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『PERFECT DAYS』Wim Wenders

今年初めての劇場鑑賞。
周りの友人たちの評価が高いので観にいった。

物語は首尾一貫して一人の男の生活を追っている。
物語が進むにつれ、男の生活リズムを理解していく。

日常の繰り返しの中で、日常の些細な変化が主人公と観客を楽しませる。

物語一貫して気になったのは主人公がアナログな生活をしていることだ。
車は古い軽で電子キーなどついておらず、カーステレオはカセットテープ。
写真を撮るのはフィルムカメラ。
携帯はかろうじてガラケーであった。

このアナログと美しい対比を見せるのはトイレである。
東京の街の公衆トイレ、それはいささか美しく、その美しさを保っているのは紛れもなく主人公である。
近代建築がもたらした芸術的でテクノロジーを集結させたトイレの美しさをアナログ好きの彼が保っているのだ。

この対比がこれ以上なく美しい。


その彼の日常をよい意味でも悪い意味でも破壊する者が現れる。
それらがアナログを否定したり、逆にアナログの美しさに惹かれたり。

そして同様に対比される生活水準。
主人公の妹が高級車に乗って娘を迎えに来たシーンでの、軽自動車と高級車の横付けには絶句した。

それでも続く主人公の日常。

どんな生活をしていても、人々に平等に死というものは訪れる。
今、自分が幸せでいられる日々を生きることが
最も目指すべきものなんだと教えてくれる。

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