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オーストラリアで働けたパン屋さん2店舗での自分成長比較

サワードウブレッドを作る職人になれて、まさか2店舗で経験を積めるとは思ってもいませんでした。本当に財産であり、僕だけの強みと思っています。というか、僕の職人人生としてすがるところはこの経験しかないのも事実ですが、、、生かすも殺すも自分次第なので、大いに生かしていこうと思っています。

そんな2店舗を比較して自分が成長できたこと、感じたことを振り返ってみようと思います。対照的な店舗で技術面はもちろんですが、メンタル面での学びが多かった気もしています。

1店舗目、サワードウブレッド専門店

僕にパン職人となるチャンスをくれたお店。

このお店はミートファクトリーでの仕事や、日本でのサラリーマン生活が嘘だったかのような、心も体もリフレッシュした状態で仕事をすることができました。

偶然見つけた海辺のパン屋さん、そこであれよあれよと働かせていただくことになり、今でも感謝しかない店主と兄貴のようないつまでも追っかけていたい友にも出会います。
まさにドラマのビーチボーイズでした。(古いかw)

ミートパイ職人を目指してオーストラリアへ入国した自分が、パンのジャンルとしては真逆のような、サワードウブレッドにハマります。

小麦粉、塩、水、酵母

それだけで作るパン。
じっくり酵母の状態を見極めて、おいしくなるタイミングを逃さないこと学び、面白さにのめり込みました。

卸先で陳列されるサワードウブレッド

シンプルな工房で掃除や仕入れなど、物や事が増えれば増えるほど紛らわしくなる懸念を排除して、ストレスなく仕事が出来る環境を求めた結果、サワードウブレッド一本にしたようです。

(過去にトップ画像のようなドーナツや、ハンバーガーバンズも作っていた聞いたので、自分のわがままで仕事後に技術を教えてもらっていました。)

人を雇うこともできるだけ避けて、家族経営、自分の身の回りがハッピーになる環境を整えることが大事という考えもあったようです。

たまたま本当に、自分はタイミング良くお店で働かせてもらえたんだなと思います。
そして少数精鋭な仕事場だったからこそ、任せてもらう仕事も多様な上、丁寧に教えてもらえたので、自分がサワードウブレッドでお店を開きたいと思える気持ちになっています。

1店舗目での学びをまとめると、
・仕事に対する姿勢
・私生活と仕事のバランス
・シンプルイズベスト
・身の回りの幸せで満足すること

でした。サワードウブレッドの作り方についてはもちろん。

不器用なくせに八方美人に仕事を引き受けたり、リスクを考えすぎて手広く策を練ってしまう自分がいます。
なので、1店舗目での学びを生かして、自信と美味しい酵母を持っているサワードウブレッド1本で生活させてみたいという気持ちはあります。
店主は不器用だったからか、めんどくさいだけだったのか、年齢が故かもしれませんが、SNSは一切やっていませんでした。
「味が良ければ客は逃げないよ。」って。
SNSと携帯が離せない現代で身軽な暮らしになるだろうな〜と思いつつ、日本でもそのスタンスでいけるかな、、、とここは参考程度にしておりますが、良い姿勢であるので自分もSNSに執着せず、仕事をしたいとは思っています。

そんな現地での仕事と生活は今も憧れとベンチマークにしています。
過去を振り返りすぎることは良くないですが。。。


2店舗目、カフェベーカリー専門店

飲食の世界だな。って感想です。前の記事にも書きましたが、映画の一場面のような、人種さまざま年齢も性別も違う、血気盛んな職場でした。

サワードウブレッドを看板にしてはいるものの、カフェメニュー用に焼くパンもあり、仕込む種類は多く、スケジュールも分刻みでした。

最前線に飛び込んだ。と、自分のキャリアなしから始めた職人人生のものさしだけではかると断言できました。
嬉しくて興奮もしました。けど、スピードについていけない自分もいました。
たまに「F●CK!!!」と叫ばれましたw 何か早口で同僚がぶつぶつ言いながら作業しているのも視線に入ってきます。(英語が聞き取れるようになってくると自分への愚痴だったことにも気づけましたw)

悔しさを感じながら、黙々仕事をしていると、
「しょーーーーーーーさーーーーーーーん!!!!」
と、映画のキャラに出てくるような陽気な食器洗い担当さんやホールの兄さんが本当にいて、
「コーヒーいる〜?」
とか、
「日本人の女の子に知り合いいない〜?飯誘ってよ〜。あ、しょうさんは朝早いから無理か〜ガハハハ!!!」
って、空気なんて気にしないで話しかけてきたり。ほんと海外の職場だなと感じたりもできました。
本当に1店舗目とは真逆な騒がしい職場でいろんな意味で感情のコントロールが大変でした。。。

お店のファンを喜ばせることが何よりも大切!というオーナーさんの姿勢も強く、SNSは毎日投稿していました。毎日いろんな写真を撮っては投稿されていました。僕も撮られました。

締め作業の火おこし後の撮影。もちろん、こんな釜へパンを入れたらまる焦げですw

多国籍な人が働いているからこそ、スパイスの使い方など、国それぞれの味から派生する技術が得られたりと、自分の視野や考えの幅が広がっていると実感できました。

2店舗目での学びをまとめると
・多種のパンを仕込む技術
・他ポジションとの連携
・海外で働く上での気持ちの整え方
・コミュニケーションの取り方

でした。

最後のコミュニケーションの取り方について少しだけ話を続けると、
2店舗目のお店では、勤務中のスタッフとは
拳をぶつけ合ってから退勤するのがルーティンでした。

このルーティン、好きでした。
いろんな国の方が暮らす国で握手をしたりハグをする意味が少しわかった気がしました。
(嘘でも良いから)仲間とちゃんと握手したりして拳をぶつけるなど、触れ合うと、
敵じゃない。
って気になれました。

仕事中にガチャガチャした仲間であっても、拳をぶつけ合うとなんかスッキリしました。
帰り道の気持ちが少し晴れて助かって記憶が残っています。

言葉が通じなくても、せっかく仲間として働く上で、意思疎通はしたいですよね。言葉だけじゃない意思表示のやり方はあるんだなと学べました。

最後に、

サワードウブレッドの焼き方も仕込み方も1店舗目と2店舗目では全くと言っていいほど違いました。
ここは1店舗目のやり方を、ここでは2店舗目でのやり方を、、、のような自分だけの作り方に落とし込める機会にもなりました。

どちらが良かったとは甲乙つけられません。

お店を移ったことで気づけたことはたくさんありました。
対照的なお店で働けたのは本当に良かったです。

ゆっくりと時間の流れる職場。
あっという間に時間の流れる職場。
自分はどっちが良いかな、どこを生かそうなかと考えられる良い機会にもなりました。

どちらの職場でもわからないことや、できること、できないことなどは年齢問わずにしっかり伝えて、直接向き合って糸口を見つけていけたのも、日々成長を実感できたのかなと思っています。

これからもどうやって自分らしい形を作っていこうか考えていきます。

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