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防音相談・コンサルティング契約(木造)

木造の「防音相談・コンサルティング契約」で最も重要なのが、提案書(計画書)です。

この出来・不出来が案件の問題解決や音楽防音室などの費用対効果、成否を大きく左右します。なので、他の専門業者(専門家とは限らない)のような金太郎飴的な計画書・見積書は無意味です。

それは、個々の現場の構造や近隣環境など個別要因を分析しないで、部屋の大きさだけで見積を作るからです。木造建物は工法や構造的な特長、近所の家屋との距離など状況に応じて音響・防音計画を検討しなければならないのです。

また、地震や火災などの緊急時における安全性や耐久性も重要であり、むしろ防音対策よりも、もっと重要だと私は考えています。

*参考記事:住宅の防音設計に不可欠な防音材

窓は壁とセットで防音対策を検討する

私(防音職人)への木造の防音相談で多いのが、「窓の専門業者が窓を二重にすれば防音対策は大丈夫であるという提案(誇大広告)」を信じて施工したが、壁から音漏れするのが理解できたという内容です。

普通の木造住宅は、窓の遮音性能が概ねD-25レベルですから、これに窓業者の推奨する内窓を付けると、約D-40レベル以上になります。これはあくまで窓だけであり、壁の防音施工は別途必要になります。壁の遮音性能は概ねD-25からD-30が多く、外装材や吸音断熱材の仕様によって異なります。

窓面がD-40になっても、壁がD-30であれば、近所からの生活音も聴こえます。音楽室としても最低限D-45以上は必要ですから、壁の遮音性能はD-50は欲しいでしょう。

新築の段階なら、吸音断熱材や建物構造、間取りを工夫できますので、防音リフォームに比べて費用対効果を高めることが可能になります。

木造の防音設計の専門家は少ない

今までの投稿記事でも触れましたが、東京でも木造の防音設計ができる専門業者・専門家は少ない。むしろ、東京のほうが軽視していると言える。

それは、都内の建築会社や建築士と打合せをすると、あまりにも木造の防音設計の知識や経験がなく、大半が専門業者に丸投げしている事例が多いことに気づきます。(私の約40年間の建築・まちづくり業務経験)

このため、東京の建築業者は、専門家との「防音設計・コンサルティング契約」の重要性を認識できないことが多く、失敗事例も地方の現場よりも目立っていると、提携先の建築士も述べています。

取引先のベテラン建築士や大学の先輩建築士(支援者)によると、「建築士の敵は建築士」と断言します(笑)。要するに建築会社の建築士そのものが勝手な判断で失敗することが多いのです。

では、施主(依頼者)のみなさんは、どうしたら木造防音設計の専門家を探すことが出来るのかという事ですが。現在はネットで検索するしかないと思います。新しい木造の防音設計マニュアルが市販されていないからです。

私の地方の提携建築士が居ますが、自営業です。自営業はすべての重要事項を自分で判断しなければならないので、ネットで専門情報を調べます。東京の建築会社よりも、地方の建築士(自営)のほうが真面目に専門家を探しますので、みなさんは、まず自営の建築事務所の建築士に相談されることを、お勧めします。

もちろん、ネットで専門情報を発信しているホームページを探すことも有効です。そして、担当の建築士と相談して決めてください。

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