112. 万国共通のチョークサインとは?
ミュージカル好き救急医の独白 vol.112
- The Monologue of a Musical-Loving Emergency Physician -
はじめに
お正月の時期に救急外来で必ず出会う症例があります. それがお餅による窒息です. 本当に毎年出会います. お餅以外にも, 脳梗塞後の患者さんなど, 飲み込みに障害がある方は普段の食事でも誤嚥し易く注意が必要なのですが, もし目の前で窒息しかけている方をみたら, 自信をもって対応することができるでしょうか. 今日はそんなお話を.
今回のミュージカル
My Story - 素敵な仲間たち -(2020年9月17-18日)
コンサート形式が増えるのではと予想はしていましたが, いよいよ登場です. ミュージカル界の帝王, 山口祐一郎さんが帝国劇場に登場です.
山口さんがミュージカルで彩られた自身の”Story”をトークで振り返るというこの企画. 楽しみですね. 90分でトークがメインなのか?できたら沢山歌って欲しい...
初日の1回目のゲストが浦井健治さんと保坂知寿さん. 12月にシアタークリエで上演される『オトコ・フタリ』の3人ですね. ちなみに演出の山田和也さんは, 今回のMy Storyでも構成・演出を担当します. 個人的には保坂さんとは劇団四季時代の曲とともに, パイレート・クイーンのあの曲をぜひ…
初日2回目のゲストは, 加藤和樹さんと平方元基さん. 山口さんとの共演は『レディ・ベス』ですね. 山口さんで始まり, 山口さんで終わるミュージカルといえばレディ・ベスですね. 『ローマの休日』でも20年前に山口さんが演じたジョー・ブラッドレーを, 今年はお二人が演じるという, そんなメンバー. こちらも楽しみです.
2日目のゲストはアッキー(中川晃教さん), なんといっても, モーツァルトですよね. 「さぼるなどこを見てるんだ パラダイスじゃないぞ ここは 謙虚さと 勤勉 規律 守れぬ奴は収容所へ〜」, 「陛下のためつくりました 音楽の〜」聴きたい!!!
山口祐一郎さんを知らないミュージカルファンはいません!ってことで今回は誰もが知っている, 知っていて欲しい万国共通のサインのお話.
救急外来あるある
救急救命士のCDさんが, 仕事終わりに同僚とファミリーレストランに行きました. 席に着き, メニューを見ていると, 隣の席の50歳代の男性が, 首のあたりを押さえ苦しそうにしています. CDさんと同僚が速やかに対応して解決しました. スタッフの方が救急車を呼んでいたため, 救急外来へ搬送されました.
Dr.S:「今日はどうしたのですか?」
救命士CD:「窒息ですね. 肉塊が出てきました. これです.」
Dr.S:「なるほど. チョークサインが認められて解除したのですか?」
救命士CD:「そうですね. ハイムリック法で解除しました.」
Dr.S:「ありがとうございます. 」
窒息のサインとは
写真(↑)の様に, 喉(のど)や首の辺りを押さえて, 何かが詰まった, なんとかしてくれというサイン, これが窒息の典型的なサインですね. チョークサインと呼ばれます.
このサインが認められたら, すぐに解除する必要があります. 対応が遅れると大切な酸素を取り込むことができず, 命に関わります.
窒息を解除するためには
それではどのように解除すればよいでしょうか. 背中を叩く?喉に指を突っ込む?最も効果的なのはハイムリック法(Heimlich法)です. 患者さんの後方に回り心窩部を突き上げるようにして異物を取り除きます. 下の写真の様な感じです.
注意点は, いきなりこれをやるとやられる方もビックリしてしまいますので, 声をかけて説明しながらやるようにしましょう.
恐るべしHeimlichさん
ハイムリック法の生みの親であるHeimlichさんは自身が96歳のときに, 施設で80歳代の女性の窒息をハイムリック法を用いて救命しています. 力はそれほどいらないのです. それにしてもすごいですよねぇ.
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