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"twelve"or"thirteen"?

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十二人の死にたい子どもたち
冲方丁
文藝春秋/文春文庫

 廃病院の中に、不治の病を有していたり、回避不可能な精神的に参っていたり、家庭環境や学校の環境になじめなかったり、もうこれ以上は生きていくことができない、と命を絶ちたい12人の子どもたちが集合する。

●12人ものは他にも

 あとがきにも書かれているが、12人が集合するモノで、かつ生死を分かつ集いを持つと言う作品は他にも、冲方さんと同じ岐阜出身の作家である米澤穂信さんの「インシテミル」。

この作品も12人の男女で構成されていて殺人ゲームを行う、結構あるあるなシチュエーション、12人の構成体って。

●12→13

 12人が集合する中、No.0の昏睡状態の参加者、つまり13人目
が居たのである。その13人目がなぜ存在するのか、と話し合う内に各々の身の上話が始まる。不治の病、法に触れる行為をした、親に死を期待されている、その内、13人目の事実は判明するのだが、各々が腹を割って話し合うに1つの結論に至る。それは、生きることを継続するのか、もしくは、目的どおりに計画を実施するのか。

●比較論

生きるエネルギーって、不謹慎ではあるが、他人の不幸話や情けない話、自分よりバカな人の存在、と言う比較論で成立していると考える。まさにこの12人は各々の境遇を自分の不幸と比較して、何らかの結論に至るのだ。あと、そもそも死ぬ死ぬっていう人を「死ぬ死ぬ詐欺」って言うよね。そういうのも生きる上であるあるの痛い人。

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