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沖縄黒糖を使ったパンを焼きたい。その理由と砂糖についての説明
沖縄黒糖を使ったサワードウ食パンを出したい。そんな目標と夢があります。
なぜ沖縄黒糖なのか、
それは新卒で入社した会社で働いて、
作り手になってみないとわからないことがあるんじゃないか。
と、思わせてくれた原料が沖縄黒糖だからです。
皆さんも砂糖についてどのくらい知っているのでしょうか。
上白糖、グラニュ糖、ざらめ糖、三温糖、、、色々ありますよね。
僕は入社するまで全く知りませんでした。ザワワ、、、って曲からしてサトウキビからなのかな〜ってくらい、何で作られているのかすら、知りませんでした。
縁あって、菓子メーカーの商社営業部員として、砂糖の販売代理店業務も兼務しました。
その業務の一つとして、沖縄黒糖の北日本、関東の販売統括を担当させてもらいました。
それぞれの砂糖の作り方から、消費量や輸入量、生産量など、色々勉強させてもらいました。
まず、タイトルにしている黒糖について説明します。
黒糖は製法上、蜜分を多く含んでいる、加工度の低い砂糖です。
僕が勤めていた頃より、工場の能力も向上していると思いますが、
当時は黒糖を粉末にすることすら、難しかったんです。
蜜を含む。つまり、固まりやすいんです。
粉末にして売ったとしても、すぐ湿気で固まります。沖縄から本島へ持ってきた頃にはガッチガチ。なんてこともあったり、倉庫に置いている間に吸湿して、、、なんてことも。
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なんで白い砂糖は固まらないの?とも思いますよね。
簡単に説明するので、語弊を生むかもしれませんが、
砂糖についてざっくり説明すると、
グラニュ糖→蜜を分離してから、結晶させている
上白糖→結晶させたグラニュ砂糖に、砂糖を生産する過程で生まれる転化糖と呼ばれるを上掛けしている。
実は、日本食文化に合うように作られた日本独自のお砂糖です。
三温糖→グラニュ糖を作る際に、焦げた(カラメル化した)砂糖
三回、温めて作られるお砂糖、つまり三温糖なんです。
黒糖→サトウキビを絞りでた蜜を温めて濃縮した砂糖
つまり、
白糖=結晶している。固まりずらい。
黒糖=結晶していない。固まる。
ということです。
あと、
「黒いものは白いものより良いもの」そんな意識ありませんか?
「黒糖」も「白糖」よりも何か健康的で良さそうな気がしませんか?
黒糖を訴求をしたい!というメーカーさん、作り手さんは嬉しいことにたくさんいらっしゃいました。
ただ、難点が一つ。興味を持っていただく方のほとんどが、
白糖のように固まらない、扱いやすい、黒い砂糖
を求めてれます。僕の実体験です。
固まらない。ということ時点で沖縄黒糖は使えないと判断されることが当時たくさんありました。
そんな需要と供給のズレに応えた商品はたくさん販売されています。
もし、スーパーで商品を見つけたら、ぜひ裏面表示を見てみてください。
「加工糖」「赤糖」「加工黒糖」
と、表記されている商品を見つけることができるはずです。
商品名は「黒糖」って書いてあるのになんで?
と思うかも知れません。
「加工糖」「赤糖」「加工黒糖」が悪いお砂糖では決してありません。
なぜなら、黒糖は先にお話した通り、すぐ固まって扱いずらい上、異物の混入するリスクすらあるので、黒糖のような味を商品に加えたいという、作り手さんの希望に応えた商品だからです。
沖縄黒糖の問題を解消してくれたお砂糖です。
実際問題、粉末じゃない黒糖をどう売って、どうやって使ってもらう提案をするか、頭を抱えていました。
スーパーや観光地なら、トンカチで割ったように、
「かちわり黒糖」なんて売り方もできますが、、、。家でもどう使いましょう。。。
じゃあ、黒糖も固まらないくらい、蜜分を飛ばせば良いじゃないか。
と思うかもしれません。
黒糖の味は蜜の旨さに関連するから蜜分を飛ばしきれない。という、悩ましい問題にぶち当たりました。
蜜を残すということは、加工度が低具なってしまうので、サトウキビの茎や搾りかすがたまに混ざったりするんです。
(もちろん、メッシュフィルターや異物探知機などの工程を通しておりましたし、今は当時よりもさらに向上していると思います。)
加工度が低いと、旨味は残るけど、リスクが増える。
加工度を高めてしまえば、旨味が減るので黒糖の良さが失われる。
パンやお菓子工場、個人店でそのまま黒糖を使用するのはすごく難しいことだったんです。
黒糖を買っていただくには使用方法をしっかり理解もしてもらわないといけなかったのです。
(当時は書面に一筆してもらったりもしていました。)
さらには、沖縄黒糖の生産量なんてたがが知れています。
台風が直撃して、塩害が起きたら減産。日照不足だと減産。
何もなく作れると供給過多。。。
毎年生産量が不安定なのです。
なので、新規顧客の開拓、営業がすごく難しいんです。
「今年はありますけど、来年はないかもしれません。」
そんな売り方をしていました。
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買いたい側からしたら、売り手側の事情なんて知ったこっちゃないですよね。
砂糖なんてたくさん作れるもの。って白い砂糖と同じ感覚で理解されてる買い手の方もいたりもしたので、すごい説明に苦労しました。
「国の生産量はこれこれで、、、日本は需要に対応するために海外の原料を輸入している立場でして、、、そんで国の砂糖の主生産は北海道の大根でしてな、、、沖縄の黒糖は、、、、」なんて説明したり。
けど、
、
、
、
「そんなことどうでも良いから欲しいから持ってこいよ!」
と言われたこともあります。
「どうでも良くないんです!黒糖と白糖の生産方法すら理解していないあなたも悪いんです!買いたいだけでなんでも手に入るわけじゃないんです!」
なんて、言い返してみたり。若かったな〜と思います。。。
需要と供給の問題を肌で感じることができました。
品質と原料特有の良さをとるか、市場に出回れる質にしてしまうか、そんなこと日々話し合っていました。
だからこそ、僕にとって、販売窓口を任される身として、
沖縄黒糖を守る、売ってみせる。
と、当時闘志を抱いた理由でもあります。
営業マンとして、数字の読めないめんどくさい原料であるのは間違いなかったです。
ただ、自分は沖縄黒糖の窓口を任せてもらい、沖縄の生産地、離島に向かい、工場を視察して品質向上に取り組んでみたり、従業員の方の衛生チェックをしてみたりと色々関わらせていただきました。
そうしていくと、やっぱり、人間感情も移入しちゃうんですよね。
どうにかして、頑張っている人たちの作る黒糖を売って世の中でもっと活用してもらいたい!!!どんな特有の問題を抱えているかを知ってもらいたい(たまになくなる原料だということも、、、)
と当時はかなり熱くなっていました。
話がだいぶ遠回りして、結論に入りますが、
そんな熱意を持って、沖縄黒糖の営業をしている自分は、
買い手、商品化する側の本当の事情も理解しているのか?
「●●の工程を改善した黒糖、持ってきました!」なんて言っても、
本当にそれはお客様の商品化につながる大きな改善になっているのか?
、、、自分が黒糖を扱う側にならないとわからない!
と、なったんです。やっと冒頭に書いた理由に至りました。
そして、今、パンを作る側の人間になれました。
なので、沖縄黒糖を使ってパンを焼きたい。
また一緒に当時の人たちと仕事がしたい。
と思っています。
そんな急に締め括るお話でしたw
サワードウの酸味と黒糖の蜜分がうまく混ざり合ったら、、、、
考えるだけでもワクワクしています。
いつか登場するだろう黒糖パンを楽しみにしていてください。
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