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学校に行ってないから、絵だけは褒めて欲しい娘。

ぴぃは描いた絵をほとんど私にしか見せない。

絵が得意なのはパパの方なのに、「見て見て」と言って見せるのは基本、私だけ。

パパが見るのは置きっぱなしになっている絵だけ。

最近はiPadのアプリを使って、一枚の絵を何日もかけて描くようになった。

私がソファでウトウトしている時、手応えのある絵が描き上がったらしいぴぃは、私より先にパパに見てもらう流れに。

私はウトウトしながらも、耳をダンボにして2人の会話を聞いていた。

パパは以前からぴぃが描く絵の影の付け方が気になっていたらしく、感想より先に影の指摘をした。

もっとこうしたほうがいいというポイントをわりと長い間指導していた。

その合間でぴぃはパパに「全然褒めてくれないじゃん」と言っていた。

自分の得意分野をあれこれ言われることが苦手なぴぃでも、パパのいうことを聞いて、ちゃんと修正して、OKが出るまで描き続けた。


しばらくたってから隠れるようにシクシクと泣いていたぴぃ。

その時はなんで泣いてるかは気づかなかくて、理由を聞いても「なんでもないの」一点張りだった。

パパは「え?俺?」と言いながら困惑し、ぴぃは「違う、泣いてない、大丈夫」と言いながらも泣く。

結局、なんで泣いていたのかわからないまま次の日の朝を迎えた。


パパが出かけたあとに起きてきたぴぃは言った。

ぴぃ「ぴぃの絵はそんなに下手かな・・・」

私「誰が下手なんて言ったの?」

ぴぃ「パパがなかなか褒めてくれなくて悲しかった。」

私「パパってなかなか褒めないよね。ママも褒めてもらったことない。」

ぴぃ「ぴぃは学校に行ってないから、できることが絵しかない。絵しかないから、絵が褒めてもらえなかったら、できることが何もなくなる。」

私「そっか、うまくできたと思う絵は褒めてもらいたいよね。」

ぴぃ「ママはいつも褒めてくれるし、喜んでくれるけど、パパは褒めてくれない。だからママにばっかり見せるんだよ。」

私「そうだったんだね。実はね、パパは、置きっぱなしになっているぴぃの絵を見ては「コレうまいな」っていつも言ってるんだよ。」

ぴぃ「ほんとに?」

私「ほんとだよ。パパはぴぃから絵を見せなくても、ぴぃの絵はうまいって思ってるし、知ってるよ。でもね、もっと上手くなれると思ってるから、それをぴぃに伝えたくて、色々言っちゃうんだろうね。パパって説明したり教えたりするの好きじゃん。」

ぴぃ「ぴぃから見せた時は褒めてほしい時なんだから、まず褒めてほしいんだよね。でも、こう言ってたってこと、パパには言わないでね。これを知ったら、パパは意識して褒めようとしちゃうから。」

私「わかったよ。じゃあさ、ぴぃから見せた時に一発で褒めてもらえるような絵が完成するまで、たくさん描き続けようよ。」

ぴぃ「うん、それしかないね。」


私は正直、パパやぴぃみたいに絵を描くのが得意ではないから、教えてあげられることはない。

それは、たまたま、私の不得意なことだから。

パパとしては、父親としてできること、してあげたかったんだと思う。

今までの私でも、得意分野であったらそうしてたかもと思うけど、今はその対応がぴぃにとって違うということがわかる。

だから私ができるのは、ぴぃの気持ちを受け止めつつ、パパのフォローをしておくことぐらい。


ぴぃが言った「学校に行ってないから絵しかない。」ってのは少し、胸がつまったな。

もうそこでしか自尊心を保てないんだってことが自分でもわかってるってことが、逆にすごいなとも思った。

ママは知っているよ、ぴぃは絵だけじゃない。

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