見出し画像

エンジニアの仕事としての特許執筆

おはようございます!
ケイコバです。

あっという間に今年も年末が近づいてきましたね。
毎年、年末になるとどうしても追われる仕事があります。

それが「特許の執筆」です。

別にこれは年末にやらなければならない仕事ではありません。
年間のどこで執筆しても全く問題ないわけです。

しかし製品開発業務と並行して進めていると、どうしても優先順位が下がってしまう。。。
そして年末までに○件書く!というノルマが残ってしまうため、達成に向けて年末に集中して取り組まざるを得なくなるわけです。

進め方はともかく、今日は”特許を書く”という仕事についてお話ししたいと思います。

企業はなぜ特許を出すのか?

難しい話はできないので雰囲気の話になりますが、企業などが特許を出す理由は大きく二つあるかと思います。
・1つ目は、自社の技術を他者に使わせないことで技術的優位を得るため。
・2つ目は、他社が特許化できないようにすることで他社牽制を行うため。

1つ目も2つ目もそんなに違いが無いように見えるかもしれませんが、特許の形態というか、権利化されているか否かという点で大きく異なります。

1つ目は世間一般で言う、いわゆる特許を取ることそのものになります。
つまり、「この技術は私(会社)が特許として権利化します!もし使いたかったらライセンス料払ってね」と言うことができます。

もし他社が黙ってこの技術を利用した場合は特許の侵害となり、その技術を使用した製品の販売中止を求めたり、訴訟になることがあります。

2つ目は公開特許と言われ、こんな技術がありますよ!と公開することが目的になります。

特許を出す場合、公知(広く一般的に知られているようなこと)の技術を権利化することはできません。
そのため公開特許として技術が公開された状態にすると言うことは、その技術は公知であり、誰かが権利化をすることはできなくなるわけですね。

特許を権利化といっても、無料でできるわけではありません。
国内や海外で権利化するには多額のお金がかかります。

そのため
・現状は自社で使わない
・お金を払ってまで権利化するほどでは無い技術
・でも他社に権利化されると将来困りそうな技術
については先に公開特許にすることで、他社の権利化を防ぐわけです。

仕事として特許を書くと何が起こるのか?

会社によって仕組みは異なる可能性がありますので、ここからは私の会社で特許を書いた場合の話として読んでください。

仕事として特許を書くとどうなるか。
簡単に言うと、お金がもらえます

会社で生み出した技術であれ、発明者は"人"です。
特許には発明者として、個人の氏名が明記されます。

しかし会社の技術が個人の所有になってしまうと会社は困ります。
そのため、社員の発明であっても、権利は会社に譲渡することになるのが一般的かと思います。

ここで出てくるのが、「相当の対価」です。

職務発明の特許を受ける権利等の承継等に関しては、従業者等は、使用者等に比べ交渉力が弱く、不利な立場になりがちであることから、従業者等を保護するため、第35条第3項にて、契約、勤務規則その他の定めにより従業者等から使用者等に特許を受ける権利等が承継等される場合には、「相当の対価」の支払を受ける権利を従業者等が有することを定めている。契約、勤務規則その他の定めにおいて、従業者等が支払を受けることができる対価について定めた場合には、原則としてその定めたところに基づき決定される対価を「相当の対価」としている。
                            特許庁HPより

会社での職務として発明を行なった場合に、従業員を守るための仕組みが定められているわけです。
以前、青色LEDの発明に対する対価について話題になったかと思います。

会社に属しているとはいえ、発明者は個人であり、譲渡したからには相当の対価が支払われる必要があります。
なので「仕事として特許を執筆する=お金が支払われる」というのが成り立ちます。

会社としては優秀な特許を権利化して優位に立ちたい、一方で社員は特許を執筆することで収入が増える、という双方の利益に結びつくわけですね。

(お金がもらえるとわかっていても、それでもやっぱり年末まで進まないんだよなぁ。。。)

終わりに

今日はエンジニアの仕事としての特許執筆について書きました。

会社により違いがあるかもしれませんが、会社で特許を書くと言うのがどう言うものなのか、少しでも伝わると幸いです。


最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?