第1章#01 アイデア、グツグツ!?「スープ会議」って、なあに?
スープタウンの住人「ののさん」
――ぼくは、10年ぐらい前に名古屋から豊田市の松平地区に引っ越してきました。小さな集落に家族で住んでいるので毎日のように、ご近所さんに野菜や卵をもらったり、こちらが何か作ったらお裾分けしたり。都市にいたころに比べたら、水を得た魚のように、のびのびと暮らしています。ちょっと体調を壊していた時期があったのですが、ぼくがやりたいことは超ローカルなことで、里づくりに興味があったし、時間もあったので、「スープ会議」のチラシがまわってきたとき、ヒントがいっぱいありそうだなとおもって参加しました。そこから、ほぼほぼ皆勤賞です。僕自身、ガラ紡という、この地域に伝わる伝統工芸を次代に紡いでいきたいという思いがあったのですが、スープ会議でいろんな人からの刺激をいただいているなかで、ついに起業!まだまだスタート地点ですが、できたばかりのガラ紡の糸をスープ会議でお披露目させてもらったりして。すてきなご縁をいただいています。スープ会議のいいところのひとつは、雑談とかをうだうだ続けてもいいところ。答えをすぐ求めなくてもいいところ。タイパ(※1)は悪いかもしれないけど、逆に雑談をやるなかで見えてくるものがあると思うんですよね。
※1 タイムパフォーマンス、の略
スープタウンの住人「りんこさん」
――わたしは、豊田駅の近くに暮らしているんですが、社協(社会福祉協議会)で地域包括支援の仕事をしていて、担当エリアが「下山地区」です。毎日、車でいろんな高齢者さんのおうちを回っています。で、前の担当者がスープ会議に参加していて、引継ぎみたいな感じでわけもわからず参加するようになりました。ホントは、人見知りなんです。たくさんの人がいるところは苦手だけど、「スープ会議」にはいろんな人がいらして、次から次に、新しい人と出会えるのが面白い。はじめに大きな名札をもらって、そこにニックネームや、自分がやってみたいことなどを書いて自己紹介します。毎回、いろんなテーマで話し合うんですけど、正解がないところもいいなって。聞いているだけでも、ほっこり楽しいから。いつの間にか常連化している感じです。また、分科会の「調の会」にも参加してるんですが、そこではライフログといって、LINEのオープンチャットをつかって、この地域のちょっとした季節の変化などをみんなでログ(記録)する活動をしています。仕事中でもちょっと息抜きに、写真をアップしてみたり。みんなの投稿をみたりして。ゆるやかにつながってる感じが楽しいです。
スープタウンの住人「アゾーダクン」
――「農業」を学んでいる高校生です。親から「頭が悪くてもいいから、挨拶だけはしなさい」と育てられまして、いろんな大人と挨拶をしているうちに松平交流館の方やボランティアさんと仲良くなったりして、「スープ会議」に誘われました。はじめは「スープってなんだろう?」と思っていたけど、説明を聞いているうちに「ああ、確かにそうだな」と思うことが多くて。自分自身がいろんな人と出会ってきたこともひとつのスープなのかな?と思うようになりました。参加するたびに、教科書では学べない発見がたくさんあります。
スープタウンの住人「まさやさん」
――うちの父親がスマイリングの介護施設(下山のデイサービスとリハニティ)に週4ぐらいでお世話になっているんです。だから、介護士さんともよく話しますし、デイサービスでのケアの様子もわかっていたので、スマイリングがどんな新しいことをはじめるのか興味があって参加しました。いろんなことに長けている人が集まってきそうだなと。実際に参加してみると、人を大事にしながら、自分の大事にしたいものを持っておられる方が集まっているなと感じます。司会をしてくれる方や、リードしてくれる方がいい空気をつくってくれて、私のような年代のものが参加しても邪魔にはされない。いっしょにいてもいいんだよ~という感じで、安心しながら話していられます。こういう方たちが地域の未来をつくっていくんだな~っと。みんなでアイデアを考えた花見の会や、DJが音楽をかける中で流しそうめんを10種類のスープで食べるDISCO SOUPなどに参加させてもらいましたが、すごく楽しかったですよ。
「スープ会議」に参加すると、受付でA5サイズぐらいの大きな「名札」をもらいます。よく見ると、イラストが寸胴鍋のかたちになっていて、そこに、Who?=「呼んでほしい名前」や、What do you do?=「職業・肩書き やっていること」、What is your コトコト or グツグツ?=「コトコトしていること アツアツなこと」を書きこめるような仕様に。コトコトというのは自分のなかで少しずつ温めている何か、やってみたいこと。「アツアツ」は自分がいま夢中になっていること、一生懸命に取り組んでいること」。この名札をおなじテーブルになった周りの人と見せ合いっこしながら、自己紹介をしていきます。仕事場で交わす、一般的な名刺交換ではなくて、はじめて出会った人とも社会的な肩書きをとっぱらって、「スープな関係」をつくっていくための仕掛けのひとつ、のようです。
ののさん
――はじめて参加した時に、あの大きな名札のウラ面に書いてあった「スープ会議のこころえ」を読んで、感動したんですよ。たしか、「ひとりは楽だけど、みんなでやると楽しい」とか、「煮詰まりそうになったら、外をふらふら」とか「アツアツのときは、フーフーも大切」とか・・・いろいろ10か条ぐらいあるんです。ぼくは、いつも、グツグツ熱くなってヤケドしてばかりww あ~普段の仕事でも、こんな感じでとりくんだらいいんだな、という風に思えるところがあって、しっくりきたんです。
「スープ会議のこころえ」(抜粋)
🥄アイデアはお持ち帰りOK!
🥄ひとりは楽だけど、みんなでやると楽しい。
🥄隣のスープは旨そうにみえても、焦るな。かならず自分の味があるから。
🥄好き嫌いがあってもいい、スープだもの。
🥄何もしないで、鍋に任せる。
🥄アツアツのときは、フーフーも大切。
などなど (フルバージョンは、ぜひ参加して現物をチェックしてね)
テーブルの上には、さまざまなスープのイラストが描かれた紙製のランチョンマットや、おもちゃのスープカップ、パンやスープの具材が印刷されたカードや、「本日のメニュー」と書かれたプログラムが用意されています。カラフルで可愛い!! 今日はどんなテーマで話し合うんだろう・・・席に着くだけで、「スープ会議」の世界感に引き込まれていいきます。
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