企業に成長させるべく、みんなで取り組んでいます。

先日、デジタルアダプションツールの領域において、テックタッチが「国内シェア3年連続No.1」のシェアを獲得したことを発表させていただきました。

そのことを機に、今回は、下図のように成長速度を緩めずに(むしろ加速している)ここ1年の大きな成長を実現した営業組織(セールス、インサイド、アライアンス、ソリューソンコンサルタントチーム)の役割や取り組みについてご紹介させていただきます。

テックタッチ全体ARRの成長カーブ

私からは、エンタープライズ領域を攻めていくにあたっての、営業組織の基本的な構成とそれぞれのポイントについて述べていきたいと思います。

営業組織の全体設計方針
エンタープライズ領域では、ターゲットとなるお客様の数が限定されているため、いわゆるインバウンドマーケ施策(「マーケ施策→インバウンド対応→営業単独で商談クローズ」という王道の流れ)に加えて、「ニーズのない状態からコンタクトをとり、潜在的な課題を引き出す」「1社の営業活動でも様々な業務部門にアプローチし、お客様の複雑な業務やシステムを理解して提案を組み立てる」というような様々なセールスプレイが求められることが特徴です。

一定の人材流動がある中でも安定的にパフォーマンスを実現するために以下4つのチームで構成しています。これは外資系SaaSも含めて、ある程度エンタープライズ領域を攻める上での基本形になるかと思います。
- セールスチーム
- インサイドセールスチーム
- アライアンスチーム
- ソリューションコンサルタントチーム

特に他のベンチャー企業と比べてユニークだと言われる点は、、ソリューションコンサルタントチームを「営業チームの継続的なパフォーマンスの実現を見据えて配置する」ことが挙げられると思います。その各チームの紹介は以下の通りです。

<セールスチーム>

テリトリーと営業アサイン
少数精鋭の営業(この後は弊社で使っているタイトルのAccount Exectiveと表記します)で構成されたチームで、企業の従業員数と業界で、担当営業のアサインを決定しています。
エンタープライズ向け事業は基本的に1,000名以上の企業をターゲットにしていますが、企業のサイズが変わることで意思決定が複雑になったり案件の進め方が大きく変わります。そのため、3,000名以上(ここは今後ラインを変える可能性はあり)の企業様には、よりエンタープライズ分野での経験を持ったAccount Executiveが対応するようにしています。

また、同業他社の取り組みをしっかりノウハウとして集約し、お客様にお話できるように業界カットを取り入れています。
アサインを明確にすることで、自分のテリトリーでどの企業に注力するのかをAccount Exectiveがテリトリープランとして考え、インサイドセールスやカスタマーサクセスと協業して、新規開拓や既存顧客の深耕を進めます。
ですので、注力顧客に対しては、アカウントプランを作って短期の案件の攻略プランを立てるのではなく、顧客の経営戦略やIT戦略を理解し、2-3年でこの企業とどういった関係を作り上げていきたいかを中長期的にプランニングし、3ヶ月に一回は確認するというチェックポイントを持っています。
ひとつひとつの目先の案件を進めるだけでは、近視眼的になりお客様の経営陣及びCxOと定期的に会うことや、会う部門を広げる動きが限定されることがよくあるためです。

案件管理とセールスMTG
また、難しい案件で成果を上げていく方法については、チーム全員で考え議論する時間も必要と考え、週1回1時間の打ち合わせを設けて案件の進め方について意見を交わす時間を作っています。

もちろんこの相談会のための資料作成は不要で、日々メンテナンスしてもらっているSalesforceの商談情報をみんなで見ながら議論をしています。
エンタープライズ営業の半分は型化によって標準化できると思いますが、残りの半分はお客様の組織、ステークホルダー、競合の状況などに応じて個社個別のアレンジがかなり必要になってくるので、自分の案件だけでなく営業チーム全体の取り組みを深く知ることで、一人ひとりの引き出しを増やしています。

もちろん売上を目標値としていますが、活動量や案件作成数や金額を見ながら売上をあげるための活動はできているかを見るようにしています。
また、案件の確度をよりあげ、効率的な活動を行うためのマネジメントや状況の可視化については、SalesforceにMEDDICをアレンジした案件確認項目を設定しています。商談の各フェーズにおいて、どのような情報をおさえるべきかを定義して無駄な手間を増やさない工夫も欠かせません。

<インサイドセールスチーム>

インサイドセールスはAccount Exectiveのパートナーです。
上記にも記載しましたが、Account Exectiveのテリトリーにおける新規開拓の大きな立役者となります。
いわゆるマーケティングは、広範囲のリード獲得は可能ですが、ターゲット企業をピンポイントで狙ってアプローチすることは難しいです。ターゲット企業を獲得していくための最も効率的な方法、それがインサイドセールスということになります。

インサイドセールスとAccount Exectiveがターゲット企業とその中で誰と会うべきかという認識をすり合わせして、相手と面識がない状態であっても、インサイドセールスがさまざまな手段で面談まで漕ぎ着けます。
本当にすごいことに、毎月何件ものCxOとの新規面談を獲得してくれます。
また、役職者との新規面談だけでなく、過去コンタクトや案件が進まなかった商談を掘り起こすこともAccount Exectiveの注力企業攻略において大きな意味を持ちます。

また、インバウンド対応とアウトバウンド対応はやり方や求められるスキルが異なりますので、担当メンバーを分けています。
インサイドセールスはとても専門性が高い役割だと思っているので、Account Exectiveへの「営業へのキャリアの登竜門ではなく、専門性をもって営業に様々な形の商談を供給する専門職」として誇りを持って活動してくれているのが、当社のインサイドセールスチームのユニークネスです。

<アライアンスチーム>

テックタッチのアライアンスはパートナー様の幅が広いのが特徴です。大別して以下のような企業との協業を推進しています。

  1. ソフトウェア/SaaS企業

  2. コンサルティング会社

  3. SIer

発表させていただいた一例でも、ISID様、弁護士ドットコム様(クラウドサイン事業)、日本IBM様、SAP様、キヤノンマーケティングジャパン様、JSOL様、デロイト トーマツ コンサルティング様、パナソニック インフォメーションシステムズ様、またその他も多くの企業様と協業を進めさせて頂き、お互いのビジネスの相乗効果を目指しています。
よく、「どれくらいパートナーに協業のインセンティブ(再販における料率)を渡したら動いてくれますか?」という質問を受けるのですが、
もちろん協業企業への利益貢献も大事ですが、一番大事なのはパートナー企業の既存事業との親和性やその事業により付加価値を提供できるかだと思っています。

我々の事業は新領域のため、グローバルで大きな成功を納め、その事業だけで大きな市場を生み出す規模になっていることは極めて稀です。
そのため、パートナー企業には既存サービスと併せて提案してもらうなど、リソースを有効活用していただくことで、まず実績を作りやすくなっています。

実績ができ、事業になるレベルまで成長すればまた取り組みのステージは変わり、事業を伸ばすための協業体制の強化を行っていきます。
「パートナー企業に販売していただく」ではなく「いかに一緒にビジネスモデルを作れるか」という目線が重要だと考えています。
テックタッチはあらゆる企業と連携し、既存のSI事業の幅を広げる、提供するサービス(ソフトウェアやSaaS)の顧客提供価値をさらに引き上げる協業を大事にし、今後もそこに注力していきます。

<ソリューションコンサルタントチーム>

ソリューションコンサルタントチームはセールスチームの縁の下の力持ちとして支えてくれています。その重要度に比較すると、世の中的にフォーカスが当たることは少なめなのですが、このチームなくして、今の事業成長スピードはありません。
チームのミッションは、営業チームの組織力や案件推進力を強化することです。

このチームの枠組みを今後どのように定義し、発展させていくか(どこまで広げるか、どこをより深く進めるか)は検討を進めている段階ですが、現在は、
1. Account Exectiveが担当する難易度の高い案件の価値訴求の支援
2. Sales Enablementの観点で営業フェーズごとに何をすべきかの定義と、そのためのリソースの準備
3. カスタマーサクセスチームと連携して、セールス→CSの連携強化
を特に注力分野として担ってもらっています。

そもそも、エンタープライズセールスは経験者でなければ育成にかなりの時間を要する、にもかかわらず、経験者の採用はベンチャー企業にとってハードルが高いという課題があります。エンタープライズ向けの製品は深い顧客業務理解も必要であり、かつ製品も複雑なことがほとんど。その時にまだ経験の浅いAccount Executiveの商談の質はどうしてもばらつきがちなのですが、様々な商談を横串で見ているソリューションコンサルタントが存在することによって、この商談の質を安定させることができます。

外資系企業ではシニアなソリューションコンサルタント(プリセールス、SEとか呼んだりすることもある)が、営業組織の数字を作るために活躍しているケースが多く、テックタッチも構造が似ています。

エンタープライズセールスはチーム戦が非常に重要ということもあり、どんな役割のどういうポジションが必要になるのか、自身のこれまでの経験を踏まえてテックタッチで現在実践していることを記載しました。
エンタープライズ領域は奥が深く、、弊社でもまだまだ多くのことを試行錯誤していますが、皆さんの参考になれば幸いです。

特に営業責任者や、営業組織を立て直したい経営者とは、是非意見交換して我々も学んでいきたいと考えていますので、是非興味を持っていただいた人は情報交換のお声がけ頂けるとうれしいです。

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今回の3年連続シェアNo.1を機に、私だけでなく、他の経営陣によるnoteも順次公開しています。よろしければご覧ください。


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