好きな人に好きな人ができた
好きな人と言っても、もうすでに恋愛感情は失っている相手である。
一年前、僕のことを振った相手だ。
ただ、彼女はそのことを忘れたかのように僕と接する。
あの日以来、一度もそのことに触れない。
でも、あの日以来、友人としての絆は強まった。
(まあ「友達だから」と言って振られているので)
逆になんでも話すことができる相手になった。
女性でも下劣な話をできるのは彼女だけである。
だって、彼女は僕の人生で一番恥ずかしい場面を目の当たりにしているのだから。
そんな彼女に好きな人ができたらしい。
大学でも、バイト先でもない相手。
そう、成人式マジックである。
僕の横でニコニコしながらその男のことを話す彼女を見て、
僕は本当に嬉しかった。
「まだ相手大丈夫な奴かわからんぞ」
とか余計な警告をブツブツ言ってしまったが
本当に僕は嬉しかった。
いつかこういう日は来ると思ってたけれど
正直嫉妬すると思っていた。
映画『あの頃、君を追いかけた』
齋藤飛鳥×山田裕貴の日本版しか見ていないが(ここからちょっとネタバレ)
本当に愛していたが結ばれなかった二人。
物語の最後、山田裕貴は齋藤飛鳥の結婚式に出席する。
あんなに好きだった相手、が一番幸せな時間。
そのとき、このようなセリフがあった(うろ覚え)
「本当に心から好きな人が結婚するとき、心から願うのだ。幸せになれ、と」
これか、と思った。
まあまだ彼女に好きな人ができたというだけであるが。
まだ付き合っていないのに、僕の横で惚気話をしている。
本当に嬉しそうで、幸せそうである。
まあ、寂しさが無いというわけではない。
正直、最近彼女からのLINEが少なくなっていたことには気づいていた。
でも、彼女が幸せなら、僕も幸せである。
彼女より好きになれる人が
いつか僕の前に現れるのだろうか。
心から願うよ。
幸せになれ、と。